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プロローグ

昭和61年3月8日。

東京の街は、かつてない危機の最中にあった。

街のところどころで炎が上がっており、警察官や消防士が怪我人を見つけては救助に励んでいる。

しかし、それでも人手が足りなかった。


「こっちだー!壁の下に怪我人がいるぞー!」


オレンジ色の戦闘服を着た男、幸三は大きな声で合図を出す。しかし、周りにいた消防隊員も警察官みみな手一杯で幸三に手を貸す余裕はなかった。


「クソ、政府はこの後に及んでまだ自衛隊を出し惜しんでるのか!?大バカ野郎どもが!」


幸三が落ちていた鉄骨を使い、壁をどかそうとしていると避難途中の男が引き返してきた。


「手伝います!」


男の顔はすすで黒くなり、着ている工員服も土と埃で汚れている。胸元には神原とかかれた名札をつけている。


「ありがとう!だが、ここは危険だ!避難してくれ!」


神原は幸三の顔をみると、声を潜めて言った。


「マタイの人でしょ?」

「え?」


幸三は自分が所属する部隊の名前を突然言われ、思わず呆然とする。一般人には知られてはいけないし、そもそもその存在すら機密扱いだ。

神原は幸三に顔を向けず、板で地面を掘りながら言った。


「昔、隊長さん、そしてプリズマンに命を救ってもらったんです。このくらいしなかったら罰が当たりますよ!」


幸三はハッと我に返ると、すぐに避難活動に戻る。


「ご協力ありがとうございます!」




2人から数キロ離れた喧騒の中心。

そこには紅蓮の炎に包まれた東京タワーがあった。燃え上がるタワーが夜空を不気味な赤紫に染め上げている。

特別展望台で、二人の男が対峙していた。

一人は幸三と同じオレンジ色の制服を着ており、左肩には星形のバッジがついている。

もう一人は、いや人であるかどうか分からなかった。水晶ドクロの仮面に、真っ赤なマント。不気味な漆黒の鎧を身に纏った、闇大将軍メフィスト。

そのマントには世界征服を企む悪の組織「デスダーク」の証、黒十字星が刻まれている。


「光里田ワタルいやプリーーーズマン!ここがお前の墓標だ!!」

「闇大将軍メフィスト!!俺は負けない!この星の人々のためにも!」


オレンジの戦闘服の男、光里田は左腕のブレスレットをかざし、叫んだ。


「チェーーーーンジ!プリズマン!!」


ブレスレットから放たれたまばゆい光が、光里田の身体を包む。やがて光が収まるとそこには異形の戦士が立っていた。

流線型の頭部にアーモンド型の瞳。ボディービルダーのような頑強な筋肉を持つ超人。


「勇気と正義の戦士、プリズマン!」


彼こそがこの星の希望、プリズマンである。

その胸には光の戦士である証、プリズムストーンが眩い光を放っている輝いていた。


「プリーーーーズマン、その口上を聞くのも最後かと思うと、寂しくなるな」

「そうだなメフィスト。ここでオレがお前を滅するのだからな!」

「ほざけ!」


メフィストはバッとマントをひろげると、中から赤い巨大な十字型手裏剣を取り出した。


「レッドクロスギロチン!」


十字形手裏剣が音を立ててプリズマンに迫る。

プリズマンは胸をはり、叫んだ。


「プリズムサンダー!!」


次の瞬間、プリズムストーンから黄金の稲妻が走り、十字形手裏剣を爆散させた。


「そうでこなくては面白くない!」


メフィストは空に手をかざす。


「来い、 暗黒剣ブラッドシザース!!」


黒い光が走り、メフィストの手に剣先が2つに割れた黒い刃の魔剣が現れる。

それに呼応するかのように、プリズマンはプリズムストーンに右手をかざした。


「プリズムソード!」


プリズマンの右手にまばゆい光が集まり、黄金に輝く水晶の剣が形成された。

吹き荒れる爆風の中、


「行くぞ! メフィスト!」

「これで終わりだ! プリーーーズマン!」


二つの影が同時に地を蹴った。


「プリズム・ゴルドスラーーーーシュ!!」

「シザース!ブレイカーーーーーー!!」


空中でまばゆい閃光と漆黒の闇が交差する。

キィィィィン! と鼓膜を破らんばかりの金属音が響き渡り、火花が散った。

2人はほぼ同時に着地した。


「うう……っ!」


直後、膝をついたのはプリズマンだった。

プリズムソードがまとった光が微かに揺らぎ、消滅する。

メフィストはゆっくりと振り返ると、ドクロの奥で目を細めて勝利を確信した。


「プリーーーズマン敗れたり……! 」


メフィストはゆっくりとプリズマンに歩み寄る。


「貴様の光もここまで。楽しかったぞ、プリーーーーズ…」


不意に金属が割れる音がした。


「な、なにっ!?」


振り返ったメフィストは思わず声を上げた。なんと暗黒剣ブラッドシザースが剣先から真っ二つに折れていたのだ。


「ブラッドシザースが折れただと…」


驚愕に染まるメフィストの鎧に無数の亀裂が走る。その亀裂からは黄金の光が飛び出した。


「バ、バカな…!? この私が、この闇大将軍である私がお前ごときに…!」

「私の力ではない…」


プリズマンはゆっくりと立ち上がると、天に向かって指を突き上げた。


「それは友、そして、この星がくれた正義の光だ!」


メフィストは内部から焼かれ、苦しそうにうめき声を上げながら、この世のすべてを呪うように叫んだ。


「光が闇を消すことは出来ない!…プリーーーズマンーーーーーー! 闇が消える時…それは、光が自ら闇に染まる時だァァーーーッ!!」


メフィストの身体は断末魔とともに爆発した。

その衝撃で、炎上していた東京タワーは炎が吹き飛ばされ、辺りには静寂が戻る。

プリズマンは決意を込めて言った。


「光は闇には負けない。私は…プリズマンはいつまでも輝き続ける!」


それが、後にデスダーク大戦と呼ばれた戦いの結末だった。

毎週金曜日、8時に更新予定です。

次回をお楽しみに。

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