オーストラリア資源調査作戦
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作戦名: 第1次オーストラリア資源調査作戦
報告者: 第1次資源調査団 護衛部隊指揮官(3等陸佐)
1. 作戦概要
オーストラリア大陸でレアアース採掘を再開するため、陸上自衛隊1個中隊(約150名)を護衛に据えた政府主導の資源調査隊を派遣。最新鋭の10式戦車2両、偵察・攻撃用ドローン50機を投入し、安全を完全に確保した上での短期調査を予定していた。
結果: 作戦失敗。人的・物的損害の拡大に伴い、目的地到達を断念し撤退。
2. タイムラインおよび戦闘記録
【第1日】
08:00 ―― 海岸から密林地帯へ進入。直後から、通信に激しいノイズ。GPSが不安定になる。
13:00 ―― 前方を偵察中のドローン3機がロスト。異常磁場、又は生物由来のEMP様現象と思われる。
17:00 ―― 最初の犠牲。装甲車のハッチを開けていた隊員が、木々から垂れ下がる「黒い液体を滴らせる未知の花」に接触。液体は防護服を約2時間で浸透通過し、皮膚に激しいアレルギー性皮膚炎を生じさせた。
【第2日:多眼の捕食者と多頭の蛇】
03:00 ―― 夜間、キャンプ周囲の暗視センサーが全方位で反応。
04:30 ―― 闇の中から、「6つの目を持つ、虎とも大型犬ともつかない異形の巨大肉食獣(以下、多眼獣)」の群れが襲撃。
多眼獣はドローンの機銃掃射で撃退されたが、携行弾薬の30%を消費した。
10:00 ―― 沼地を迂回中、「3つの頭を持つ巨大トカゲ」および「5つの頭を持つ大蛇」と遭遇。
巨大トカゲ、大蛇は戦車の榴弾で吹き飛ばすも、生物たちの「死を恐れない波状攻撃」に、隊員の精神的疲労がピークに達する。
【第3日】
01:00 ―― 足元から不気味な蠢動音。ライトを照射したところ、地面を埋め尽くす「体長50cmを超える巨大百足と、無数の変異G」の絨毯。
蟲どもは戦車の履帯に詰まり、吸気口に侵入して1両のエンジンを停止させる。
05:00 ―― 霧の中に、カンガルーを軽々と咥えた「主」とおぼしき超巨大多眼獣のシルエットを確認。さらに周囲の木々から、無数の目がこちらを凝視していることに気づく。
【指揮官の判断】
「これ以上の前進は、全滅を意味する。近代兵器の火力をもってしても、この森の『物量』と『致死性』を相殺することは不可能」
同時刻、生存者を残存する1両の戦車と装甲車に収容し、退却を指示。
臨時国家安全保障会議
麻田総理は報告書を机に叩きつけるように置いた。
「……近代兵器でも虫には勝てないのか。フィルターや防護装備で何とかならんのか?」
防衛装備庁技官が即答した。
「困難です。吸気系が物理的に閉塞されます。NBC防護は化学剤や放射性粒子対策であり、生物の大群による継続侵入は想定外です」
総理は顔をしかめた。
「焼き払う?」
「効果は限定的です。燃え残りや地中個体が残存し、火災後の視界悪化で行動が制限されます」
「……つまり、採算以前に前に進めないということか」
「はい」
総理は深いため息をついた。
「アフリカもアマゾンも立ち入れない……。アフリカの資源にアクセスできないのは痛いな」
「現在、安定して供給を受けられるのはメリケンと漢帝国のみです。東南アジアのレアアースは漢帝国がほぼ独占しています」
「インカは未開発か……。アマゾンの外に鉱床はありそうだが」
「後は海洋底レアアースの開発ですが、実用化まで20年はかかります」
総理は苦い顔で言った。
「軍需優先で重希土類を配給するしかないな……。民生用の高性能モーターは制限対象だ。一般国民には『スマホの性能が10年前に戻る』と説明することになるだろう」
会議室に重い沈黙が落ちた。




