学園最強トーナメント初日 久しぶりのF6
だけど俺は負けなかった。
負けるわけにはいかなかった。
ここで男の沽券を示さずなんの彼氏か。
俺はより積極的に早百合さんの口内を舌で探った。
同時に早百合さんの手が俺の股間をわしづかんできた。
――ッッ!?
股間から腰に電流が走り、俺は膝から崩れ落ちた。
口と口が離れて、俺は敗北した。
男のプライドが完膚なきまでに砕け散った瞬間だった。
しかし、早百合さんは素早くブラを外すと、左乳首で俺の口を受け止めた。
「ふっ、口からそっちに奉仕場所を変えたか。なら、ベッドがよかろう」
こうして、俺の敗北はなかったことになり、早百合さんは俺をベッドに引き倒してきた。
勝負は没収し合い。
俺のメンツは保たれた。
その優しさと慈愛に、俺はおっぱいに顔をうずめて平伏した。
やっぱり、早百合さんには敵わない。
◆
早百合さんの爆乳を堪能してから部屋を出ると、糸恋が俺にMR画面を見せてきた。
「あ、ハニーはん。ギャンブル企業のオッズがもう出とるで」
「ん?」
俺らの公営ギャンブルは、各試合でどっちが勝つかを賭けるものだが、向こうはそれに加えて色々なチケットを売っているようだ。
「へぇ、誰が優勝するかのチケットか。でも参加者は2000人以上だから当てるのは2000分の一だろ?」
競馬よりもはるかに分が悪い賭けだと思う。
「せやけど優勝候補は決まっとるしな。美方はんが人気やで」
友人のことを、糸恋は上機嫌に話してくる。それだけで、彼女の友達思いな性格が伝わって来る。
「あいつ前に守方たと一緒に派手にやったからな」
俺が画面を眺めていると、糸恋は気を利かせてゆっくりと指でスクロールしてくれた。優しい。
オッズ
桐葉 3・3倍
美稲 5・5倍
美方 4・1倍
守方 4・9倍
糸恋 7・0倍
2000分の1の賭け事なのに数倍程度なのは、それだけ人気が偏っているからだ。
糸恋のオッズが低いのは、彼女がブライダルモードを使えることをみんな知らないからだろう。
一番人気が桐葉なのは、流石と言える。
「ん?」
OUが乱入してきて大会中止 10倍。
「おい。てか10倍てみんな結構買っているのな……」
不謹慎すぎる賭けではあるが、それだけ世間でのOUの評判が悪い証と言える。
「やっぱ外国の人もOUがテロ起こすと思っているんだな」
「そらウチら今戦争中やし」
「あー、そういえばそうだったな」
「ハニーはん忘れていたんか!?」
糸恋はぎょっとして前のめりになってきた。
俺は眉間にしわを寄せた。
「最初にミサイルや軍艦をテレポートで追い返してから音沙汰ないからなぁ。こっちからは何もする予定ないし。このままなぁなぁで終わってくれればいいんだけど……」
そんな都合のいいことは起きないであろうことは、俺が一番よくわかっている。
この一年、俺らは誰よりも最前線でOU相手に戦ってきたのだから。
「ん?」
ラウンドガールに山見麻弥が起用される 1・0倍
「うぉい!」
俺は全力でツッコんだ。
◆
そして迎えた3月9日土曜日の朝。
午前8時30分から逆シードの選手たちにより試合が行われた。
敗退者を除くと、これで残る参加者は2048人。
ちょうど11回戦で優勝者が決まることになる。
アビリティリーグドームの客席には俺ら生徒を含めて、一般客が詰め掛け満員御礼。
早百合さんが挨拶を終えて、本戦開始が宣言された。
すると、背後の席から、薄ら笑いが聞こえてきた。
「ふっ、ついに本戦開始か」
「どんな連中が待っているのか、楽しみだな」
「少しは楽しませてくれるのでしょうな?」
「逆シード戦はまさに瞬殺でしたからな」
「おいおい、プレッシャーをかけるなよ。可哀そうじゃないか」
「猫を被るのはおよしなさい。みっともないですよ」
強者感溢れる声音に振り返ると、そこにはF6の6人が含み笑いを浮かべていた。
「お前らは!? Fシックス! まさかお前ら、逆シードを勝ったのか!?」
俺が驚愕に表情を固めると、6人はグッと親指を上げてサムズアップ。
「さっき瞬殺されました」イケボ
「どんな連中がいるのか楽しみだなぁ~」
「どんな試合か楽しみだなぁ~」
「楽しい観戦になるといいなぁ~」
「興行試合じゃないんだからプレッシャーかけてやるなよぉ~」
「そんなこと言って自分が一番期待しているくせにぃ~」
6人は早くもポップコーンを食べ始めた。
「そ、そうか……」
