第11回 近代史を学ばないと現代が分からない
第11回 近代史を学ばないと現代が分からない
学校の歴史教育について、
私は昔から少し不思議に思っていた。
もちろん、
古代史や中世史に価値がない、
と言いたいわけではない。
日本という国が、
どう作られてきたのかを知るのは重要だ。
だが、
現代社会を理解するという意味では、
近代史や戦後史のほうが、
はるかに今と直結しているように思う。
実際、
私自身、
学校では、
享保。
寛政。
天保。
いわゆる、
「きょうかんてん」
のような語呂合わせを覚えた記憶がある。
もちろん、
当時はそれを必死に暗記した。
だが大人になって振り返ると、
正直、
現代社会とのつながりはかなり薄い。
それよりも、
なぜ日本に米軍基地があるのか。
なぜ日米同盟が存在するのか。
なぜ憲法9条が生まれたのか。
なぜ中国や韓国との歴史問題が続いているのか。
なぜロシアとの北方領土問題があるのか。
こうしたことのほうが、
現代日本を生きる上では、
はるかに身近だ。
しかも、
これらはほとんど、
近代史や戦後史の延長線上に存在している。
第二次世界大戦。
敗戦。
占領。
冷戦。
朝鮮戦争。
高度経済成長。
こうした流れを知らないと、
今の日本社会が、
なぜこの形になっているのか、
なかなか見えてこない。
私はそこに、
日本の歴史教育の不思議さを感じる。
もちろん、
学校教育には時間制限がある。
古代から現代まで、
すべてを深く扱うのは難しい。
だが実際には、
近代史へ入った頃には、
授業がかなり駆け足になっている印象が強い。
特に戦後史は、
十分な時間が取られていないことも多い。
しかし、
戦後史こそ、
今の日本と直結している。
例えば、
日本はなぜ戦後、
アメリカと同盟関係になったのか。
なぜ敗戦国でありながら、
急速な経済成長を遂げたのか。
なぜ安全保障をアメリカへ大きく依存しているのか。
これらは、
戦後冷戦構造を知らないと理解しにくい。
さらに言えば、
現在の中国や台湾問題、
ロシア問題なども、
冷戦や戦後秩序の延長線上にある。
つまり、
現代社会というのは、
戦後史そのものでもある。
にもかかわらず、
多くの人は、
近代史を断片的にしか知らない。
だから時々、
現代の国際関係が、
突然起きた出来事のように見えてしまう。
だが実際には、
かなり長い歴史の積み重ねがある。
私は、
歴史というものは、
単なる年号暗記ではないと思っている。
むしろ重要なのは、
「当時の人が何を考えていたのか」
を理解することだ。
なぜ日本はアメリカと戦争したのか。
なぜ敗戦後、
対立ではなく同盟へ向かったのか。
なぜ日本人は、
戦争を強く嫌うようになったのか。
こうしたことは、
近代史を知らなければ見えてこない。
そして、
今の社会問題も、
多くは近代史とつながっている。
エネルギー問題。
安全保障。
憲法。
外交。
基地問題。
歴史認識。
どれも、
戦後世界の中で形成されてきた。
だから私は、
歴史教育の中でも、
近代史や戦後史をもっと丁寧に扱うべきではないか、
と思っている。
もちろん、
過去を単純に善悪で裁く必要はない。
だが、
「なぜ今こうなっているのか」
を理解するためには、
近代史は避けて通れない。
私は、
そこを抜いたままでは、
現代日本を本当に理解することは難しい気がしている。




