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opening

1話では、話がまだよくわからないと思います。

2話からそれっぽくなっていきます。

できれば飛ばさない方が面白く読めると思います。

「それはなかなか良い案であるな。」

黒のマントに身を包んだ男が、もう1人の同じ容姿をした男に言った。

「はい、ありがとうございます。」

丁寧な口調で応えた。礼を述べた方が年下、あるいは

身分の低い者なのであろう。

「しかし、それだけ大きな計画となれば、事前に被験者を用意するべきだな。」

「この実験には強い絆で結ばれた2人でなければさいけません。」

「そうだな・・・・・、ならばこの2人が適任だ。」

少し間を空け応えた。その直後壁に2人の少女が映し出された。

「この2人は・・・?」

「宮原夏奈と神田実紅だ。被験者はこの二人に決定する。早急に手配しろ。」

「かしこまりました。」




5月。朝日が街全体を金色に輝かせていた。

昨晩の俄雨で、道路は部分的によりいっそう光り輝く。心地よい、と夏奈(かな)は思う。

出来ることならこのままベッドの中にこもっていたい。

重たい瞼を持ち上げ、ふと窓を見る。

窓の向こうには、白い小鳥が木にとまって鳴いていた。

その鳴き声がより一層夏奈の眠気を誘った。

しかし、夏奈はベッドを離れなければならなかった。

なぜなら・・・


「夏ー奈ー。お・き・ろ~!」


1階の方から実紅(みく)が叫んでいる。

もうそんな時間かと思い、ふと時計を見ると

針は8時6分を指していた。

夏奈は慌てて窓を開けた。

「ごめん!寝坊した!今行く!」

実紅はいつものことなので、特に急かす様子もなく応えた。

「はいはい。待ってるからいいよ。」


これで寝坊したの何回目かなぁ・・・?

