EP.3 : 類は友を呼ぶとは限らない.2
私の笑顔に怯えて、男の子は両手に火の玉を出して──、その手を向けてくる。
やっぱりさっきのは、貴方がやったんだね。
おかげで、ママに買って貰った、大事なワンピースが、こんなにボロボロなんだよ。
「何だよお前っ、その赤いオーラは何だ!」
何をいってるの……赤いオーラ?
あれ──、本当だ。私の体から変なモヤが出て来てる。
でも──、今はそんな事、どうだって良い。
貴方をぶっ飛ばしてから、考えれば良い事なんだからね────こんな風にっ!!
姿勢を低くして、地面に亀裂が走る程の踏み込みで──、男の子の腰より下に狙いを定めて──、拳を振り上げ──「ひえっ!」──たけど避けられたよ……。避けないで!!
「おっ! おまっ! どこ狙ってやがる!?」
私は背が低いからね。
背が高い男の子の──、「ひゃっ!」
顔面は狙えないから──、「危ねぇっ」
一番狙い易い急所を──、「やめろっ」
潰すんだけど──、駄目だなぁ。上手く避けられて、当たらない。
「おまっ、無言で来るな! 何か言えよ!」
「えっ……潰すねっ────ふんっ!!」
今度は──、逃げられない様に、足を狙って──、ローキックッ!!
「いっ──、掠めただけでコレかよっ」
飛んで避けられたけど──、足裏に少し当たったかなぁ。
う──ん……中々急所に当たらないんだよ。
でも、何か今の私の動き……、小さい頃に観た、再放送のアニメに出て来る、強い女の子みたいな動きが出来てる──!
しかも、これでもまだまだ余裕がある。
もう少し──、力を出してみようかなぁ。
「死に晒せっばけもんがぁあああ────!!」
男の子が火の玉を投げて来たけど──、私はそれに向かって、パンチを一発────『ブヒュンッ』────っ、と音が出たと思ったら、火が消し飛んでいった。
「なっ……、風圧で『魔法』を打ち消した!?」
何その言葉……魔法?
男の子なのに魔法少女なのかな……。それならしっかりと、男の娘にならなきゃね。
「それじゃあ──、潰して男の娘に──、ならなきゃね」
「お前っ……その力、異常だぞ……」
火を出している貴方の方が、異常だと、私は思うけどぉ────なっ!!
腰を低くして急接近──、今度はね──、振り上げず──、ただ真っ直ぐに──、貴方のお腹を──、パンチなの──『メギィィッ』──って良い音が鳴ったけど、コレは──『盾?』
「くそっ────なんでこの『盾』がヘコむんだ!」
どこに隠してたんだろぅ。
中々押し切れないっ──、けどもっ──、このまま腕を──『振り抜くっ!!』
「ぬぎっ!?」──盾が弾かれて──、お腹がガラ空きだよっと──「えいっ『ドンッッ!!』」──良しっ、入ったんだよぉ。
「ぐふっ、おげぁあああっ────!?」
うわっ……吐いたら汚いよ……。
血が若干混じってるけど、コンクリートみたいにならないって事は、手加減出来たのかな。
私的には、全力で殴ったつもりだけど──、もしかしてこの男の子が、コンクリートよりも硬いとか?
「ぐふっ、お前っ何者だっ……。何でこの装備が通じねぇんだっ……、ぐっ……」
もう動けないよねぇ……なら、マジカルになる為に潰さないとね。
「貴方が先に襲って来たの。ママに買って貰った、大事なワンピース……。お返しに、マジカル男の娘にしてあげるね……」
ゆっくりと──、男の子に近づいて行く。
男の子は、座りながらも後ろへ下がり、耳に手を当てて小声で何か言っている。
じゃあ──、潰そうね──。
全力で踏み込み──、拳を振り下ろし────
「今日から貴方は──、男の娘だぁ──!!」
「急げぇえええっじろがわらぁあああ──!!」
────地面を打ち抜き──陥没させた。
陥没した場所に、男の娘がおらず、ただ、拳を振り落としたままの姿で、固まる私。
「あれ……、誰も居ない……」
どこ行ったの……、さっきまで……、アレ?
私以外……誰も居ない……。
「まさかぁ……、逃げられたっ!?」
まだ、ワンピースのお礼をして無いんだよっ。どこに行ったっ、どこなのさ──!!
周囲を見回しても、凹んだ盾と、抉れた地面しか見えない。
「男の娘にできなかったぁあああ────!!」
悔しさで、地面に足を撃ち付けても、ヒビが入るだけで、ワンピースは戻らない……。
ふと──、地面に落ちている凹んだ盾を見て、それをゆっくりと、拾い上げた。
「くそぅ……。せめて、このファンタジーアイテムは、貰って行くんだよぅ……」
さっちゃんに、色々聞く事が増えたんだよ。
まるで、そこで何かが爆発したかの様な、陥没した地面や、壊れた家屋の外壁等、それらを一切視界に入れず、全力でその場から離れて行った。
◇ ◇ ◇
家に帰って、ワンピースだった服を脱ぎ、スウェットに着替えて、まじまじと盾を見る。
何と言うのか……良く分からない紋様に、虹色に輝いている、その盾の裏側。持ち手部分より下側が、私の一撃で凸になっているので、思いっきり、力を込めて、その凸の部分を押し込むと────っ、若干凸凹してるけども、見た目は良くなった。
「さっきの男の子……、一体何だったのさ」
私の事を追いかけて来て、大事なワンピースをボロボロにされて、男の娘にしようとしたら、いつの間にか消えていた……。
「それに、乙女に向かって臭いって何なの……」
また苛々してきたなぁ。
そんな時は──、お気に入りの動画を見て、心を落ち着けるんだよ私っ。
スマホをポチりと──、どうがぁ──、どうがぁ──、どうっ……。あれぇ……、お気に入りしていた動画が、見つからないっ。
上かなぁ……、下かなぁ……、無い!?
「あっ──、あったぁ」
動画を再生ポチりとなぁ──、あれ……?
この動画は、規則に違反したため、アカウントを、凍結……、しまし……、た。
「なんでなのぉおおお────っ!!」
筋肉達と猫ちゃんの──『マッスルにゃんにゃん・さあ君も、レッツにゃんにゃん!!』──がアカウント凍結だなんでっ、あり得ないんだよぅ!!
「うぅ……、楽しみが一つ、消えたんだぁ」
ムキムキの筋肉達が、猫耳を付けて、可愛い猫達と、トレーニングする動画……。
「休みが……、長いよぅ」
こうなれば、また外に行って、さっきの男の子を探して見つけ出し、今度こそ、男の娘にしようかなぁ。




