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哲学者気取りの異世界経由生活  作者: きたまる
第零章 それはまだ始まりである
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第五話 瞳調査1

 しばらく歩き続けても集落やオアシスなどは見当たらなかった。

 夜になり偶然、近くに休めそうな場所を発見し、リュックを枕代わり、制服を布団代わりににして横になった。

 夜の砂漠は極寒だ。

 昼と比べるとそれは比べ物にならないくらい。

 僕は体が丸くなりながらもその日は眠りについた。




ーーー




 翌日。

 僕は目覚め、再び前へと歩き出した。

 途中で喉が渇いたら、水筒を手に取り、飲み過ぎないように注意しながら慎重に飲む。


 (お腹が空いた)


 丸一日食べ物を食べないだけで、人間は辛いのだと改めて実感した。

 そんな中、この日も一日中歩き続けたが何も発見出来なかった。

 瞬の足は疲れ果て、一歩一歩の距離が短くなる。

 夜になる。

 瞬は砂漠の真ん中に立っていた枯れ果てた木を見つけ、そこで夜を通した。




ーーー




 異世界三日目。

 瞬にはもう歩く気力すら失われていた。

 しばらく横になったまま瞬は動かなかった。

 でも、瞬は思い出した。

 この生活のテーマを。


 ”退屈な人生を楽しい人生に塗り替える”


 そのことを思い出した瞬はボロボロになった体を持ち上げ、また前へと歩いた。


 (ッハー、ッハー)


 瞬は水筒を手に取った。

 しかし、中身はあとせいぜい一口分のみ。

 瞬はそれを飲み干し、前へと歩いた。


 太陽がちょうど真上にそり立つ。

 瞬はもう正常には歩けていなかった。

 何度も倒れるが、瞬はその度に立ち上がり、前へと歩き出す。

 その姿はもうヨボヨボの老人のようだ。

 体も痩せ細れ、もう骨の形がくっきり浮かび上がっている。

 体も震えている。


 日が沈みかける。

 瞬はポケットにあるスマホを取り出し、ライトをつけた瞬間、その場で崩れ落ちた。


 (あー、もう動かないわこれ)


 瞬はもうこれ以上動けないことを察した。


 (また死ぬのか。死んだらまた現実世界に帰る。そうだよ、僕は今死んだとしてもまた現実世界に帰るだけだ。別に何も悪いことはない。あっちの世界でしっかり準備をしてから死んで、こっちでリスタートすれば良いだけじゃないか。)


 瞬はその場で笑った。

 そして深い眠りに落ちた。




ーーー





 馬に乗馬した二人組が突然立ち止まる。


 ?「おい、あれを見ろ」


 ?「どうしたんすかー姉貴」


 ?「砂浜に星でも流れ落ちてきたのか」


 ?「ほんてーだ、何すかあれ。ちょっと様子を見てきますぞ」


 ?は謎の光を見つけ近寄った。


 ?「おいおい驚いたやんす。空から人が降ってきたやんすぞ」


 そこにいたのは行き倒れた瞬の姿だった。


 ?「これはどこの種族とやつでんすか。見た目は ”マルテ族” のようでやんすが髪色的に少し違うようなー、うーん」


 ?「息はあるか」


 ?「まだ呼吸はしてるようでやんすが、もう時期これはダメだんす」


 ?「見てみるに何日もの間、ここを彷徨っていたようだな」


 ?「どうするでやんすか、このまましとくか、それとも近くに埋葬してやんすか」


 ?「いや、まだ息があるんだとしたら埋葬するには早い、こちらの方で丁寧に最後を見届けてやろう。連れていくぞ。」


 ?「はいでやんす!」


 ?は瞬を持ち上げ馬に縛り付けた。


 ?「うわ軽ッ!本当に何も食わなかったやんすかあんたさん」


 ?「”ギルデール”!失礼だぞ!もう少し礼をわきまえろ!」


 ?「すまんでやんす、これからは気を付けるです」




ーーー




 僕は死んだ。

 また死んだ。

 もう時期目を覚ますだろうか。


 そして目が覚める。

 瞬は立ち上がり辺を見渡す。

 そこにあった光景はアスファルト、電柱、横断歩道の音、美しい夕陽の色。

 瞬は転移される瞬間の場所に帰ってきたのである。


 (帰って、きたのか。そうだ!あのおっさんは!)


