先生一体何やってるんですか?
お酒を飲むと書くペースが上がることに気づいたのですが、そんな時は大体誤字が多いですよね。気付いた方は報告していただけると助かります。それでは今回も楽しんでいってください!よろしくお願いします!
俺はムルシエラゴに対して、不思議な感覚を覚えていた。親近感?いや違う。自分自身もよくわかってはいないのだが、ムルシエラゴを俺は知らないはずなのに、知っている気がしたんだ。これってどう考えても変だよな。何故こんな感覚になるんだろうか。
「おはようぅ!藤崎ぃ!朝なのにもう疲れた顔してんなぁ!今日はまだこれからだぞぉ!」
玉置先生が元気付けてくれた。やっぱり玉置先生はとてもいい先生だ。俺たちが卒業するまではこの学校にいてほしいな。
放課後、俺は別の先生に呼ばれていたこともあり、いつもより帰りが遅くなってしまっていた。用事も済み、下校しようと廊下を歩いていると、理科室の前を通ることになった。理科室には人影があり、理科室をよく使う人物を俺は知っていた。そう玉置先生だ。他の理科系の先生はあまり理科室を使用しないのに対し、玉置先生だけは生徒が楽しめる授業こそが1番だと言う先生であるため、生徒を楽しませるための準備をしているんだなと思った。自分の担任でもあるため、挨拶して帰ろうと思い、理科室の扉に手をかけたその時、理科室から独り言が聞こえてきた。
「今日はどんな怪獣を送り込むかなぁ」
耳を疑った。まさか学校にコウモリ男が、ムルシエラゴがいるなんて思ってもみなかった。
「そこまでた!」
そこには俺の予想を遥かに上回る光景が目に飛び込んできた。
「ようぅ!藤崎ぃ!そんなに慌ててどうしたぁ?」
玉置先生だった。玉置先生が今まさに怪獣を生み出そうとしていたのだった。そして怪獣の模型のようなものが完成した。
「よぉしぃ!完成ぃ!」
「先生一体何やってるんですか?」
恐る恐る聞いてみた。しかし、答えは聞かずとももうわかっていた。何故ムルシエラゴの声や振る舞いに既知感を覚えるのか。その全ての答えが目の前にあるじゃないか。この男、玉置照喜こそが俺たちが倒そうとしているムルシエラゴその人だったのだ。
「あぁぁあ、バレちまったかぁ。見ての通り今後お前たちにぶつける怪獣や怪人を作ってるんだぁ」
しかし、澤木のように人間が怪人になるということから俺はもしかすると怪獣や怪人は全て人間なのではという恐怖も感じていた。だから、なのか怪獣や怪人の正体が模型であることに少しだけ安心してしまった。
「その顔から察するにぃ、怪獣の正体が人間じゃなくてよかったぁって感じかぁ。流石に俺もそこまで鬼じゃねぇよぉ。お前らに人殺しはさせないってのぉ」
「どうして先生がコウモリ男なんですか?何か事情があるんじゃ……」
「そんなものはねぇよぉ!」
俺の言葉を遮るように玉置先生は言った。
「俺は第一に玉置照喜ではないぃ。それに玉置照喜自体俺が作り上げた人格だぁ。人間に溶け込み、お前ら魔法少女を観察するために最適な姿を選んで成り済ましていただけのことさぁ。だが、人間は本当にちょろいなぁ。すぐ人を信用するぅ。この学校で信用を得るのはとてもとても簡単だったよぉ!お前も俺のこと信頼してくれてたもんなぁ!藤崎ぃい!!」
「そんな……嘘だ…」
俺は目の前の玉置照喜いや、ムルシエラゴに恐怖した。いつもなら変身して倒そうと思うのだろうが、何故かそう思えない。怖い。今すぐにでもこの場から逃げ出したかった。
「バレたんじゃもうここにはいられないなぁ。この学校結構好きだったんだけどなぁ。残念だぁ、お前らの卒業式に出られなくてぇ。あばよぅ!次に会う時は戦場だなぁ!」
そう言い残して、黒い霧と共に姿を消した。正直戦わなくて済んだことにとてもホッとしていた。もし戦うことになっていたら、動揺して戦いにならなかったはずだから。安心してその場にしばらく座り込んでしまった。
それからどれくらいの時間が経ったのかはわからないが、まともに立って歩けるようになるまでには外は真っ暗になっていた。
次に玉置先生に、ムルシエラゴにあった時、俺は戦えるのか?どうすればいい?俺は俺は……。
「あれ?綾二くん?」
声をかけてくれたのは真央だった。
「真央……」
「なんだか、元気ないね。どうかした?」
「あ、いや、そんなことないって」
今更、言えるはずがないよ。俺は魔法少女に変身する変態で、倒すべき敵は担任の玉置照喜だったなんて。本当は言いたい。きっと彼女なら彼女の優しさなら全て受け止めてくれるのかもしれない。だから、全てぶちまけて楽になりたい。でも、もしかしたらと思うと怖くて言い出せない。
「言わなくていいよ!」
「え?」
「誰にだって言えないことの一つや二つあるよ!だから、無理に言わなくていいよ!もしその問題が解決して、いつか笑って話せるようになったら、その時が来たら、話して?ね?」
「ありがとう。俺頑張ってみるよ!」
「元気になってくれたならよかっです!それより、こんな遅くまで何をしていたのかな?未成年の夜遊びは推奨できませんなぁ!」
「それを言うならお前もだろ」
「あっそうだった!てへっ」
か、可愛い。
先のことはわからない。きっとこの先戦っていけば、もっと辛いことだってあるのかもしれない。俺は少女を助けて魔法少女になったあの日、こんなことになるなんて少しも考えてなかった。それでも、例え敵がどんな存在に変わろうとも、守りたいものだけは変わらないはずだから。
今思えば今回は怪獣登場しない回でした。作者自身も狙って書いていたわけではないので少し驚いています。次回は出ますよ!ついにあいつが出ますよ!それでは今回も読んでいただきありがとうございました!次回をお楽しみに!!