悩んだ武官を保護しました
碓井さん、あなたどうしてそう
いつもいつも危なげなんですか?
「碓井さん、なにたそがれてるんですか?」
私はボーッと海を見てる碓井さんに言った。
「あ…ウセーファさん、今晩は。」
碓井さんは寂しそうに微笑んだ。
「なにか、寂しいことでもあったんですか?」
私は言った。
大体なんで、私の帰り道にいるんだろう?
「え…ああ、ウェルピーナ家の当主様は恐ろしいですね、縁談まで持ち出されました。」
碓井さんがうわ言の様なことを言った。
そういえば、この向こうにウェルピーナ家があった事を思い出した。
碓井さんからは微かにカレーの匂いがする。
呑めないって言ってたのに。
「どなたの縁談?」
私は言った。
「私です、男性執事のカイエラさんと結婚して次代当主のジャックを助けたらどうかと言われました。」
碓井さんが言った。
カイエラ執事さん?イリア・カイエラの事?
そう言えば、ウェルピーナ家の代々執事の家系で、男兄弟しかいなくて男の身で後をついだのでした。
小中学は同じ学校だったわね。
誇り高い男だったけど。
「第二騎士団は辞めるの?」
私は聞いた。
イシエクワ隊長が悲しみますね。
この優しげな碓井さんのこと気に入ってるみたいだもの。
「辞めません、海馬のしっぽは。」
碓井さんはきっぱり言った。
夕日と伴って黒い髪彩られた、琥珀の目がキラキラ光った。
泣いてるんですか?
「ジャックを見捨てられないけど、ウェルピーナ家でなにすればいいかわからないし、あの執事さんなんか獲物を狙う肉食動物みたいで怖い。」
碓井さんはやっぱり泣いてた。
なに?可愛いって女性に失礼ですよね。
「カイエラさん怖いです。」
碓井さんは震えてる。
私は思わず抱き締めた。
はしたないですか?
「ウセーファさーん。」
碓井さんは私にしがみついて本格的に泣き出した。
なに、この守ってあげたい感覚は?
私は碓井さんの小さい背中を撫でた。
「一緒に遊ばないか?」
遊び人風な女が何人か集まってきた。
にやにやしてる。
「取り込み中です。」
私が言った。
碓井さんは私にすっぽり隠れてるから男だと
思ってるらしい。
「男同士でイチャイチャしてないで、俺らと遊ぼうぜ♪」
女が私の肩に手をかけた。
どうしたらいいのですか?
私、戦闘能力何てないです。
でも、碓井さんは守らなくちゃ!
私は碓井さんさらに抱え込んだ。
「こっちにこいって、小さい子の顔もみたいな。」
女が碓井さんから私を離そうとした。
「ウセーファさん、離してください。」
碓井さんが静かに言った。
え?大丈夫…武官だったですね。
でも、5人もいますよ?
碓井さんは私の腕の中から出てきた。
「可愛いじゃないか。」
女は口笛を吹いた。
私の目から見ても男に見えますよ。
「一緒に遊ぼうぜ♪」
女が碓井さんの腕を持った。
「お断りします。」
碓井さんは言った。
ねえ、私、夢見てるのですか?
碓井さんが鮮やかな武術でいっきに
5人倒したのが見えたんですか。
「ウセーファさん、すみません、守るべき私が役にたたず、怖い思いをさせてしまいました。」
碓井さんが私の前で騎士の礼をとってる。
格好いい、自分が物語の王子様になったみたいです。
「碓井さん、カイエラさんから逃れる方法教えましょうか。」
私は言った。
「さらにご迷惑をかけるわけには…。」
碓井さんは言った。
端末を出して誰かに連絡してるみたいです。
イシエクワ隊長かしら?
「私はラハヤ・ウセーファです。」
私は言った。
「はい?なんですか?」
通信が終わったらしい碓井さんが言った。
「私の名前はラハヤ・ウセーファです。」
私は言った。
「霧華!大丈夫か?」
ウェルピーナ家の方から若い女性がかけてきた。
碓井さんは一瞬固まったあと言った
「あ、あの?プロポーズしてませんけど。」
戸惑ってるみたいですね。
「逆プロポーズしてます、碓井さん、霧華さんには選択権は無いけど。」
私は微笑んだ。
「ええ?困ります。」
碓井さんが言った。
「カイエラさんより私のほうが良いですよ。」
私は言った。
「霧華、スゲーなよく、5人も一気に…。」
若い女性が遊び人風な女たちを見ながら言った。
私は、呆然自失らしい碓井さんの髪を編んで家の紋章(といってもたいした家柄じゃないけど)いりの髪飾りで縛った。
「ジャック~。」
碓井さんが情けない声を出した。
「お前、婚約したんか?」
ジャックさん?が言った。
「そうみたいです。」
碓井さんが言った。
「霧華、大丈夫か?」
ジャックさん?が言った。
大丈夫じゃなくても
婚約しました。
どうしてかしら?
かっこ可愛い女の子に
ドキドキしたからですよね。
早めに婚約のお返しもらわなきゃ。
ネックレスじゃ引っ掛かるから、
腕輪かしら。
あー、また、泣きそうです。
今度泣かしたのは私ですね。




