↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
27/27

 第二十七章 おみやげ



 ある日。


 朝早く。


 庭でみーちゃんが。


 大きな声で鳴いていた。


「ミャー! ミャー!」


 いつもと違う。


 興奮した声。


 何かあったのかと。


 思ったけど。


 眠い……


 もう少しだけ。


 寝かせて。


 そう思っていると。


 少しだけ開いてる。


 サッシ戸から。


 みーちゃんが。


 戻ってきた。


 気配を。


 感じた。


 眠い目を。


 無理やり開けた。


 すると。


 いつもと顔が違う。

 

 みーちゃんのほっぺが。

 

 気持ち膨らんでいる。


 うふ。


 かわいい。


 それに。


 口元から。


 何か。


 紐のようなものが……


「……え、何それ!?」


 私が。


 声を発するのとほぼ同時に。


 何かを。


 口から落とした。


「……え?」


 それは……


 トカゲだった。


「いやーーー!」


 私の大きな悲鳴に。


 驚いたのか。


 トカゲは。


 走り始めた。


 すると。


 みーちゃんは。


 逃げ回る。


 トカゲ目がけて。


 突っ込んでいく。


 トカゲは。


 私のマットレスの下に。


 逃げ込んだ。


「やだやだやだー!」


 タオルケットを。


 宙に飛ばしながら。


 飛び起きた。


 みーちゃんは。


 私のことなんて。


 おかまいなく。


 マットレスの。


 下にもぐった。


 トカゲを。


 引きずり出そうと。


 爪で。

 

 引っ掻いている。


「だっ、ダメよ!」


 いや……


 ダメじゃない。


 そのままトカゲを。


 捕まえて!


 でも。


 マットレスが。


 爪でボロボロに……


「どっち!? どっちを選べばいいの!?」


 悩んだ末に。


 みーちゃんを。


 止めた。


「みーちゃん、落ち着いて」


 そう言いながら。


 優しく後ろから。


 抱えた。  

    

 それでも。


 みーちゃんの視線は。


 マットレスに。


 向いていた。


「どうしよう……」


 困ったときは。


 ネットで検索!


 みーちゃんを降ろして。


 スマホを手にした。


 検索してる間も。


 マットレスの下から。


 目を離さない。

 

 スマホ、マットレス、スマホ、マットレス。


 視線が目まぐるしく。


 移動していた。


 家に侵入した虫などは。


 紙コップで。

 

 捕まえるといい。


 と、出てきた。


 紙コップ。


 たしかキッチンに……


 マットレスから。


 目を離さないよう。


 後ろ歩きで。


 キッチンへ。


 急いだ。


 そして。


 棚の中に。


 置いてある。


 大きめのクリアカップを。


 手探りで。


 掴んだ。


 戻ってきた。


 みーちゃんは。


 トカゲが逃げ込んだ。


 辺りを。


 ずっと覗き込んでいる。


 私も。


 クリアカップを手にして。


 一緒に。


 覗き込んだ。


「……いない」


 どうしよう。


 申しわけないけど。


 トカゲさんとは。


 同居できません。


 なんとか。


 捕まえて。


 追い出さないと……


 ここは。


 みーちゃんと。


 連携するしかない。


「みーちゃん。私がマットレスを傾けるから」


 返事はない。


「お願いだから捕まえてね」


 そう言って。


 マットレスの端に。


 手を入れた。


「いくよー、1、2の、3!」


 マットレスを。


 持ち上げると。


 トカゲが。


 私の方へ。


 身体を左右に揺らしながら。


 走ってきた!


「ぎゃーーー!」


 悲鳴を上げた。


 その瞬間!


 みーちゃんは。


 前足で。


 トカゲを抑えつけた。


 そして。


 有無を言わさず。


 口で。


 くわえた。


「そのまま! キープ! キープよ!」


 マットレスを離して。


 トカゲを。


 くわえたみーちゃんごと。


 持ち上げて。


 外に。


 連れ出した。 

 

 地面におろすと。


 トカゲも。


 みーちゃんの口から。


 ポトリと落ちた。


 再び。


 トカゲに突進しようとした。


 みーちゃんを抱えた。


「もうダメ。もうやめて」


 そう言って。


 なだめて。


 草むらに。


 逃げる。


 トカゲさんを。


 一緒に。


 見送った。

 

