40 最後
なんでこんなことになったんだろう。
何度も何度もどうしたら逃げられたのか考える。
だが、どうしても悪魔に捕まる未来しかないのである。
なんで私の考えなのに悪魔に邪魔ばかりされてしまうのだろう・・・。
「おい、白目むいてるぞ」
はっ!いかん、現実逃避していた。
今日は悪魔たちの卒業式だ。
そして、なんと、婚約者としてのお披露目もあるのだ。
何とか逃げようと、衣装合わせなどから脱走したりしていたのだが、王宮の使用人の皆さまに簡単につかまり、護衛の方、主にゴウゼル様とエルザ様に連れ戻される。
いつの間にか父様母様のサインのある養子縁組届まで出されており、クロード=ヴィルハイト公爵家嫡男の義妹になっていた。
まあ、ゴウゼル様の家よりはましか・・。
あそこは男女関係なく、生きるすべてがトレーニングらしいからな。
お茶に呼ばれたときに、持ち上がらないティーカップを見たのは良い思い出だ。
エルザ様が優雅に持ち上げて飲んでるのを目を疑ったね。
「おい、魂が抜けてるぞ」
クロード様、うるさいな、やなんだからしょうがないじゃん。
「ふくれっ面をするな、笑顔はどうした」
こんな日に笑顔になんかなれないやい!
婚約者なんてやーだーよー。
「セリ、ここを笑顔でやり遂げたら、王宮のパティシエに最新作のケーキをごちそうしてもらえるぞ」
マジですか?
「最新作ですか?」
「あぁ、最高の果物を手に入れたらしいからな、食べたことのないケーキだぞ」
ゴクリ・・・。
「そういえば、ウェステリアではやっている雲のようなふわっとした菓子も、レシピを手に入れたって言ってたなぁ」
くぅ、さすが悪魔だ、私の弱点をうまくついてくる。
やってやりましょう。
最高のケーキと流行りの菓子のために・・・。
「アレク殿下、何か間違った方向で考えてるみたいですが」
「いいんだよ、お前の義妹が笑顔でやり切れば、他の貴族へのけん制にもなる」
くくくっとアレクセイ殿下が笑っている。
これからもこんな風に手のひらの上で踊らされるんだろうな、と側近候補から側近になった者たちは同じように思っていた。
「セリ、ゆくぞ」
「は~い」
待ってろ、私のご褒美!
私は最高の笑顔で歩き出した悪魔の後ろを歩いていく。
お読みいただきありがとうございました。
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