空腹
「よし、じゃあオレが、あいつを降ろすから、リウがとどめを刺して・・・・」
ランドは急にやる気を出し始めた。
「ちょっと、なんで私が仕留めるのよ! そういうのは男の仕事でしょ!」
リウが剣を抜いて振り回している!
「そもそも、カバのさばき方わかるのか?」
ディアが二人の話に介入した。
「ああ、それなら大丈夫よ! ランドこう見えて魔物の肉の解体とか得意なのよ!」
リウが珍しくランドを褒めた。
「おう、それなら任せとけ!」
ランドはリウに褒められて事が満更でもなかったようで、剣を抜いて、解体作業の真似事をしてみせた。
「ああ、それなら問題ないな!」
デイアもカバの肉の味が楽しみになってきた。
「ひえええええええええっ! 殺されるっ!」
御者台のカバは全身から粘性の強い汗をかいていた。
「に、逃げなきゃ! だって、まだ結婚もしてないし、デートだって! キ、キスだってまだなんだよーっ!」
カバの目はだんだんと血走ってきた。
「な、なんだ?」
ランドはカバの気配が変わったことに反応して、御者台のカバを見た。かばの顔は先ほどまでの弱弱しい感じではなく、目が釣りあがって、真っ赤になっていた。
「お、おい・・・・なんだか、やばくないか・・・・」
「避けろ!」
ディアがいち早く声をかけて、3人は街道の横の草むらに飛んだ! 少女はぼーっとしていたので、リウが手を引いてともに草むらに転がった。
「うおおおおおおおおっ!」
カバは手綱を力いっぱい叩いた、何度も、何度も、力いっぱい! 馬は荒れ狂うように街道を馬車を引きながら走り去った!
残されたディア達はあっけにとられた・・・・
「ちょ、ちょっと! あんたがいつまでもグダグダ言ってるから逃げられちゃったじゃないの!」
リウは何故かランドに激怒していた。
「はぁ・・・・」
ディアはすっかりカバを食べる気分になっていたため、食べられないと思うと急激にお腹がすいてきた。
3人は意気消沈し、再び街道を歩き出した・・・・
「お腹すいたーっ」
リウが力なく漏らした。
「話すると、余計に疲れるから絡むなよ・・・・」
ランドがリウに話しかけた。リウはランドを叩く元気はなかったが、力いっぱいランドを睨みつけた。ランドは全身が凍り付いたように寒気を感じたのだった。
3時間ほど街道を歩いたころ、遠くに村のようなものが見えた!
「お、おい!」
3人は喜びで抱き合った。少女もよくわからなかったが、3人にしがみついた。




