#9「猫は嫌いですか?」
#9「最終話」
朝の6時、昨日、寝るのが遅かったにもかかわらず、いつもどおりの時間に起きた。
横を見ればやはりまだ猫は寝ていた。可愛い寝顔なので見ていると
少し唸ったかと思うと、目を開けた。
「おはよう」そういって、俺は猫の頬を撫でる。
「おはよう〜」ん?
「・・・・・・今のはお前か?」俺は部屋を見回してから、猫に聞く。
「・・・・あれ?私の言ってること分かるの?」猫も驚いているようだ。
「5歳になったら、人語での会話が出来る・・・・・とか?」とでも、言わない限り、状況が分からん。
「やったー♪」猫が飛びついてくる。俺ごと後ろに倒れるが、ベッドなので衝撃は無い。
「まぁ、いいか」俺は深く考えるのを止めた。どうせわからん。
「会話が出来る!言いたいことが言えるー♪」ギューって、効果音がしそうなほどに強く抱きしめられた。
「丁度いい、猫って呼んでたが、名前は欲しくないか?」俺は思いついたことを言ってみた。
「あ・・・欲しい!」
「お前が好きなのにしな」頭を撫でてやる。
「うーん、じゃあ、美毛?」首をかしげながら言う猫(美毛)
「ふむ、字は美しい毛色か・・・・いいかもな」俺は笑いながら美毛の頭を撫でる。
「にゃうにゃうー」人語を話すようになっても、大して変わらないらしく、俺に頭を押し付けてくる。
「さて、朝飯にするか?」体を伸ばしながら聞く。
「うん、トーストと牛乳ー♪」美毛が両手を伸ばしてはしゃぐ。人語を使えて、俺と会話できるのが嬉しいのだろうか。
俺たちはいつもどおり着替えてから台所へ行き、朝食を食べた。
「会話しながらの朝食は何年ぶりかな?」独り言だ。勿論、美毛に話しかけることはあったが回答がハッキリしていなかった。
その日は俺たちはケーキを買って祝った。
寝るために二人して布団に入り、電気を消した後の会話だ。
「起きてる?」美毛が俺のほうに顔を向けながら呼ぶ、暗闇だ。
「ん?寒いのか?」美毛のほうに布団を寄せる俺。
「あのね?」衣擦れの音。
「どうし・・・」俺の声は途中で切れる。口が塞がれたのだ。感触は暖かく、柔らかい。よく知る感触だ。
「・・・秋月、大好き」口の感触が離れた後に耳が俺の名前とその言葉を聴き、また衣擦れの音。
最初のは美毛が近づいた音。最後のは美毛が離れた音。
間の感触は美毛の唇。
感触の後の言葉は美毛のキモチ。
横を見れば美毛の背中、暗闇だけど、耳が赤くなってるように見える。
俺は何も言わず、何も言えずに美毛を後ろから抱きしめて、
「俺も、美毛が大好き」
そのまま、俺たちは夢に入った。
後日談だが、
俺たちは今も二人で暮らしている。




