44話 回想シーン&追放されて活躍できる有能な人間は追放されない問題
「あの」
「その」
「あ、そちらから」
「いや、私はとくに」
「でも」
とりあえずピーターはNを座らせて、ヴァンペルトはアニーに事情を説明。
そしてソファで対面で座って会話を始めた二人の会話。
「あの付き合って3日目の学生みたいな二人は見合いでもしてるのか」
ギルドに以前提出した書類の訂正、住所の通りが間違っていた、をしに来て偶然二人を見かけたキャッスルが、受付の前に並べられた椅子に座り様子をみていたピーターに話しかけた。
「いや、まぁ、そうなんですかね?」
「俺に聞くなよ」
「私があわせたのよ」
そういったのは椅子を4つ占領して横になってるヴァンペルト。
二日酔いである。
「ヴァンペルトじゃないか。どこで知り合ったんだ」
「お知合いですか」
「こいつはペドロファミリーの一人だよ。前まで西に直接雇用されてたが、妻持ちの幹部の一人と不倫して追い出された」
「失礼ね。ばれたのが一人ってだけよ。実際は3人位とやったはず。どうだったかしら?まぁそれで追い出されちゃった。酷いわよね。私だけ追い出して解決なんて」
「こういう女さ。夜遊びばっかりしてる」
「それは知ってます」
「えっとですね。私を探してたみたいですけど」
「そうなんです。お礼を言いたくて」
「いや、そこまで大したことはしてませんから」
「そんなわけ、ないですよね。謙遜がすぎます」
「しかし、まずくないかアレ」
相手は戦鬼だ。あの時助けた、今考えても信じられない、人間。
そうなればあの時の話がでるのはまぁ当然だろう。箝口令が出されているので話すとまずいが。
「そう、ですよね。でも無理ですよ。アナシタシアファミリーにまで手配が回ってきてたんです」
こういった冒険者を探している。ご存じの方はペドロファミリーまでご一報を。
そんな感じの手配書
「迷子のペット探してますみたいなチラシだろ。うちにも回ってきてたわ」
迷い冒険者のチラシが方々に配布された。
そんなものを配布されると冒険者業に差支えがある。実際どこに行っても
「あなたじゃありませんか」
と言われてNは困っていた。
困り果てて教会にかくまって貰おうとしたらそこの神父も知ってた。以前頼まれるがまま寄付していたので信者リストに入っており「信者の方の個人情報はお渡しできません」と突っぱねてくれたそうだが。
そこで困って家に帰ろうとしたらそこの大家も
「あんた。手配書が回ってるわよ。何やったのよ。ここらへんは知られてるっぽいから来ないほうがいいわ」
と教えてくれた。
やはり病気の息子の治療費にと宝物をくれてやったのがよかった。ご近所さんもここらへんで見かけるけどどこに住んでるかまでは、最近みないわね、ダンジョンに潜ってるんじゃないか、と適当にごまかしてくれたらしい。ご近所付き合い大事。斧のお礼を弾んだのもよかった。
そこで同じく以前寄付した病院に頼み込み空き病室に潜り込んで一晩。
翌朝
「ペドロファミリーの人がこれ置いてきましたよ。患者の情報は教えられないってかえしましたが」
とチラシを見せられた。
「早く逃げたほうがいいです」
と追い出され行く当てもなくさまよい、アナシタシアファミリー、いやニコライさんにあんなデカい口聞いてかくまってくれるわけねぇ、とか考えながら思いついた先がピーターさん所の兄貴の病室。
事情を話して一日かくまって貰った。雑務を手伝うと行って志にと現金を寄付を申し出る。
先生はありがたい。人手が足らないんだ。と快諾してくれたが、現金は受け取らなかった。
ピーターの兄貴は特に文句をいうわけではなく、リハビリがてら車いすに乗って外に出てきて、洗濯物を干すNと雑談代わりと事情をきく。
「お兄さん。それは私や弟と同じように感謝したいってだけでしょう。話を聞いて上げてればいいじゃないですか。悪いことしてないならそれが一番ですよ」
「目立ちたくないんですよ。そんなことで」
「今のままじゃ目立ってばっかりですよ。話を聞いてあげて、相手が満足したらそれでおわりじゃないですか。助けて貰ってありがとうと言いたいんですよ。それで目立ちたくないので騒ぎにしないでほしい、手配書を下げて欲しい、とでも頼めばいいじゃないですか」
「そこまで単純な話じゃないんです」
「バカみたいな単純な解決策が往々にして最適解だったりするんだ。快刀乱麻。オッカムの剃刀だな」
患者の様子を見に来て話をきいた先生が後ろから一言。
そこで一晩したらピーターが見舞いに来てNを発見。
「アナシタシアファミリーにも手配書が回ってますよ。ボスは例の件にも関わるから黙っとけ。あいつらに教えたら死んだ奴の復讐だなんだって言い出しかねん。Nを見つけたら艦これ、箝口令?まぁそれを守れよく言い聞かせるようにと言ってました。というか言われました。マジ怖かったです」
ピーターとNの関係をよく知ってるニコライの注意は当然である。
「ここに居たら迷惑になりそうなので」
とNはその日病院を引き払った。
そして一日。あっち行ってもこっちってもっという具合で隠れまわり、ピーターは休日なので一日遊んで回る予定だったがもう遅いということでそれを助けていた。
そして結局「この町の裏に詳しそう。たぶん」ということでメッサーのLAXEに流れ込んで行ったわけである。
そこからは、みなさんご存じの通り。
「なのに私に捕まるとは女運がないわねぇ」
ヴァンペルトはそれを聞いてけらけら笑っていた。
「まったくだな」
キャッスルも合わせてけらけら笑った。
「笑い事じゃありませんよ。こんなのファミリーにしれたら今度こそ追い出されます。西で雇ってくださいよ。兄貴の治療費稼がないとならんのですから」
「どっかから追放されたらなんかよくわかんないけど大活躍みたいな話たくさんあるじゃない。追放された冒険者って箔になるわよ」
ヴァンペルトは笑いながらそんなことを言う。
「有能な組織なら追放されて活躍できるような有能な奴を追放なんかせんでしょう。有能な本人の才覚に合わない無能な組織なら自分から出くわけで、追放されて活躍だなんてののはきっかけがあれば努力せずに大活躍できると思い込んでる陰キャのための妄想ですよ」
「辞めとけ。そういうこというのは。楽しんでるやつが怒る」
とキャッスルは真顔で答えた
やめろ!そういうこというのは!!




