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村長奮闘記  作者: ゴハン
怠惰の街
12/14

案内

宿は二人に任せて私は代表がいるであろう役場に来た

とりあえず話の通じる人であれば良いのだけど…

入り口の扉を開けて私を迎えたのは宿屋と同じ静寂だった

「まぁ…ですよね」

別に落ち込んでないし

ベルがあったので押すと役場の案内が奥から出てきた

優雅でいいですねー

そんな嫌味を飲み込んでまずは話を聞こう

「すいません、旅のものなのですが代表の方はいらっしゃいますか?街の様子についてお話を伺うことは可能でしょうか?一応村長をやらせていただいたこともありますのでもしかしたら何かお力になれるかもしれませんので」

営業スマイル!

「あー…別に大丈夫ですよ」

何が?

「いやー今までも旅の人とか色々来たりもしたんですけどね何も変わらなかったですし、まぁ話でしたら奥にいる村長から伺ってください、では失礼します。」

言うだけ言うと奥にまた引っ込んでしまった。

奥ね…ここまでやる気ない対応されるとここも、もう、何も期待できないなぁ

…とそいえば気になること言ってたな…

…村長?

村長来てるの?来ててこの状況?

ちょっとよく分からないから話聞こう

奥に行くと確かにあった「村長室」

基本的に村長といっても何も村だけが担当なわけではない。

時には町長、や街長、流石に国王なんてやる村長は稀な稀ではあるが代表を務めるのが村長の仕事だったりする。

そしてどこに勤めても基本的に村長は村長なのである

コンコン

「どうぞ」

聞き覚えのある声が聞こえてくる

この声は確か…

「田中のおじちゃん!」

扉を開けると無精髭を生やした何処にでもいそうな中年男性がそこに居た

腹が少し目立ち無精髭がそこにある事を主張している

「お…おぉ、山田のところの嬢ちゃんじゃないか!デカくなったなぁ」

その姿は幼い頃に見知った田中さんとはちょっと違っていたがかろうじてその中年から聞こえてくる声が田中のおじちゃんあることを証明していた。

田中のおじちゃんは近所に住む母の幼馴染で小さい頃は遊んでもらったりもしたっけ

ここ数年見かけなかったけどここにいたのか

「たいしたお構いもできんがこっちに座って座って」

呼ばれるまま村長室の椅子に座らせられた

「こんなとこによう来たなぁ、神子ちゃんとクライムさんは元気かい?」

「もう、元気すぎて困りますよ、

最近はあまり帰ってきてないですけどね」

「そうかぁ、そうかぁ」

ちょっと残念そうな顔をする田中さん

そいえばお母さんのこと好きとかどこかで聞いたような気がするなぁ

こないだ妹と弟どっち欲しい?とか聞かれたことは黙っておこう、そうしよう

そんな世間話と近況報告を一通りやりつつ本題へ

「それでまた今日はどうしたんだい?こんな街に」

「はい、ちょっと勇者の道案内的なことやる羽目になりまして・・・」

「え?それってナビに選ばれたってことかい?」

聞きなれない言葉が飛び込んでくる

「ナビ?」

「あぁ、そうか。あんまり一般的ではないし今回は前回と間が空いてなくて急だったからなぁ」

「ナビっていうのはな、言ってみれば仲間みたいなもんでな。

基本的には勇者に選ばれた人間がやるんだ。まぁあくまで両者同意が必要だがな。

ナビに選ばれた人間は勇者の冒険を見届ける役割なのよ。

それでナビにはガイドって本がどっからか湧いてくるんだ。

神様が作っただのなんだのって話だな。

鞄にいつの間にか増えた本とかないかい?」


「は?」

は?あいつと?中二病真っ盛りのあいつとこの先ずっと?

思わず声が出てしまった

露骨に嫌な顔をしている私を見て田中さんが察する


「ははぁん、あんまりいい感じでもなさそうだな

まぁ一緒にいるうちに慣れるだろ!」

「え…えぇ…」

い、いや!ナビになったって決まったわけじゃないし!

本だって見てないしね!


そのあとも田中さんから勇者についての情報を改めて聞かされた

曰く勇者には魔王を倒すための力があること


倒すための力というのは4つありすべての力を得ることで魔王に対抗することが出来るらしいとのこと


「…というわけだ、沙耶ちゃんもナビになったんならこの辺りは把握しといた方がいいぜ」

「ありがとうございます」

ナビになったわけじゃないからね!


「さて、次にだが役場に来たのはまた、なんでだ?」


あ…本題を忘れていた


「おじちゃん、この街何かおかしくない?」

「おかしい?なにが?」

「来た時から感じていたんだけど人の活気があんまりないのよ、普通これくらいの規模の街ならもっとにぎやかなものじゃない?」

「あぁ、それなぁ

 俺が赴任してきたときはもっと活気があったんだけどなぁ

 この街はもともと傭兵稼業の人間が多い街でな

 それで生計を立ててる人間が多いのよ

 ただ、ここ二十年の間がな…」

「二十年の間に?」

「すっかり平和になってしまってな!」

がははと笑うおじちゃん

「いやーすっかり平和になってしまって皆覇気がなくなってしまってなぁ

 それにこの街は福利制度がえらい充実しててな、働く必要があんまりないのよ

 それでかな、皆やる気がなくなってしまった」

なるほど、まぁ平和なのはいいことよね

「いいことなんだがな、福利厚生が充実しすぎてて若干財政が厳しかったりもするんだよなぁ」

そんなことが…というか財政傾きかけているのやばくない?

「結構やばい

 とはいえすぐになくなるものでもないし俺が赴任する前から務めてる役員の方がいらっしゃってな、

 その方が腹案があるってことで大丈夫だろうと」

いやいやいや、大丈ばないからね

大体そういう勿体付けた作戦なんて古今東西ろくなものがないと相場が決まってるからね

「丁度役員が今日は出勤してるし聞かせてもらおうか」

そうしよう

おじちゃんは適当なところが結構あるから仕方ないとして

今後の村長の評判は大事だし!


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― 新着の感想 ―
[良い点] すばらしい本 [気になる点] ストーリーにうっとり [一言] ⠀⠀⠀⠀⠀⠀⠀⠀⠀⠀⣴⣿⣦⠀⠀⠀⠀⠀⠀⠀⠀ ⠀⠀⠀⠀⠀⠀⠀⠀⠀⠀⢻⣿⣿⠂⠀⠀⠀⠀⠀⠀⠀⠀ ⠀⠀⠀⠀⠀⠀⠀⠀⠀⢀⣴⣿⣿⣀⠀⠀…
2023/08/22 13:29 退会済み
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