 おっさんが歩いて行ったほうに瞬は走っていき周りを見渡すも、その姿はなかった。

 でもこれでまだ一つ分かったことがある。


 ”転移から帰ってきた時は転移される寸前にいた場所に戻る”


 恐らく夕日が沈みかけていることから日付や時間も同じままなのだろう。

 その後僕は家へと帰った。




ーーー




 帰宅後。

 妹の葵は既に帰宅していて、食卓の上で料理を並べながら待っていた。


 「お兄ちゃん遅いよー!せっかく妹が精一杯かけて夜飯を作ってあげたのに」


 妹はどうやら怒っているようだ。

 僕はこれ以上癪に障らないように


 「ごめん葵。でもがっかりだ。今日は葵のために”アレ”を買ってきてやったのになー」


 そう言って僕はコンビニのナイロン袋を見せた。

 キラリッ

 葵の目が光ったのが僕には見えた。

 その瞬間


 ペシっ!


 葵は目に見えず速さで僕からナイロンを奪い取り、そのまま食卓の上でそれを開けた。

 中に入っていたのはピーナッツ、サキイカ、チーズ、そして極めつけに


 そう ”カルパス!”


 葵は大の酒のつまみ好きであり、たまに外食する時は殆どが居酒屋であり、いつも同じようなメニューを頼んでいる。

 こんな妹のせいか、最近は僕までもつまみ好きになってしまった。


 「うわぁー!」


 妹はそういい、カルパスを手に取り、口に運ぶ。


 「うんまー!」


 こうなった葵はもう止まらない。そのまま無言でそれを食べることに集中する。

 だから僕は葵が不機嫌だと分かった時はいつもこうしている。


 (まだお酒は飲めないのになー)


 そう内心思っている。

 逆に酒が飲めるようになる年齢になることを考えると、それはそれは恐ろしくて考えたくもない。

 妹の機嫌が直ったことなので僕は席に座り妹の手料理を食べた。

 ご飯を口に運ぶのはこっちではまだ数時間ぶりだが、異世界であったことを思うと、物凄いご飯がすすんだ。


 「お兄ちゃん凄い勢いで食べるね」


 「悪いか」


 「別にー。私にとってはそんなに食べてくれて嬉しいよ。」


 僕は夜飯を食べ終わり、風呂に入った後、自分の部屋に戻り、ベットの上に横になって今日の出来事を振り返った。


 (本当に今日はいろんなことがあったな。異世界では三日間砂漠を歩き続けて死んだのに、こっちではまだ一日も経っていない。これが死ぬたびになると思うと、少し疲れるなー。でもなんだろう、 ”凄く楽しい” 。頭が軽く感じる。)


 僕は楽しいという感覚を取り戻した感じがした。


 (あのおっさんには感謝した方がいいのかな。いやでもまだ分からない、ここから凄く何かヤバい変なことが起こるかもしれない。油断は禁物だな。)


 (また今度異世界に行ったら僕は砂漠の中にいるのか。またあそこを歩き続けるのか。それは少し大変だ。そうとなったら明日は準備期間だな。砂漠を歩き続けるための道具を整えよう。幸い明日から週末だから学校は休みだし。)


 その時、僕は思い出した。


 (あっ、あの女。)


 頭の中で彼女のことを思い出す。


 (今度学校に行く時は必ず見つけてやるからな。そして瞳のことについて聞くんだ。)


 僕はスマホを手に取り、カメラのアプリを開き、自分の顔を見た。

 自分の顔を見た僕は驚愕した。

 右目の瞳が青ではなく黒色に戻っていたのである。


 (えっ?)


 僕は何かを失った感覚がした。

 自分の瞳の色が戻っている。これが嬉しいことなのか悲しいことなのかも分からないが、そう感じた。


 (瞳の色が変わる。これは加齢や何の病になったことでしか起こらないはずだ。なのに僕はそれが起こり、今もまた起こった。一体なんなんだこの瞳は?異世界と何か関係があるのか?)


 そこで僕はそこで新たな目標と出会った。


 ”この瞳についての真相を探る”


 そしてあの女のことについても。

 僕はそう誓い部屋の電気を消して眠りについた。

 


 


 

 




 


 





 

 

 


今週からまた忙しくなるので投稿出来なくなるかも

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