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詩集  作者: 皐月裕
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エピソード4

苦しみの洞窟


深い洞窟の真ん中にいる。入り口からの光はとっくに差さなくなった。

どちらに進めば入り口なのか、行き止まりの壁なのかわからない。私が今どちらを向いているのかさえ、もはやわからなくなった。

いつからこの洞窟に迷い込んだのか。覚えてない。

入り口は出口だけれど、引き返せない。

引き返すのは酷く辛い。

けれど動けばどちらかに行くことになる。

壁に体が擦れるたび、行き止まりかと思っては絶望する。燭台の灯は消えた。

響く音は後悔し、嘆き、絶望の果てを口ずさむ私の声だけ。

行き止まりまで行ってしまえばおしまいだ。私の手では壁を抉れない。

振り返り、出口を目指す気力も、痛みに耐えるすべもない。

ただそこに蹲るだけ、誰かが光を持ってくる予定も、方法もない。

ここには私がいて、私しかいない。ただ私がどこが痛むのかもわからなくなった体を放り出して、眠ることも出来ずに、消えていく場所だった。

筆:2017年1月

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