俺は優しい眼差しを送った。
●●外伝 テレポーターのハニー君VSメリーさん
とある秋の夜。東京の空気は乾燥していて、冷たい風が一足早い、冬の訪れを感じさせる。
俺は部屋で一人、机に向かっていた。
そろそろ寝る時間なのに、学園で出された宿題がまだ残っている。
夕方、桐葉たちとちょっとハシャぎ過ぎてしまったのが致命的だった。
「遅れを取り戻さないと。ていうかいつ桐葉が突撃してくるかわからないし」
我が家のセクシー番長、16歳でIカップという歩く18禁美少女が襲来すれば、俺の集中力が消し飛ぶのは目に見えている。
そんなことになれば宿題を忘れて桐葉達お嫁さんグループの前で恥をかいてしまう。
みんなのカッコイイ旦那様であるためにも、宿題忘れなどあってはならないのだ。
そうやって俺が気持ちを引き締めていると、不意に着信音が響いた。
スマホの廃れた現代では、耳の裏につけたデバイスが視覚野に電気信号を送り、AR、VR画面を見せるのが主流だ。
「ん? 非通知? 誰からだ?」
首をひねりながら、俺は通話ボタンをタップしたすると。
『私メリー、いま、10丁目の銀行の前にいるのー』
怖気が走るほど冷たい声音。口調は幼いが、のギャップが逆に恐怖を呷ってきた。
「ッッ!?」
そこで着信は切れて、だけど着信履歴には何も残っていなかった。
だから俺は。
「よっと」
10丁目の銀行の前にテレポートした。
するとそこには、白いワンピース姿の金髪碧眼美幼女が立っていた。
「ひゃわぁああ!?」
美幼女が素っ頓狂な声を上げて、青い瞳をまんまるに見開いて肩を跳ね上げた。
同じ幼女でも、欧米人特有の顔立ちはフランス人形みたいで、マヤたんや赤毛幼女とは違った愛くるしさに満ちていた。
「ちょっとアンタ、なんでそっちから来ているのよもぉ!」
「いや、場所言ったから来て欲しいのかと」
「ち~が~う~! 私はメリーさんなのよ! ちょっとずつ近づいてくる恐怖を味わわせる妖怪なの! いいから早くハニーは家に戻ってよ!」
メリーさんはプンスコ怒りながら地団太を踏んだ。怒る姿も可愛くて、もっと怒らせたくなってしまう。
――よし怒らせよう。
「それはフリだよね?」
「フリじゃないわよバカー! ほら、早く帰った帰った!」
「へーい」
――ていうか妖怪からもハニー呼びなの?
そうして俺は家にテレポートした。
そして五分後。
『私メリー、いま、9丁目にいるのー』
五分後。
『私メリー、いま、8丁目にいるのー』
五分後。
『私メリー、いま、7丁目にいるのー』
五分後。
『私メリー、いま、6丁目にいるのー』
十五分後。
『私メリー、いま、5丁目の――」
「ローソン寄ったろ?」
彼女の言葉を遮るように、俺は冷たく言った。
彼女は黙った。
「なんでずっと五分刻みだったのに急に十五分かかっているんだよ。絶対6丁目のローソン寄っただろ?」
『ば、バカにするんじゃないわよ!寄り道なんてするわけないじゃない!はふはふ』
「はいはい、おでんがおいしい季節ですねぇ」
『ムッカー、アンタ私のことバカにしているでしょう!?』
ティロリ♪ティロリ♪ティロリ♪
「う~ん、ハンバーガー屋さんには寄る気ですね。食いしん坊だなぁ」
『ちょっ、女の子に食いしん坊とか失礼ねアンタ!』
「はいはい。それよりちゃんとテイクアウトしろよ?歩きながら食えよ」
『わ、わかっているわよぉ!』
十五分後。
『私メリー、いま、4丁目の――』
「がっつり店で食ってんじゃねぇか」
『う、うるさいわねぇ、暖房が効いていて過ごしやすかったのよ。これでも急いで食べたんだから!』
「はいはい、もう寄り道するなよ」
『しないわよ!』ぶつん
20分後。また、着信音が響いた。
「おい遅いぞお前、どこで油売っていたんだよ、こっちは宿題しながら待っているんだぞ?」
『うぐ、えぐ、わ、わた、私メリー、いま、いま、ね、3丁目の交番の前にいるのぉ~」
『あ、保護者の方ですか? 駄目ですよ、こんな小さな子を一人にしたら』
「ああもう迎えに行くから待ってろ!」
こうして、俺の宿題は徹夜ゾーンに食い込んだ。
続きはまた今度♪
マヤたん「んう?お友達の波動を感じるのです」
背後ではツイスターゲームをする赤毛と和服とアイヌ衣装の幼女たちが体勢を崩してどちゃっと崩れ、コロコロと笑い始めた。
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