EP-10 異世界の味(Day+20)
霞が関の深夜:非公式合意
経産省の参事官がカロリーメイトの様なものをみんなに配った。
「邪馬台国が国家備蓄の非常食を提供できると言ってきた。カロリーベースで500万人が1年間飢えずに済む量だ。栄養バランスもバッチリ。食べてみてくれ。」
「青汁。固い。脂っぽい。変な後味。Dレーションがご馳走に思える。」
「悪い意味でSFの宇宙食かなあ。」
「カレーにでも入れたら良いんじゃないか。そのまま食うのはつらいぞ。健康食品愛好家ならともかく。」
「レシピは、雑穀、どんぐり、豆、ミミズ、クロレラetc」
「これを食わなきゃいけないのか。飢えるよりマシだが子供は食わないだろうな」
「週2本これを食べる。半年したら贅沢も言えなくなる。まさに最後の砦」
「……で、結局どうする。『直接的な交流』の検討準備も必要と思うが」
「空港内に女性向け風俗店を作る。基準は女性向けを参考にするがホストやソープ関係者の意見も聞いた方がいいだろう」
「空港内で遊んで、美味しいもの食べて、お土産買ってお帰りいただく。外貨がっぽり」
「輸出を言われたら?」
「ニート送り出すよりホストに行ってもらった方がいい。待遇は衣食住向こう持ちで一発5万円。週休2日で派遣期間は最長6か月。2週間の短期もいいな」
「男女比1:3000って月一回の精液提供で悠々自適じゃなかったけ?」
「牛や馬をみろよ。人工授精で種馬に選ばれるのは一部の優秀者だけさ。」
「毎日2回で年700回。10年で7000回なら生涯で1万5千から2万回ぐらいかな。1:3000でも何とかなる」
「……技術流出については?」
「背に腹は代えれん。適切な値段で売るさ。ボッタくりは後で信用を失う。日本は孤独だからね」
「不本意だな」
参事官が呟く。
「誇りも、技術も、国民の権利も。切り売りして食いつなぐのか。我々は歴史にどう記される?」
「『最悪の事態を、最小の出血で回避した実務者』か。あるいは『自国民を売った売国奴』か。……どっちでもいいさ。明日、国民に『電気が止まる』『米がない』と言わずに済むなら、私は喜んで地獄に落ちるよ」
「ところで、邪馬台国の仲介で南中国・漢と北中国・華人民共和国が接触を求めてきた。邪馬台国は2週間後に邪馬台国内で非公式会談をもったらどうかってさ」
「自分は毎日会談重ねてるのにな。独占欲か、それとも隠し事か」