「はぁーー」


 安堵の。


 息が漏れた。


「みーちゃん…… ダメよ」


 そう言っても。


 みーちゃんは。


 草むらを。


 じっと見ていた。


 仕方ないので。


 そのまま家に連れて帰り。


 おやつをあげて。


 気をそらした。



 その日の夜。


 部屋にいたみーちゃんが。


 一点を見つめていた。


 今日初めて。


 見たわけではない。


 たまにする仕草。


 だけど今日は。


 その瞳に。


 いつもと違う。


 輝きがある。


 気になって。


 視線の先に。


 目を向けた。


 すると。


 私の。


 すぐ上の壁に。


 大きな大きな。


 ムカデがいた。


「うわっ……」


 悲鳴を途中で。


 押し殺した。


 気づかれてはいけない。


 私の本能が。


 そう言っていた。


 みーちゃんは。


 姿勢を低くして。


 ムカデに近づいて行く。


 それを。


 小声で止めた。


「やめて。そうじゃないから」


 今にも。


 飛び掛かりそうなみーちゃんを。


 そっと抱いて。


 避難した。


 相手は毒を持っている。


 トカゲみたいに。


 みーちゃんの力を。


 借りるわけには。


 いかない。


 私が。


 なんとかしないと。


 クリアカップを手にして。


 じりじりと近づいた。


 お、大きい……


 たぶん。


 クリアカップの。


 口より大きい。


 どうしよう……


 けど。


 他に手はない。


 みーちゃんは。


 相変わらず。


 姿勢を低くして。


 今にも。


 飛び掛かりそうだ。


 そんなみーちゃんを見て。


 覚悟を決めた。


 息を止めると同時に。


 クリアカップを。


 壁に押し付けた!


 すると。


 尻尾の部分が。


 収まりきらず。


 壁とカップに挟まれて。


 激しく暴れた。


 どうしていいのか。


 わからず。


 必死だった。


 挟まれていた。


 尻尾は。


 するりと抜け。


 カップの。


 奥へ逃げてきた。


 すかさずカップを。


 立てて。


 近くにあった。


 攻殻機動隊の漫画で。


 蓋をした。


 どうやらムカデは。


 壁には登れても。


 クリアカップを。


 登れないらしい。


 もがいているけど。


 上にはあがってこない。


 外へ飛び出して。


 隣の空き地に。


 中身だけ。


 投げた。


「はぁーー」


 体の。


 芯から。


 安堵の。


 ため息が。


 もれた。


「よかったー……」


 足元を見ると。


 いつの間にか。


 みーちゃんが。


 ついてきていた。


 そして。


 ムカデを。


 飛ばした方を。


 見ていた。


「だめだからね。捕まえてこないでね」


 そう言い聞かせて。


 一緒に。


 帰宅した。


 田舎は……


 すごい。


 春から。


 ずっと。


 なにか。


 イベントが起きる。


 平穏な。


 1年を。


 過ごしたくて。


 ここに。


 引っ越してきたのに……


 家の周囲を。


 うろつく例の不審者は。


 今でも。


 ほぼ毎日。


 見かけるし。


 虫との格闘も。


 ほぼ毎日。 

 

 そう考えていると。


 縁側から。


 音がした。


「カラ」


 目を向けると。


 みーちゃんが。


 外に。


 出て行っていた。


 網戸を。


 自分で。


 開けて。


「……」


 どうせなら。


 閉めて行って。


 ほしい……


 そう思いながら。


 網戸を閉めて。


 寝ることにした。



 早朝。    


 カラっという。


 網戸が。


 開く音に。


 気づいた。


 いつもの。


 小さな。


 小さな。


 足音が。


 聞こえる。


 けど……


「ミャミャミャミャ!」


 短く。


 連続で。


 鳴く。


 いつもと違う。


 みーちゃんの。


 鳴き声。


 そして。


 部屋の中を。


 走り。


 回る。


 騒々しい。


 音。


 驚いて。


 飛び起きた。


 すると。


 また。


 口から。


 紐のようなものを。


 垂らしていた。


「もぅ~。朝からやめてよー」


 また。


 トカゲだと思った。


 その時。


 みーちゃんは。


 くわえていたものを。


 ポトリと。


 畳に。


 落とした。


 その瞬間。


「キャーーーー!」


 寝ぼけているのに。


 自然と。


 悲鳴が。


 出た。


 畳に。


 落ちるやいなや。


 その生物は。


 勢いよく。


 走り始めた。


 それは。


 間違いなく。


 ネズミ。


 だった!

 

 マットレスの上で。


 固まっている。

 

 私など。


 おかまいなく。


 みーちゃんは。


 物を蹴散らして。


 ネズミを。


 一心不乱に。


 追いかける。


 ネズミも。


 捕まるまいと。


 必死で逃げている。


 胸元で。


 両手を。


 ぎゅっと握りしめて。


 見ている。


 私の。


 目の前で。


 みーちゃんは。


 ネズミを。


 手で。


 押さえつけた。


 このあとに見た。 


 光景を。


 私は。


 一生。


 忘れない。


 だろう。


 ネズミに。


 噛みついた。


 みーちゃんは。


「バリバリバリ!」


 と。


 凄まじい。


 音をたてながら。


 その場で。


 食べ始めてしまった。


「いっ、いやあああーーーー!!」


 近所が。


 だいぶ。


 離れている。


 田舎で。


 良かった。


 そうでなければ。


 警察を。


 呼ばれて。


 いたであろう。


 それくらい。


 私の悲鳴は。


 大きかった。


 


 現在、諸事情により、更新している三作品すべての定期更新を一時停止しています。


 楽しみにしてくださっている方には、申し訳ありません。


 どの作品も執筆をやめたわけではなく、少しずつ続きを書いています。


 しばらくは不定期での更新になりますが、無理のないペースで続けていくつもりです。


 また続きをお届けできたときに、読んでいただけたら嬉しいです。


 今回も最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。