19話【無能は死ぬ】
九条宗玄を倒してから2年が経った
2年という月日は長いようで
短く感じた
俺の前から玄斎が消えた
俺は骸城の城主として
同じ思想を持った仲間達と暮らしている
そこに夜叉が来た
「黒影様、連れてきました」
夜叉に連れられて来たのは
昔、蒼真と俺が一緒に戦場を駆けた
同志で親友の雨宮零士だ
「まさか、お前がこの近くに潜んでいたとはな」
「黒影、話せばわかるって。な?」
「無能は死ぬ。お前はどっちだろうな?」
「何を言ってるんだよ」
「九条宗玄がこの城の門に鍵を締めれたのは、お前が情報を流したおかげだってな」
この言葉で零士の顔色が変わる
「なぜ、裏切った?」
「死ぬ側になるより、生きる側にいた方がいいだろ?」
「それはそうだ。だがな、そのせいで何人も死んだ。お前のせいでな」
「…………」
零士は言葉を失う
俺は刀を抜いて
「お前も無能の仲間入りだ。この地下にはな、無能が故に死んだ仲間達がいる。お前もそこに入れ」
「な、何を言ってるんだよ」
「連れて行け」
俺は夜叉に合図を出す
夜叉は頷き零士を連れて行こうとする
零士は腕を振り解き
「お、おい。俺をどこに連れて行く気だ」
「宵闇の世界だ。お前もそこで無能として生涯を過ごすんだ」
「だ、どういう事だよ!」
それからは俺は一言も発さなかった
零士は諦め膝をつく
その零士を夜叉は連れて行く
少し静寂が襲う
俺はため息を吐き外を見る
外は赤い月が骸城を照らしていた
そこに夜叉が戻ってくる
「ご苦労だったな」
「いえ…私は黒影様のお心のままに行動をしております。どこまでもついていきます」
「…ああ。もう少しだ。もう少しで迎えに行くぞ。待っていろ、紬」
俺の計画は順調に進んでいた
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