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22 セリ、怒る

 それからのミーナ様は本当に楽しそうだった。

毎朝ちょっと早めに登校すると、わらわらと〈仲良くしたい隊〉がわいてくる。

そしてミーナ様のファッションやメイクを直すのだ。

何といってもミーナ様はとにかくフリフリゴテゴテな頭と顔。


聞けば、公爵夫人、ミーナ様のお母様の趣味らしい。

「ミーナは可愛いからリボンやレース、宝石を沢山つけなくちゃ。」

全くセンスのかけらもない。

「メイクは盛るのよ。まつげを増やして、目は輪郭を大きく、口紅はプルンとなるように」

そんな母親が付けた侍女の為、何も思わずに毎日支度してもらっていたそうだ。


朝の仕事はそんなフリフリをはがしていき、ごてごてしたメイクをナチュラルにするのだ。


意外だったが、ミーナ様の素顔はとても可愛かった。

あの日涙でゴテゴテメイクが取れ、それを見たフリッツがびっくりするくらいだ。

相当大変身だったんだろう。


昼食はいつものように食堂で見守られながら、それでも少しずつマナーが向上している。

午後の授業後はサロンで勉強会。

小さい子供が習うことから始めているのだが、ミーナ様は楽しそうにわからないことを聞いている。

素直で可愛らしい。


ようやく10歳くらいの学習までわかるようになってきた。

どちらかというとウェステリア国よりも我が国の勉強の方に寄ってしまっている。

教えるのがこちらの国のご令嬢ばかりだから、そのあたりは仕方がない。


「セリーヌ、お願いがあるの」

ある日ミーナリア様から頼まれた。

それはウェステリア国のお義姉様にお手紙を書きたいそうだ。

絵本から少し上の本を読めるようになり、少しずつ自分のしてきたことが非常識で、どれだけ迷惑をかけていたのかを考えるようになれたのだと。

その上で、ミーナ様の今の気持ちを素直に届けたい。

そして、何度も勉強やマナーを教えてくれようとするお義姉様に、謝罪とここまで出来るようになったことを伝えたい、ミーナ様はまっすぐにこちらを見て

「だから、ギルバート殿下にお義姉様に手紙を送っていいか聞いてほしいの」

そう言った。


だから私は早速アレクセイ殿下にお願いして、ギルバート殿下にお願いをしたのだ。

頑張っているミーナ様の手伝いをしたかったのだ。

もちろん、お義姉様と仲良くなったら嬉しい、という気持ちもある。


「駄目だな」

ギルバート殿下からそういわれた。

「え?・・・」

「本当に改心したのか?ミーナリア嬢は。演技しているとは思わないのか?」

冷たい目でそうばっさりと断られた。

「だいたい、あの我がままで自分勝手で、自分の事しか考えられない彼女が、たかが数カ月でそんな風にしおらしくなるなんて怪しいしな」

「そうですね、趣味もマナーも悪い、救いようがないご令嬢ですから」

「あれが我が国の公爵令嬢だなんて・・・」

「義理とはいえ、リリーナ様の妹だなんて恥ずかしくて言えませんね」

ギルバート殿下とウェステリアの人々が口々に言って笑っている。

「まあ、もしこの国に引き取り手がいれば、置いて帰るってのもアリだな」


一人の口からその言葉を聞いた時、私は切れた。

「何だそれ」

「おい、セリ?」

「ミーナリア様は確かに始めはびっくりするような令嬢だったさ。

でも今は努力して努力して、少しずつ前に進んでいるよ。

それを・・・あんた達はそれを見たのか?

ちゃんとミーナリア様に向き合って、今の状態を確認したのか?

ふっざけんなぁ!」

「やめろセリ」

「うるさい!」

止めるクロード様を振り払う。


「知ってんのか?お前らの国でミーナリア様はリリーシャ様と比べられ続けて、勉強する気をなくしたことを!

馬鹿親どもが何のしつけもせずに、ただひたすら、可愛いって言っていただけなのを!

それが今は、幼児の読む絵本から始まって、毎日本を読むんだよ。

歴史を学んでるんだよ!

マナーも直そうと毎食緊張してて、肩が痛いって笑うんだよ。

そんな努力してる姿を見もしないで、演技だぁ?ふっざけんなぁ!

どこに目が付いてんだよ!

最後は置いて帰るのもアリ?くそが!

きちんと自分らの目で見もしないで、勝手にミーナリア様を判断すんな、くそ共がっ!!

それでも、今の姿を唯一怒ってくれた身内に自分の手で手紙が書きたいって、ほんの少しのお願いも叶える気がないんか、小さい男だな、節穴王子!」


「セリ、そこまでだ」

そう言ってアレクセイ殿下がハンカチで私の顔をぬぐった。

いつの間にか涙と鼻水でダラダラになっていたようだ。

そしてなぜか腕の中にしまわれている?

「殿下?」

「よくわかったから、もういい、泣くな」

背中をポンポンされると落ち着いてきた。

そして、思い出す。やばい、不敬罪で処刑だ!!


アレクセイ殿下が「大丈夫だ」そういった。



セリの口がかなり悪いです。

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