表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/83

療養所

人里離れた療養所


介護士の独白


かつては、毎月8人前後の男性が入所していた。

年齢は20代前半から40手前まで。

本当に可哀そうに思った。特に若い方は。


精神的に疲れている方には、

「眠っている間に処置を終えられる」と説明されていた。


睡眠薬と、体調を維持するための薬。

そして医療的な刺激処置。

すべては、意識のない間に行われる。

痕跡は残らない。


生殖能力が低下している方に使う薬は、副作用が重い。

吐き気、下痢、手足のしびれ、ひび割れ。


介護士は、その苦しさを知っている。

就業前に、同じ処置を体験するからだ。


だから、暴言も、弱った手で叩かれることも、気にならない。

必要のない苦しみを背負っていると分かっているから。


せめて少しでも和らぐように。

眠っている彼の手足に、丁寧にクリームを塗り込んだ。


――この療養所は、今日で閉鎖される。


さきほど、最後の男性が退所した。


日本が転移してきて、制度が変わった。

“精役”の免除対象が拡大されたのだ。


もう、犯罪者以外の男性が、

ここに来ることはないらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