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行動の意味

「リリィ!大丈夫?」


アルフレッドが医務室を出たすぐ後に、どたどたと慌ただしい足音が聞こえてきた。

扉が勢いよく開いたと思ったら、そこには心配そうな顔をしたアリアが立っていた。


「アーリィ、そんなに走らなくても大丈夫よ」

リリアはベッドの上で微笑んで見せた。


「大丈夫なわけないでしょう!いきなり倒れて、しかもアルフレッド殿下に抱きかかえられて運ばれたのよ!心臓が止まるかと思ったわ!」


アリアはリリアの傍に駆け寄り、ベッドの縁に座り込んだ。


「ごめんね、心配かけちゃって。ただの寝不足よ。昨日、母に頼んでいた本が届いてつい時間を忘れて読み耽ってしまったの」


リリアはそう言って、平静を装う最高の笑顔を作った。


「本・・・?そんなことで倒れるなんて、本当にリリィはしょうがないわね。って、そうじゃなくて!」アリアは声を潜めた。

「わたし殿下がリリィを運んだのを見て、すぐに医務室まで来たのよ。でも入口で侍従さんに、”殿下からの命令で、今は誰も部屋に入れないように”って止められちゃって!」


アリアは目を丸くして訴える。


「リリィの親友だって言ったのに、付き添いもさせてもらえなかったのよ。殿下が、あなたの目が覚めるまで、誰も近づけさせないようにしていたみたい・・・ねぇ、本当に何があったの?」


リリアの背筋に、冷たいものが走った。

アルフレッドはリリアと二人きりで話すために、意図的に周囲を遮断したのだ。

これは、単なる親切ではない。


(何で殿下が私に興味持っているの・・・?何が目的?)


リリアは表情に出さなかったが、頭の中では凄まじい速さで様々な考えを駆け巡らせていた。

(ただアステル領について気になっていただけ?殿下との接点はないから、私が何かをしたという可能性は低い。もしかして魔力のことがバレたとか・・・?でも魔法はアステル領以外では使っていないもの。そうなると本かしら?こそこそ魔法のことを調べて怪しいと思われたとか?)


「たいしたことはないわ。ただお詫びと感謝を伝えただけ。あとは、殿下がアステル領のはちみつに興味を持っていらしたみたいで、その話を少ししただけよ」


リリアは平然を装いながらそう答えた。

アルフレッドが意図して二人きりになったという事実に、頭が痛くなった。


婚約者以外で異性同士と二人きりになることは、まずない。

侍従であったり、第三者を交えるのが一般的だ。

この国の第一王子であるアルフレッド殿下が、そのことを知らないはずはない。


「そう・・・それだけならいいんだけど」

アリアはまだ納得していない様子だが、言葉を続けた。


「それからね、リリィ。あなたの荷物を教室に取りに行ったんだけど、セシリア様の顔が本当に凄かったのよ!あの場にいたのか、話を聞いたのかは分からないけど・・・気を付けた方がいいわ」


リリアは再びため息をつきそうになるのを我慢した。

敵を作ったうえ、アルフレッドにも目をつけられるという最悪の展開だ。

リリアの頭の中では、この最悪な状況をどう逃げ切るかという、緊急の作戦会議が開始された。

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