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療養所
人里離れた療養所
介護士の独白
かつては、毎月8人前後の男性が入所していた。
年齢は20代前半から40手前まで。
本当に可哀そうに思った。特に若い方は。
精神的に疲れている方には、
「眠っている間に処置を終えられる」と説明されていた。
睡眠薬と、体調を維持するための薬。
そして医療的な刺激処置。
すべては、意識のない間に行われる。
痕跡は残らない。
生殖能力が低下している方に使う薬は、副作用が重い。
吐き気、下痢、手足のしびれ、ひび割れ。
介護士は、その苦しさを知っている。
就業前に、同じ処置を体験するからだ。
だから、暴言も、弱った手で叩かれることも、気にならない。
必要のない苦しみを背負っていると分かっているから。
せめて少しでも和らぐように。
眠っている彼の手足に、丁寧にクリームを塗り込んだ。
――この療養所は、今日で閉鎖される。
さきほど、最後の男性が退所した。
日本が転移してきて、制度が変わった。
“精役”の免除対象が拡大されたのだ。
もう、犯罪者以外の男性が、
ここに来ることはないらしい。




