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遠巻きに見守るゼファはにやける顔を手で隠しながら、姉妹を羨ましがる。近くで見ているニコとネコはお互いに両手を合わせて、満面の笑顔で2人の会話を聞いていたからだ。ゼファは頬杖をつくノーランに小声で話しかけた。
「ちょっ!めっちゃおもろいやん!あのいつも貼り付けた笑顔しか見せへん奴が百面相しとるで!!」
「…興味ない。それよりカジだ。奴はまだ来ないのかっ!」
ノーランの苛立つ姿に呆れるゼファ。
「お前はいつもそればっかりやなぁ。会いたいなら自分から行けばええのに…。心配せんでも…もう来てるやろ。」
ゼファの言葉通り、扉が開くと、息を切らしながら赤髪を揺らすカジが現れた。カジはふらふらと歩いてヨルとマーネに近付くと2人同時に抱き締めた。マーネは戸惑いながらもそれを受け入れ、ヨルはとても嫌がって腕から逃れようと必死に踠いている。
「はぁーー…、やっと到着できた。ヨル、後でオーディンに礼を言っといてくれ。あいつがいなければ入り口が見つけられなかったからな。それと、マーネ、怖かったな?さっさと帰るぞ。」
カジは強引に2人を横脇に抱えると出口へ向かおうとする。
「ちょっと!兄貴、歩けるからっ!!」
「わたしも!待って下さい、お話があって…!」
降りようと暴れる2人を抱えるカジの力は少しも緩まない。
それどころか無視して進もうとする姿にノーランが眉間の皺を深めた。仕方ない、とノーランはこんこんと机を小突く。
「座れ、カジ。話がある。」
カジは嫌そうな顔を一瞬だけ見せたが、溜め息をついて2人を降ろした。
「………分かった。ここで話す方がまだマシか。イチカ先生の意図が今やっと分かった。お前らほんとに回りくどいのが好きだな?」
カジがソファに座る。両隣にマーネとヨルも座らせた。ニコとネコも移動してクラウスを叩き起こすと、ノーランが真剣な顔で話し始めた。
「最近、俺達が関与していない派閥争いとやらが勃発している件について何か言うことはあるか?煽動しているやつがいるらしいとクラスエナの生徒が騒いでいた。」
「…それはこっちの台詞だ。旧派閥派の奴等がクラスディオの生徒達に危害を加えてると報告を受けている。ノーラン、お前が命令しているんじゃないのか?」
静かに2人が睨み合うなか、ゼファが片手を上げ割って入る。
「1個だけ訂正しとくで、ノーランは旧派閥派の奴等と面識ないで。」
「そうよ!こっちは決闘に負けてから大人しくしてたわよ。騒いだら退学になるじゃない。」
「メリットないよ~。」
ニコとネコも反論すると、カジは考え込むように腕を組んで目をつむった。
「何か隠してんちゃうの?こっちからすれば、俺等を完膚なきまでに潰して、自分達の支持を高めたいから喧嘩吹っ掛けてるってのが一番しっくりくるんよなぁ。」
「オレ達がそんなことする意味ある?そっちが嫌がらせで問題起こしてるんでしょ。クラスディオの生徒達の方が被害が明らかに多いし。」
ゼファとヨルの言い分にマーネはどちらも嘘ついてるようには見えなかった。お互いに聞いたことを見たことをそのまま話してるのに何故か噛み合わない。カジに判断を委ねようとマーネとヨルはカジを見る。2人の視線を感じて静かだったカジが目を開けた。
「…腹減ったな。」
カジの一言は真剣に話していた皆を黙らせると、怒ったヨルとノーランから一発ずつ殴られ痛そうな呻き声が響いた。