はぁ・・・。また実紅に怒られる・・・。

そう思いながら夏奈は顔を洗い、歯を磨き、着替えた。

階段を下りると1階ではお母さんが呆れ顔で、朝食を用意していた。

「ごめんお母さん!もう行く!」

母である結(ゆい)も慌てずに応える。

「お弁当はちゃんと食べなさいよ。」

そういって結はお弁当を手渡した。

「ありがと。」

お弁当を受け取って、テーブルの上に置いてあったオレンジジュースを

一気に飲み干し、玄関に向かった。

「いってきます!」

靴を履きながら結に言った。

「気を付けなよ。」

少し子供扱いしたような口調だった。


ドアを開くと心地よい朝の空気が、風となって

夏奈の頬を撫でた。

先ほど見た小鳥はもう居なかった。

前を見ると実紅が膨れっ面でこちらを見ていた。

明らかに何か言いたそうな目付きである。

天然だ、とよく言われるし自分でも自覚しているが、

そんな自分でもそれくらいは分かった。

ここはとりあえず実紅に謝ろう。

「ごめんなさい。あ、明日からは7時半に・・・起きます。」

間髪入れず呆れ顔の実紅が言う。

「もうそれ何回も聞いた。いい加減にしてよ~。」

やっぱちょっと怒ってる。

「だから、ごめんって。」

「分かればよろしい。反省してよ?」

どうやら許してもらえたようだ。夏奈は安堵の表情を浮かべる。

「何?その顔。ほら、学校いくよ!」

そういえば時間無いんだった。

「うん!」

革靴のつま先を二度地面に打ち、

二人は風を切って駆けていった。

空では先程の小鳥が声を上げながら

翼で空を切っていった。


放課後


「終わったぁ。疲れたぁ。」

夏奈は両腕を高々と伸ばし欠伸をした。

教科書やノートなどを鞄に入れていると

実紅がやけに明るい顔で近付いてくる。

「ねぇ、いいもの貰っちゃった。」

実紅は満面の笑みを浮かべている。

「なに貰ったの?」

実紅がそこまで喜ぶもの。

正直かなり気になった。

「え~。教えて欲しい?」

勿体ぶって実紅は訪ねた。

「勿体ぶってないで早く教えてよ~。」

「しょうがないなぁ。実はね、清(きよ)ちゃんに最近駅前に出来たスイーツショップの

割引券貰っちゃったんだ!1時間食べ放題が50%off!しかも2人分!」

清ちゃんとは学校の英語の先生の米田清子先生のことである。

なかなかフレンドリーで、生徒達から絶大な信頼を

得ている先生。実際、夏奈も話しやすくいい先生だと

思っていた。実紅も同じである。

清ちゃんならくれそうだな、と夏奈は思った。

だから先生からのプレゼントだとしても

あまり驚かなかった。

しかし、甘党の自分からしてみるとその割引券は

喉から手が出るほど欲しいものであり、

実際自分の手は実紅の持っている割引券に伸びていた。

「2枚あるからちゃんと夏奈も連れてってあげるよ。」

「ありがとぉ。持つべきものは友だねぇ。」

心の底から実紅に感謝した。

「じゃあ、今週の土曜とか空い-」

空いてる?と続けようとした実紅を

夏奈の声が遮った。

「今日!今日行こ!」

土曜日なんて待ちきれなかった。

夏奈の頭の中は既にスイーツでいっぱいだった。

ケーキにタルト、ゼリーにチョコ。

考えるだけでヨダレが出てきそうだった。

というか出ていた。

「ちょっと、ヨダレヨダレ。」

実紅の注意でやっと我に返る。

「あ、ありがと。」

慌ててハンカチで口を拭い話を戻した。

「で、今日行こうよ。」

「きょ、今日?・・・ま、いっか。行こっか。」

少し動揺した様子で応えた。

「やったぁ。」

「しかし、あんたも甘いもの好きね~。ま、アタシも好きだけど。」

「もちろん!甘いもの大好き!さ、行くよ!」

思い立ったらすぐ行動するのが夏奈だった。

夏奈にはそういうところがあった。

いきあたりバッタリ。実に夏奈にお似合いの言葉である。

夏奈は立ち上がり、実紅の手を引く。

「ほら、行くってば。」

二人は教室を後にして下駄箱に向かった。



「お~いしぃ。」

夏奈が声を上げる。

「ほんと、清ちゃんに感謝しないとね~。」

話しながら頬張る夏奈の口は実に忙しそうだ。

夏奈の目の前にはみるみるうちに、

ケーキなどがのっていたであろう皿が積まれていく。

「・・・。」

いつものことながら実紅は若干引いた。

まったく、この子の胃袋って・・・。

これが正直な実紅の感想だった。


1時間後


「やぁ、美味しかったぁ。また来ようね。」

夏奈はかなりご機嫌だ。

「お小遣い入ったらね。」

実紅もかなり気に入った様子だった。

実紅はある1つの疑問が頭に浮かんだ。

「アンタさ、なんでそんな甘いものばっか食べてんのに太んないの?」

確かに誰しも思いつくような疑問だった。

甘いものばっか食べている。

なのに太るどころかむしろ痩せ型で、女性が望む理想のスタイルと形容してもいいくらいだ。

夏奈は特になんとも思っていないようだったがその疑問に応える。

「う~ん。わかんない。タイシツ・・・かな?」

普通の女の子であれば少し苛立たせる答え方だったが、

実紅は普通に羨ましがって言った。

「いいなぁ。結構たいへんなんだぞ。現状維持っていうの?」

「へぇ~。そーなんだ。」

夏奈は他人事のように応える。

「アンタには無縁のこと聞いちゃったわね。」

そんな会話を歩きながら交わしていると

急に夏奈が大きな声を上げた。

「痛ー。」

夏奈が転んだのである。豪快に。

こんなことの積み重ねで夏奈は天然と呼ばれるようになった。

教科書やノートは3,4冊程地面に散らばり、筆箱も落ちてしまった。

「だ、大丈夫!?」

実紅は驚きと心配の入り交じった表情で手を差し出した。

「あ、ありがと。」

夏奈はお礼を言いながら地面に散らばった教科書などを拾い集めようとした。

「まったく、この年齢で転ぶっ・・・。」

実紅はそこで言葉を区切った。いや言葉を失った様子だった。

今度は夏奈が実紅を心配をした。

「どうしたの?」

様子がおかしい。顔は明らかに引きつっている。

実紅の視線の先・・・私、いや・・・私の後ろ。

夏奈は慌てて後ろを振り向いた。

その瞬間、夏奈も驚きのあまり絶句した。

先ほど散らばったノートの1冊がなんと

ブロック塀にめり込んでいたのである。

そう、まるでそこに塀なんて無いかのように。

2作品目になります。

まだ、なれない部分があり読みにくいところも

あるかと思いますがよろしくお願いします。

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