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戦争責任と戦後日本の違和感  作者: カトーSOS


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第3回 勝者の裁きという問題

挿絵(By みてみん)


第3回 勝者の裁きという問題


 東京裁判について考えていると、

 どうしても避けられない感覚がある。


 「勝者が敗者を裁いている」


 という構図だ。


 もちろん、

 戦争責任を問うこと自体を否定したいわけではない。


 実際、

 第二次世界大戦では、

 世界中で膨大な被害が出た。


 だから、

 「何もなかったことにしましょう」

 で済ませられない、

 という考え方も理解できる。


 だが、

 それでもなお、

 どうしても疑問が残る。


 なぜなら、

 戦勝国側は裁かれていないからだ。


 例えば、

 東京大空襲。


 木造住宅が密集した市街地へ、

 大量の焼夷弾が投下された。


 実際に被害を受けたのは、

 一般市民が中心だった。


 もちろん、

 当時の連合国側には理屈がある。


 日本は総力戦国家であり、

 都市そのものが戦争能力を支えている、

 という考え方だ。


 しかし、

 それでもなお、

 普通の民家を焼き、

 大量の市民が死亡した事実は重い。


 さらに、

 広島、長崎への原爆投下もある。


 戦争を早く終わらせるためだった、

 という説明は存在する。


 だが、

 だからといって、

 民間人被害の問題が消えるわけではない。


 私は、

 こうした都市爆撃を見ていると、


 「どこまでが戦争で、

 どこからが無差別攻撃なのだろう」


 と考えてしまう。


 しかも、

 これらについて、

 連合国側指導者が裁かれたわけではない。


 すると、

 どうしても、


 「敗者だけが裁かれている」


 ように見えてしまう。


 もちろん、

 戦争に勝った側が、

 戦後秩序を作るのは歴史上よくある。


 だが、

 それを刑事裁判という形で行うと、

 どうしても正義と政治が混ざる。


 ここに、

 東京裁判の難しさがあるように思う。


 時々、

 私は考えることがある。


 もし戦争の結果が逆だったら、

 どうなっていたのだろうか。


 もし日本が勝っていたら、

 アメリカ側指導者を、

 同じように裁判へかけていただろうか。


 正直、

 私はあまり想像できない。


 もちろん、

 これは単なる仮定の話だ。


 実際の歴史とは違う。


 ただ、

 この想像をすると、

 「戦争責任」というものが、

 どこまで法で、

 どこから政治なのか、

 分からなくなる。


 さらに言えば、

 現代の国際社会でも、

 戦勝国が敗戦国指導者を死刑にする、

 という光景はかなり減った。


 現在の国際刑事裁判では、

 死刑そのものが採用されていない場合も多い。


 つまり世界は、

 第二次世界大戦直後の

 「勝者による断罪」から、

 少し距離を取ろうとしているようにも見える。


 それだけ、

 戦争と裁判を結びつけることの危うさを、

 人類自身が感じたのかもしれない。


 もちろん、

 私は、

 戦争被害を軽く扱いたいわけではない。


 空襲も、

 原爆も、

 中国戦線も、

 東南アジアも、

 多くの人が亡くなった。


 だからこそ、

 感情だけで裁いてはいけないとも思う。


 巨大戦争の後には、

 当然、

 怒りや報復感情も生まれる。


 家族を失った人間に、

 冷静でいろと言うほうが難しい。


 だが、

 刑事裁判というものは、

 本来、

 その感情から距離を取るために存在するのではないか。


 もし、

 怒りと裁判が完全に結びついてしまうなら、

 法は非常に危うくなる。


 だから私は、

 東京裁判について考えるとき、


 「戦争責任」


 だけでなく、


 「報復感情と法の境界」


 についても、

 どうしても考えてしまうのである。


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