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ナビの示す先は……空?!前代未聞の空中ドライブ

読んで下さり、ありがとうございます。

突然の浮遊にオート運転……美優もマリアも(物理的に)魂が飛んでいきそうな、波乱の異世界初ドライブでした。

さて、到着した先で待ち受けているのは……?

いよいよ初の戦闘回となる第14話も同時に更新しています。

美優の放つ「青い炎」が、どう立ち向かうのか。

ぜひ、続けてお楽しみいただければ嬉しいです。

 全員で車に乗り込む。好奇心旺盛なアンが助手席で、マリアとジークが後部座席だ。


「乗り込むタイプの魔導具とか無いの?」と聞くとアンが答える。

「あるかもしれないけど、私は無いなあ。普段は歩きか馬車だね」

「ふぅん。馬車って乗り心地はどうなの?」

「すっごい揺れるし、馬や土の匂いがするよ。こんなに不思議な匂いはしないよ」

 芳香剤と革の匂いかなあ?


 アンが飴の袋を見つけて、なんだろうといじくり回している。

「これは飴が入っているんだよ」と言って開けてあげた。


「甘ーい!おいしー!」

 コロコロと口の中で転がしてご機嫌で、テンションが上がってきたようだ。

「ねえねえ、これ本当に魔力回路がないの?ミュウのとこのガラスって綺麗だよね!まるで壁がないみたい!

私も運転させてよ!魔術で出来ないかな?」

「アン、テンション上がりすぎじゃない?ごめんね、これは免許というものがないと無理なの」

 

 マリアは緊張で手に力が入っている。

「これは馬の無い馬車ということで…」

自分に思い込ませながら、ゆっくり深呼吸を繰り返しているようだ。


 ジークはシートベルトをつけたり外したりを繰り返している。

「ミュウ、この紐はなぜつけるんだ?魔物に襲われた時、どうする?

これではいざという時に剣が抜けないじゃないか……いや、ペンと同じ仕組みなのだろうか?」

「揺れるのを抑えたり、体が飛び出したりするのを保護するためだよ」と言ってもあまり聞いていないようだった。

 座席の座り心地良さは気に入ったみたいだ。

「長時間座っていても苦じゃないな」



 よく見ると、前に見慣れないボタンがある。昨日までは無かった配置。

 上向きと下向きの矢印に、オートとグニャリとした字で書いてあるのもあった。文字が歪んでいる。


「……気になる……押してみようかな……」


 これも異世界仕様に変わっているのかなと思い、試しに上向きの方を押してみた。



━━車がふわりと1メートルほど上昇する。足裏の感覚が無くなった。



 一瞬、誰も言葉を発さなかった。



「えええぇぇ?!」

「おおー!なんーだ、飛べるじゃん!」

「ああっ!神様ーっ!」

「うわーーっ?!」

 私以外にも声が上がる。



 どうしよう!何これ!落ちたらどうなるの……



「よーし、しゅっぱーつ!」


 空を飛べるらしいアンは楽しそうだけど、このまま運転してもいいのだろうか?手の汗がすごい。

 少し深呼吸して考えてみる。

 一瞬、アニメで見た猫型バスのことが思い浮かんだ。

 足が生えて走ったりしないよね?


(いやいや、憧れる気持ちはあるけど!)


 とりあえず、ナビを使うことにする。目的地は祠にし、よくわからないまま住所を入れ、ルートを確認し、案内開始を押した。

 ルート案内が開始される。



「精霊みたーい!すごいね!」

「本当に中に誰も入っていないのか?!」

 出発前からグッタリしてるマリア以外は騒いでいる。


 エンジンをかけた。


(もしかして、このオートっていうのでも動くのかも?)

 

 心臓がバクバクしながら、オートを押してみる。

 次の瞬間、宙に浮いたままゆっくり動きだした。

 木をどんどん避けて進んでいく。

 その動きには淀みが無く、私はハンドルを握ってはいるけど何もしていない。

 止め方もわからないし、どうしようもない……


「私の知っている速さを超えています……」

 座席をぎゅっとつかみ、うつむいている。マリアが限界を迎えそうだった。

「もうちょっとで着くから…!」



 ナビが「川を飛び越えます」「次の大木を右に曲がります」と抑揚のない声で、淡々と告げる。

 それ以外には、タイヤが砂利を弾く音も泥を跳ね上げる音もしない。ガタガタという振動もしない。現実感がなくてふわふわした。



 スピードが速かったので、あっと言う間に着く。オートなので、空から確認してもらう暇も無かった。


 しばらく放心してしまったが、ドアを開けて外に出る。

 アンは勢いよく外へ飛び出した。飴をいくつか食べていて、元気いっぱいだ。

 ジークはまだシートベルトを気にしながら出てきた。


 さっきまでの浮遊感が嘘みたいに、森は静かだった。


 マリアは魂が置いていかれたような真っ青な顔でヨロヨロと出てきて、

「あんな速さで景色が流れるなんて……体がついていきません……ああ、大地が動いていない……」

と言い、車のそばに崩れ落ちた。


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