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青春図書館へようこそ!〜小さな司書さんと図書館生活〜  作者: 青空スズミ
第1章「小さな司書ちゃんとお話会」
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第13話「捜索」

 外の雨はアスファルトを強く叩いていた。


 視界が悪いし、あまり遠くへは行かないと思うが……。


 まず、欅の森公園には瑠奈の母親以外の人物はいなかった。


「手がかりもなしにどう探す?」


「商店街とこの前瑠奈ちゃんとあった公園へ行ってみましょう!」


 恋葉の提案で商店街を恋葉と手分けして探し回った。恋葉には先に公園の方に行かせて、集合場所は古書店にした。


 あてもなく俺は商店街を走り回った。コンビニやスーパー、ゲームセンターを回ったが瑠奈らしき姿は見当たらなかった。


 子どもがいる場所へ確認しては離れ、確認して離れる。それの繰り返しだった。


 小学生くらいの子を見るたびに近くまで行って確かめる姿は周りからしたら怪しいかもしれない。


 スーパーを出ると、向かいに喫茶店があることに気づいた俺は、瑠奈が雨宿りしてるかと思って入ってみた。


「いらっしゃいませ〜」


 中はシックな世界とコーヒー独特の匂いが広がっていた。


 その世界にいるウェイトレスはにこやかに俺を見つめていた。見たところ俺と歳が近そうな女の子だった。


「一名様ですか?」


「あ、あの。人を探して寄ったんだけど。小学生くらいの女の子が一人来ませんでしたか?」


「えっ、小学生くらいの女の子ですか?」


 怪訝そうな顔をされてしまったが、ウェイトレスはすぐに辺りの席を見た。


「いらっしゃっていないみたいですが待ち合わせ……ですよね?」


 ウェイトレスから疑っているような問いが投げられ、俺は息が詰まった。


 これは完全に怪しい人だと思われている。



「妹なんだけど、ここで待ち合わせしてと思ってたんだけど、間違えたかな! はははっ!」


「……?」


 ウェイトレスは何も言わず、カウンターの方の女性をチラッと見ている。変なことになる前に退散した方が良さそうだ。


「いないなら帰りますっ。おじゃましました!」


「あ、お客さま!」


 彼女の視線から避けるように踵を返して喫茶店を後にした。俺もうあの喫茶店にいけねえよ……。


 引き続き、俺は必死に探していた。


 喉の奥から鉄の味がするまで声を出した。脳がピリピリする感覚と胃の中のものがグルグルと混ざる感じがして気持ち悪い。


 多分商店街を探し始めてから一時間は経っただろうか。


「……そろそろ古書店に戻るか」


 今いる場所から古書店はそう遠くはなかった。


 視界に入ったのか、恋葉がこちらに傘を振り上げた。


「東川さん!」


「瑠奈ちゃんは見つかったか?」


 瑠奈がいないところを見ると見つからなかったと予想はできるが、聞かずにはいられなかった。


 案の定、恋葉は首を横に振る。


「あ、瑠奈ちゃんのお母さんからお電話をいただきました!」


「ホントか!」


 恋葉はポケットに入れていた、星空さんの携帯を取り出した。


「はい。図書館を経由してご連絡してくださったみたいです」


「お母さんはなんだって?」


「どうやら、家には戻っていないみたいです」


「そうか。いったいどこにいるんだ……」


「瑠奈ちゃんはお気に入りのカバンと傘だけを持っていってるみたいです。自転車は置いてあるみたいで、まだ遠くまではいっていないはずだと、瑠奈ちゃんのお母さんは言ってました」


「けど、けっこう時間が経ってる。なかなか探すのは難しいかもしれないな」


「はい……」


 俯いている彼女の顔色は凄く悪そうだった。この子は本気で心配をしているんだ。


「家出したのでしょうか。楽しみにしていた予定がなくなってしまって。瑠奈ちゃん、悪い人に捕まっていたらどうしましょう」


 今にも泣き出しそうなその表情を見て俺の胸がチクチクと痛む。


 どうにかして、瑠奈の居場所が分からないか考えてみる。


 旅行の予定が無くなったなら、図書館に来れたはずなのに。


 自転車を使わず、彼女はどこへ行こうとしているんだ。


 彼女の行き先……。


「……もしかしたら」


「東川さん?」


「もしかしたら、間に合わないかも知れないけれど、行ってみるしかない」


「ど、どこか分かったんですか!」


 彼女の瞳に輝きが映る。表情もひまわりが咲いたかのように一気に明るくなった。


 恋葉はほんとに分かりやすい性格をしている。


「勘だけど、他にあてがないし」


「東川さんの勘を信じます!」


「お、おう! 任せてくれ!」


 俺と出会ってまだ一ヶ月も経たないのに、恋葉は信じてくれている。この妹に頼られているような感じが懐かしく思う。


 今じゃ本当の妹は俺を避けてるし。


「商店街では目撃されてないし、可能性はある。行ってみるしかない」


 俺の発言に恋葉は元気よく頷き返した。


 どうかいますように。俺はそう願うしかなかった。

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