9 ③が続く
「どういうつもりだ」
悪魔が怒ってる。
トビアス伯爵次男だな、あれは。
案内しているのはガミ=ル公国の方だな。
「いえ、、・・・あの・・・」
「ガミ=ル公国の方だと知っていての態度なのか?」
「そんなつもりは・・・」
なんかもそもそ言い訳してる。
なにしたんだろう。
「何があったんですか?」
生徒会の皆様の塊に話しかける。
「ん?セリか。あはは」
なんかみんな苦笑い。どうしたんだろう?
「トマス=トビアスがなぁ、
どうも言葉がわからないはずだと思って、ガミ=ル公国なんて小国の相手なんて適当でいいか、
などと言ったんだ」
はぁ?馬鹿なのか?馬鹿なんだな。大馬鹿野郎だな。
呆れて言葉も出ない。
ガミ=ル公国と言えば国の規模は小さいが、特殊な宗教国家である。
全ての国の言葉を学び、他国の神を敬うという敬虔な国である。
他国の言語にも精通していることから、貿易の際には中立的な立場での通訳も務められるのだ。
また他国の神も敬う姿勢から、各国の宗教家たちが集まり、修行をしたりと世界でも一目置かれる国家なのだ。
国の規模は小さくても、ものすごく重要な国だというのに・・・。
ものすごく怒っている王子殿下、ま、そりゃ怒るわな。
てか、知らなかったのかな?
トマス=トビアス伯爵次男は教師に連れられて行った。
あれは地理の先生だ、そのまま補習をさせられるそうだ。笑える。
ちなみにガミ=ル公国の方は怒っていないらしい。さすが宗教国家、心が広い。
イスト国のお客様には簡単に状況を説明した。
ものすご~く笑っていた。
そのままガミ=ル公国の方と話をするそうで、私はお役御免となった。
「おい」
あ~疲れた。何とか満足してもらえたようだし、
「そこの男爵令嬢!」
これでまたチョコレートケーキに近付いたな。
「聞けよ!!」
美味しいチョコケーキワンホール、ワンホール!
「こっちを見ろ~~~」
美味しい妄想中にうるさいな、誰だよ。
またお前か、フランツよ。
「何か御用ですか?」
「お前、お客の相手はどうした」
「無事に終わりましたよ。他の国の方とお話があるそうで、先ほどお別れしました」
「そうか、ならば俺様の手伝いをしろ」
何言ってんだ?こいつ・・・。
「え~と?これは勝負だったのでは?」
「うるさい、たかが男爵の分際で俺に逆らうのか?」
男爵男爵うるさいな、それしか言えんのか。意味わからん。なんなんだよ、こいつ。
「何だと!」
あ、口から本音が出てたみたい。
『どうした?』
後ろから来たのはランス国の方だ。
『い、え』
『そこのお嬢さんは?』
『私はセリーナ=バロウズと申します』
『この男はあまりランス語が得意ではないようでな、君の発音は聞きやすい』
『ありがとうございます。何か問題がありましたか?』
「な、お前、ランス語が話せるのか、しかも結構流暢に・・・」
驚くとこ、そこ?私の事どんだけ見下してんだか。
「おい、お前、ランス国の薔薇の話って意味わかるか?」
こそこそとフランツが聞いてくる。
こんな奴に様を付ける気にもならんな。
「なんで知らないんですか?授業でやりましたし、ランス国と我が国のお付き合いは長いんですよ」
「う、うるさい、早く話せ」
え~、なんで私が?
「ランスの薔薇と言えば国の象徴です、主要産業の一つですね」
「へー」
「ランス国の薔薇を使った物はわが国でも輸入されてますし、逆に香水の瓶やせっけんの入れ物と言った外側を我が国が作成してお互いに利益を得ているんですけど、って本当にしらないんですか?」
「う、うるさい、で、ランス国の薔薇と言えばなんなんだよ」
「ランス国の薔薇と言えば、現在の王妃様の事ですよ?」
「え?」
『その通り、君に聞いたのはランス国の薔薇をどう思う?って質問なんだけどね。
我が国の王妃殿下の事知らなかったみたいだね』
凄くいい笑顔でランス国のお客様が割り込んできた。
長いお付き合いだから当然こちらの言葉も判るんだな。
ありゃ、フランツさん、がっくりしすぎて四つん這いになってる。
「なんてことだ、たかが男爵令嬢相手だと侮っていたが、授業の内容がこんなところで応用されるなんて・・・。俺は今まで何を学んでいたんだ。
いや、学んだことを全く生かせないとは・・・」
どーでもいいが、まだ接客の真っ最中だろうが。
仕方ない、
しゃがんで小声で話す。
「あの、まだお客様の接待中ですよ」
「そうだった!」
ガバリと起き上がったフランツ様はものすごい勢いで謝り始めた。
『大変、申し訳ありませんでした。私はもの知らずで失礼でした。謝罪します』
おぉ、ちゃんと話せるじゃん。
『先ほどの格好つけた話し方よりは聞きやすいぞ』
『ありがとございます』
そこからはなんだか素直に知ったかぶりしない感じで話してるみたいだ。
私に感謝しろよ?フランツ
他の3人も何とか問題なく終わったようだ。
5人の各国のお客人が戻って来た。
「ご苦労だった」
ご苦労だった?
よその国の人に対して偉そうだな。
「この5人はわが国の外交官補佐達だ。本当の特使達の案内なんてことを素人にさせるわけないだろう」
クロード様がネタばらしをしてくれた。
だよね~。
「セリは本物だと思ってただろう?」
「だろうね」
「いや~、補佐達の演技力の勝利だな」
お前ら、絶対に面白がってただろう。
演技力の勝利ってなんだ、何の勝負だっつーの!




