追加要求 4
戦闘シーン苦手です。(T ^ T)
「我が想いは刃となり、我がこころは盾となる。そは邪を貫き、凶を払え」
シダが呪文を唱え終わると3人の身体を包むように淡い光が瞬き消えた。
「え?」
「なに?」
ミッチとコールが突然の魔法発動に驚く。二人は、と言うより誰もシダが戦闘用の魔法を使うところを見たことが無い。だがオルガは知っていた。
一般によく知られている魔術師が使う戦闘用の魔法とは少し違う。シダのオリジナル、一つの呪文で攻撃防御両方を付加するがその為魔力は余分に使う。
その驚いてしまった一瞬の所為でミッチとコールの反応が遅れてしまった。
「はあっ!」
オルガは剣を頭上に向け気合を込めた一撃を大きく薙ぎ払うように繰り出した。
四人目掛けて急降下をかけたソレの爪とオルガの剣がぶつかりガキンッ、と音を立てる。ソレの羽ばたきによりもたらされた暴風に耐えられずシダがたたらを踏む。ローブが風をはらんで煽られたせいで。
「ボサッとすんじゃねえ!」
オルガの叱責に剣を構え直すミッチ。コールが倒れる前にシダの腕を捕まえ支えた。
「ゲギャーーーーーッ」
ガンダルダ 鳥型の魔物だ。羽を広げると3メートルはありそうだ。鋭い爪で獲物を捉え鋸の歯のようなギザギザの大きな嘴で獲物の肉を噛みちぎる。
「来るぞ!」
一度目の襲撃を失敗したガンダルダは上空で旋回し再度急降下して襲って来る。魔物は魔力量の多い獲物を好む、狙いはシダという事だ。オルガはシダの前に位置どる。コールは掴んでいたシダの腕を引っ張ってミッチの方へ押し出す。オルガは剣を両手で左斜め下に構えた。
「チッ」
ガンダルダの襲撃タイミングに合わせ下から斜め上に切り上げる。
「ゲギャッ」
一刀両断されたガンダルダはそのまま地面に激突したが勢いのままズザザザッと滑って行く。
「隊長、スゴ」「まだ、来るよ」
オルガの剣技に感嘆の言葉を漏らすミッチを遮るようにシダが呟く。
仰ぎ見ると二羽のガンダルダが急降下の態勢に入るところだった。
ザンッ
ガキン
オルガの一撃は一羽のガンダルダの羽をを切り落とすが、コールはもう一羽のガンダルダの爪を弾く。
落ちたガンダルダにミッチが駆け寄り止めをさす。
「ゲギャギャッ」
断末魔の叫びをあげつつ最後の抵抗とばかりに残った羽をばたつかせる。
そうしている間に残りの一羽が急降下する。だが今度は寸前で上昇に切り返え戻っていった。
ガンダルダの急降下で巻き起こった風がまたシダのローブをはためかせた。
「うわッ」
シダの身体は勢いよく3メートルほど飛ばされそのまま薬草の上に倒れこむ。1メートル後ろは崖下だ。
「そのまま寝てろ、ソコ動くな!」
起き上がればガンダルダの羽ばたきで飛ばされる。寝転んだままならローブも風をはらみにくい。
オルガはシダの前に剣を斜め下に構えて立つ。頭上で旋回していたガンダルダが急降下に入った。
「ハッ!」
気合とともに切り上げたオルガの剣はガンダルダの頭と身体を分断した。二つに分かれたガンダルダはそのまま崖下へ放物線を描いて落ちていった。
「あ、勿体無い…」
寝転んだままのシダから緊張感の無いセリフが出た。
「お前なあ」
剣を鞘に納めつつオルガが呆れる。確かにガンダルダの素材は貴重だが、不意に襲われたばかりの者の言葉では無い。頭をボリボリかきつつ二人に指示を出す。ガンダルダの爪、嘴、肝が素材として有効なので、
「コール、ニッチ、そのガンダルダ解体は後にして戻るぞ」
血の臭いに惹かれて別口が現れる可能性があるのだ、二人はガンダルダを手早く革袋に詰め口を縛る。
「ほら、お前もさっさと起きろ」
オルガはシダを起こそうと手を差し出した。シダは上半身を起こしオルガに手を伸ばす。
ボコッ、バコボコッ
「え?」
シダの横たわる薬草の下が陥没した。緊張感の無いシダの声をかき消すようにさらに激しい音がする。
「あ、うそ」
バキバキボコドコン
シダとオルガの眼があった。次の瞬間シダの姿はそこになかった。
「イヤーーーーーーッ」
「シダッ!」
「「シダさん」」
3人はシダの姿を追いかけ崩れた崖際に這いよる。下は脆い、注意しながら崖下を覗き込む。
「シダ!おい、シダッ」
崖の15メートルほど下に棚になったようなところでシダが倒れて居るのが見えた。
「「シダさん」」
気を失っている様で返事が無い。
「ニッチ、ロープ出せ」
垂らしてみるが長さが足りない、どうするか?
「この崖は脆くて登れねえ。下はタタロス川の支流だ、俺が降りてシダを連れて川沿いに砦を目指す。お前らはビルに報告して砦に俺のワイバーンを離すよう伝令を出してくれ。あいつは俺を見つけられる」
「隊員呼んで引き上げた方が…」
言いかけたニッチにコールが
「いや、ここは足場が脆すぎる、大勢で来れば更に崩れるかもしれない」
「そう言う事だ、頼むぞ」
ニッチとコールはロープを身体に巻きつけ寝そべる。オルガは慎重に崖を降りる、足らない距離は飛び降りるしか無い。
「離すぞ」
二人に合図を送ってから残り2メートル程を崖に沿って滑る様にシダのいる出っ張りの処へ落ちていった。
すぐにシダの首に手をやる。脈はある、気を失っているだけか。上の二人に向かって声をかける。
「気を失ってるだけだろう、ニッチ、そのロープ落とせ、必要になるかもしれん」
ニッチはオルガに向かってロープを落とす。
「隊長、大丈夫ですか?」
「ああ、後頼んだ、急げよ」
「「了解です」」
ニッチとコールの姿が崖上から消えた。




