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本の中

(はぁ・・・眠たい)

リリアは授業中であったが、教科書に隠れて大きなあくびを噛み殺した。



あの晩、彼女はさらに本を読み進め、気が付くと日が昇り始めていたのだ。

朝食までのわずかな時間ベッドで仮眠は取ったものの、圧倒的に睡眠時間が足りない。

授業中も何度意識が夢の中に滑り落ちそうになったことか。


登校してすぐにアリアに会うと、「どうしたの!?その顔!」と悲鳴を上げられた。

お化粧で懸命に隠したつもりであったが、目の下のクマがひどいらしい。


睡眠時間を削ったおかげで、本は10ページほど読み進めることができた。

その内容は、太古の魔法にはさまざまな種類があったこと、そして人それぞれ得意な属性が異なるということが書かれていた。


本によれば、魔法の属性は6種類に分類される。

それは、火、水、土、風、光、闇だ。


現代のアルカディア国では、この分類はもっと簡略化され、白魔法と黒魔法の二つに大きく分けられている。

生活や人々、国益のために使う魔法が白魔法、人や国に害をなすものが黒魔法だ。

魔塔にいる人々やアルフレッド殿下は白魔法の使い手だが、具体的な能力は秘匿とされており、リリアは分からない。


(あの本で記された能力の傾向を見る限り、私は光属性なのね)


光魔法は、治癒、回復、復元の力であり、昔であっても極端に扱える者が少なかった。

光魔法が使える者は、平民であっても王家に迎い入れられるほど貴重な存在であると記されていた。


また、魔法にも強い弱いがあり、それは魔力の強さによって決まる。

魔力が強ければ、それだけ広範囲かつ高度な魔法が使えるが、魔力量は生まれつき決まっており、増やすことはできない。

さらに魔力が完全に空になってしまうと、意識を失うだけでなく命までも奪ってしまう危険がある。


(あの時、森でうさぎを治療したとき・・・私は魔力が枯渇した状態だったんだわ)


その時の、全身の力が抜けていく感覚を思い出すと、背筋がひゅっと寒くなった。

リリアは、自分がどれほど危険な状態であったのかを初めて理解した。

これからは、もっと自分の魔力量を見極めながら、慎重に魔法を使わなければと深く反省した。



長い授業がやっと授業が終わり、リリアはアリアと一緒に食堂へ向かっていた。


アリアが今日の昼ごはんについて楽しそうに話しているが、その声はなんだか遠くリリアの耳には内容がほとんど入ってこない。

徹夜のせいで身体がふわふわし、まるで地面を歩いている感覚がない。


次の瞬間、ふっと目の前が暗くなった。


(あっ、ヤバい)

そう思ったのと同時に、リリアの体は支えを失って大きく傾いていた。


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