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ご神木の前にエルフ12氏族が車座で並んで話し合うのは、これからの事だ。

「嬢ちゃん、そもそも森ごと転移させたって事ァ多少やる事の目途はついてるんだろうなァ?」

口火を切ったのはエイドだ。

「ある程度は。まず我々が目指すのは生活の立て直し、これに尽きる」

「そりゃあそうだわなァ。で、生活立て直した後はどうすんだ?仇討ち行くのかい?」

「現時点では行くつもりでいる。ただ立て直しの方が私としては重要なんだよ」

仇討ちそのものは、平成日本人の意識が残る私としてはそこまで積極的じゃない。

しかしエルフ12氏族の長としての私は仇討ちに行くべきだ、と囁いてくるのも事実なのだ。

「そうかい。仇討ちに行く気なら俺ァそれでいい」

「助かる。で、現時点でやるべきことを私なりに考えてきたんだけれど、聞いてくれるか?」

「はいっス!」

魔導式ホワイトボードを全員の前に出現させると、やるべきこととその分担が表示される。


神の森周辺の安全確保→紅葉・黄葉・青葉

神の森全体の保護→東雲

現地資源調査→白峰・琥珀・群青・黒玉

現地民調査→翡翠眼・紫苑・黒曜


【東雲】のロンシャックが文句言いたげな顔をしてるが、本拠地保護のための大規模魔法なんて【東雲】に頼むのが一番いいと思ったんだよ……。ごめん、ロンシャック。お前とお前の身内を信じてるよ私は。

「おや、【翡翠眼】さまが現地民と交流もたはりますの?」

「あー…‥実は、この地には岩塩鉱脈がない可能性がある」

私の前世の記憶が正しければ、日本には岩塩鉱脈がない。

当然この転移先周辺にも岩塩鉱脈があるとは思えない、一応【白峰】に調査はしてもらうが無かった場合は外から塩を手に入れるしかない。岩塩以外の役立ち鉱物があればありがたいのだけれどね。

「根拠はどちらにあらはります?」

「森を歩きながら地面に軽く鑑定魔法をかけた時の感触」

前世の話をしても良いのだが、12氏族会議は人目が多すぎるのであとで何を言われるか分からないようなことは言いたくない。ちなみに地面に鑑定をかけたのはホントだ、地面に毒物とかあったら嫌だしね。

「そんな……塩が尽きたらわたくしたち、終わりですわ……」

「全氏族が塩を使い切ったと仮定して【白峰】で確保されてる岩塩を1832人で分けた場合どれぐらい持つ?」

「えーっと一日に使うのが1人3グラムとして一日5496グラム、いま手元にあるのが532キロで……」

「29日間ですね」

「【群青】さま、助かりますわ。ただ、安全確保や資源確保で身体を使いますので塩の消費が激しくなればもっと短い可能性もありますわ」

イゾルデの情報はまあまあ絶望的だ。

各氏族で自前の塩は半月から一ヶ月分程度貯蔵してるが、それが切れたら一か月持たない可能性がある。

「ってことは2か月で塩の入手ルート確保かー……」

「むしろ腕が鳴りますわ、わてら【紫苑】の言いくるめスキルフル活用でっせ」

「いくら【紫苑】の口の上手さがあっても言葉が通じなければ意味が無いのではないでしょうか?」

オレイス指摘に対してオーヴラは「何のための翻訳魔法や!」と突っ込んでくる。

翻訳魔法が通じない可能性は正直ある。

なんせここは日本、魔法は発動するので使えないことは無いだろうが機能が不十分なリスクはある。

(翻訳魔法のアップデート版作らないとダメだな、私らは通じても向こうは通じないとか起きたら死ぬぞ)

ロンシャックに協力を仰ぎたいが、向こうはそれどころじゃないのでほぼ私ひとりで作ることになるだろう。【翡翠眼】の他の身内に協力仰いでもいいけど、自分の生活立て直しが最優先だしなあ。

「私の方で対現地語専用のものが作れないか試してみる」

幸い私の前世の記憶がある。それを魔導データに置き換えて翻訳システムに学習させてー……と思ったけど、ここ青森・岩手・秋田の県境なんだっけ。現地民の訛りきつそうだな。訛りきつすぎて翻訳不能とかってことは今までなかったはずなので、津軽弁?南部弁?秋田弁?とにかく方言ででバグらないことを祈ろう。

「シーヴァさん!今日は安全と食料の確保を最優先、資源調査や塩の確保は明日以降開始って感じっスか?」

「今日の所はレイトリンが言った感じでいい?」

全員の目を見ると問題はなさそうだ。

やる事は明瞭にできた、やる事さえあれば氏族内でも大きな混乱はないはずだ。

「今日の所はこれまでで。明日以降も大雨大雪以外は毎日太陽が天頂に登った頃合いに全員集合、情報交換の時間とする……ってことで。

じゃ、今日は解散」

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