けじめをつけましょう。
ああ、気が重いよ。
男性ってどうにふるんだろう?
「ニュセアさん、いいですか?」
王宮に復帰したその日にニュセアさんを呼び止めた。
南棟は迎賓館らしく落ち着いた中にも華やかだ。
なんか他の侍男さんたちにガン見されてるような気がする。
物陰にかくれた。
人前で話すことじゃないし。
「もう、お怪我は大丈夫なのですか?」
すごく心配そうな顔をされた。
いいづらいなぁ。
でも、言うのが礼儀だよね。
「はい、御心配お掛けしました。」
ニュセアさんを少し見上げながら言った。
ニュセアさんは小柄なんだろうけど、私より少し身長が高い。
「ねぇ、碓井中級武官があいにきてるって!」
元気な侍男さんが走ってきた。
「しー、邪魔しちゃダメよ。」
ほかの侍男さんがいってるのが聞こえた。
わーん、言いにくい。
「ニュセアさん、ちょっと場所を移しましょう。」
うん、あっちに東屋があったよね。
「はっきりいってください。」
ニュセアさんが言った。
なんか、ばれてる?
でも、ふるのが礼儀なんだよね。
「…あの、私…。」
ダメだ、これじゃ乙女だ。
「わかってるのです。」
ニュセアさんが穏やかに微笑んだ。
言うんだ、ちゃんと言うんだ。
「私を想っていただいてありがとうございます、でも、私は大事な人がいるのでニュセアさんの気持ちに答えられません。」
これでいいんだよね。
「はい、わかっています…わかってるのです。」
わー、泣いてる。
まわりは冷たい目で見てるし針のむしろです。
「碓井中級武官!この子のどこが不満なんですか!」
走ってきた侍男さんがニュセアさんを抱き締めて言った。
わーん、修羅場だ!
「ニュセアさんがいけないんじゃないんです、私が好きな人が他にいるだけで。」
私はしどろもどろだった。
「当たり前じゃない!最低よ、繊細な男性をもてあそぶなんて!」
その侍男さんが叫んだ。
なんか、不条理だよ。
もてあそんでないもん。
「いいのよ、わかってるのです、碓井中級武官は海洋研究所のウセーファさんがお好きなのです、私とちがって頭のいいかたなのです。」
泣きながらニュセアさんが言った。
「なにいってるのよ!あんたの方が、ずっと男らしいわよ!そんな女まさりに負けないわよ!」
強い侍男さんがいった。
ともかく謝り倒せってアルス姉さんがいってたな。
「すみません、本当にごめんなさい、許してください!」
私は頭を下げまくった。
ついでに床の模様がよくみえたよ。
「……いいのです、私がかってに想ってただけなのです。」
ニュセアさんが細い声で言った。
「あんたがよくても、私が許さないわ!なんか!貢ぎ物してもらうわ!」
強い侍男さんが言った。
た、高くないといいな。
「なにがいいですか?」
私は怯えながら聞いた。
「人魚の歌の南国フルーツロールを三本よ!」
強い侍男さんが言った。
そ、それ、行列スイーツじゃないですか!
「青い海獅子の極上ミルクアイスを15個とマンゴーミルクアイスを15個ね。」
ほかの侍男さんも便乗した。
アイスか…ジャックにたのむか手伝い。
「おおかた、ウェルピーナ中級武官とかイシエクワ近衛騎士団副隊長にも手伝い頼むんでしょうから、騎士団の正装で届けてちょうだい!」
強い侍男が言った。
「キャー、よく言ったわー、眼福よね♪」
侍男さんたちがさわいた。
「あんたはなに頼む?遠慮は禁物よ。」
強い侍男さんがニュセアさんに言った。
「…真珠の夢の泡真珠ケーキがほしいのです。」
ニュセアさんが少し笑った。
よかったよ。
でもそこも行列スイーツだよね。
結局、ジャックとエリック、ゼアス先輩とアルス姉さんまで手伝ってもらって
大変苦労いたしました。
教訓、男性をふるときは近くに友達がいるか確かめましょう。
騎士団の正装までみんなにさせて…。
今度カレーおごらないとな。
ああ、懐と心が痛いよ。




