サクラちゃんとミノリちゃん 1
昼食時間、弁当を食べながら私は躊躇する。
さっき1回、ヤグチと目が合った。私もヤグチも昨日と同じ場所で昼ご飯を食べていて、今日ヤグチは大きな山賊おにぎりを食べている。
おいしそうだな。
ヤグチのそばには今朝私に話す事があると言ったサイトウもいる。
サイトウの話は私一人で聞きたいな。
目が合うのを避けるために私はなるだけヤグチの方を見ないように心掛ける。
サクラちゃんとミノリちゃんも私に、いつもは喋らないような事を話に来るのかな。
聞きたいな。でも聞くのが怖いような気もする。
「「ごめんね」」と2人が本当に申し訳なさそうに私に言った。
「田代先生に薫ちゃんが呼ばれた時、私達も出て行ったら良かったと思ったんだけど。でもほら、迷ったんだよね。ヤグチ君とオオツブライ君が出て行ってたから。下手に出て行かない方がいいかなって」
サクラちゃんがふふっと笑いながら言う。
それを受けてミノリちゃんがひそひそ声で言った。「何か…オオツブライ君とヤグチ君、2人で薫ちゃんを取り合ってるっぽい」
「そんな事ないよ!」声を張り上げてしまって私は慌てる。
「ごめん。そんな事ないよ」
もう一度私は2人に言った。
「薫ちゃん大変だよね。そんな、みんなの話を聞くなんて仕事。どうしよっかな。私、何話そうかな」とミノリちゃん。
「ホント困るよね」私も言った。
「朝から呼ばれ過ぎだよね?」サクラちゃんが言う。
「毎時間先生に呼ばれたよね?おかしくない?」
おかしいよ。
「私もどうしよう。何にも話さないのもありなんでしょう?
だってパスオッケーってミカ先生言ってた」
サクラちゃんはやっぱり私になんて心の奥の事とか話したくないのかな。寂しいな。
パスはオッケーだけど、それでもみんな話に来るのだ。
桜井の話では。
「何でもいいんだよ?」と私は言ってみる。「別に大事な事じゃなくても話したい事でいいんだよ。だってさ、聞くの私なんだもん。だいたいみんな大事な事なんて話して来ないよ」
「「ん~~~」」と、それでも2人が唸るので
私は余計に寂しく思えてきた。
「ただ話すって言ってもさ」とミノリちゃんが言う。「それはやっぱり本当は何かのためなんじゃないかな」
「そんな事ないよ」と慌てて否定してしまう私だ。「ただ話して来たい人が来たら聞いてあげて、でも別に報告とかはいらないって桜井先生も言ってた」
「ふ~~~ん」と2人は一応相槌を打つが疑心暗鬼な様子。
そりゃそうだろう。私だって同じ気持ちだ。
「今度の文化祭さ、」
ミノリちゃんが急に話を変えた。
「薫ちゃん、頑張ってオオツブライ君と同じ作業グループになりなよ」
「うんうん私もそう思う」アライサクラちゃんも言った。
「私どっちかって言うと、薫ちゃんはオオツブライ君と付き合ったらいいと思うんだ」
ミノリちゃんがひそひそ声で言って、ふふっと笑った。
今ツブツブはカナヤ君、コンドウ君の3人で廊下側の、前よりの席で弁当を食べているところだ。
ツブツブのグループは、ヤグチ達の結構騒がしいグループとも、おとなしめのグループとも違う。
地味過ぎないけれど決して悪目立ちは絶対しない。
私達の学校は一応進学校なので、文化祭も体育祭も夏休み直前にある。
良くありがちな話だけれど、今日年の文化祭と体育祭の後にはカップルが何組も誕生した。
それで夏休み中に夏祭りとかプールとか海水浴とかに行って盛り上がるのだ。
まぁ急激に成立した分別れるのも早いみたいだけど。




