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哲学者気取りの異世界経由生活  作者: きたまる
第零章 それはまだ始まりである
3/5

第三話 事件ログ1

 いつもと変わらない登校道。

 僕は歩きながらあの瞳について考えていた。


 (本当になにも心覚えがないな。いつあんな感じになったのか何も分からない。)


 その時、僕は思い出した。

 ”あの日” のことを。


 あの日、僕は保健室で横になっていた時、見たのである。

 あの女も瞳の色が変わっていたことを。

 彼女の瞳はたしか赤色だった。


 (あの女は何か知っているかもしれない)


 あいつに聞いてみよう、と思ったが僕にはできなかった。

 この前の別れ際を思い出す。

 ”気まずい” のである。




ーーー




 学校に着いてしまった。

 しかし、僕はまだ決断できていなかった。

 でも、このままじゃ僕の頭が瞳の色のことでいっぱいになってしまう。


 (よし、聞いてみよう)


 やっとのことで決断したときには、もう教室に着いていた。

 決まったことなので、あとは行動に移すだけと思い、状況を整理した。

 まず、彼女は…


 (あれ?あの女って何年の何組だ?そもそも年が分からない)


 第一の問題として彼女を情報が無さ過ぎた。

 同学年か年上なのかも分からず、クラスの女子に聞こうかと思ったが、そもそも話せる人がいないし、話したとしても知らなかったら意味がない。


 (これは一から探すしかないな)




ーーー




 昼休憩。

 僕はお昼を早く食べて、彼女を探した。

 まず学年ごとのクラスの教室を探した。

 しかし、彼女は見つからなかった。

 その次に校舎全体を歩き回った。

 いろんな教室や建物を見て回ったが結局、彼女は見つからなかった。

 そして校舎内を歩き回って疲れ果てた所で予鈴が鳴り響いた。


 (どこにいんだよ)


 癇が立った口調でそう思い、汗だくになりながらも急いで自分の教室に戻った。

 戻る途中に喉が渇いたので、近くにあった水道をがぶ飲みした。



 そして、もやもやしながら授業が進んでいき放課後になった。

 正直今日はもう探す気力はなかったが、家に帰ってもすることは特にないのでもう一度探すことにした。

 しかし、何処を探しても彼女は見つからなかった。

 気づけば校舎の外は陽が沈みかけていて町が綺麗な茜色に染まっていた。


 (今日はもう諦めよう)


 そう思い自分の荷物が入ったリュックを背負って学校を出た。

 またいつもと変わらないであろう帰り道を歩いていた時、違和感を感じた。


 (んっ?)


 何故だろうか。いつもと変わりない風景に幕が降りていて表しか視えないような、何処か不思議な感覚がした。

 感じたより、そのように視えたのである。

 いつもは綺麗と思っていた夕日もどことなく違っている。

 奥に見える電柱、道路標識、信号、歩道、全てが偽物のように視える。

 そんな時、前からスーツを着た中年男性が歩いてきた。


 (人がいる。ちゃんと人だ。)


 僕はその男性の方へ歩いていった。

 男性は手ぶらで下を向いて顔が分からないまま歩いていた。

 僕はその男性に向けて声を掛けようとした。

 この変な感覚を紛らわせようとしたかったからかもしれない。

 そして僕は声をかけた。


 「あのーすみません、何か最近変な感覚を感じたことはありませんか?」


 男性はその場で立ち止まった。

 今考えれば、僕は一体何を話かけているんだろうと思う。

 見ず知らずの人に向かって。

 男性は答えた。


 「私は君の質問には答えることができない。ですが、私は君に質問を問い掛けたい。我が儘なのは承知の上で。」


 男性はそう答えた。

 僕は相手が何を考えているのか意味が分からなかったので考察してみようと思ったが、そんなに時間は待ってくれないと思い、恐るおそる


 「はい。いいですよ。」


 と、答えた。

 とにかく今は情報が欲しい。そう思ったので、相手の意見に肯定した。

 男性は僕に背中を向けながらこう問い掛けてきた。


 「私は今の生活が楽しいと感じている。今の社会が好きと思ったからだ。だが、世の中にはこの世界が大嫌いなやつ、もしくは退屈で仕方がないやつがいると私は思う。君はどう思う?」


 僕は一瞬言葉をためらったがすぐに答えた。


 「僕はこの世界が退屈です。何もかもを機械まみれにして、一体政府は何を考えているんだろうと思っています。もう一度言います、僕はこの世界が退屈です。」


 男性はボソッと言った。


 「ありがとう。はー、困ったな。私はどうすれば良いのだろう。こんな時 ”カヤ” がいたらどうするのだろうか。」


  (”カヤ” とは一体?)


 そう思っていたら男性は言った。


 「私はずっと前から道を間違っていたのかも知れない。しかし私は今の生活に満足している。でも、何か変わっただろうか。いや、何も変わっていない。変えられなかった。」


 「スッーーハーーー、心の奥底では分かっていたが、現実というものはこんなに酷いのか。」


 男性は大きなため息をつきそう答えた後、僕に向かってこう答えた。


 「君はこの退屈な世界を変えたいか?」


 僕は即答した。


 「変えたいです。」


 男性は言った。


 「君はそう答えると思ったよ。質問を変えよう。君はこの世界とは違う別の世界があると思うかい?」


 僕は答えた。


 「考えたこともないので分からないです。でも、理論上ではあり得ないと思っています。」


 男性は言った。


 「なるほど。でも私はその別世界と現実世界を行き来することができる。と言ったら君は信じるか?」


 僕は何て答えたら良いかわからなかった。でも何故か男性の言っていることが真実だと思う。


 「僕は…信じてみたいです。あなたの言っていることを。」


 男性は言った。


 「ありがとう。信じてくれて。では少し目を瞑ってくれ。安心してくれ、危害を加えるつもりはない。」


 と言ったので僕は目を瞑った。

 その瞬間僕たちの周りに突風が起こり、服が舞い上がる。

 そして男の心臓から青く光り輝く真珠のような球体が出て、僕の心臓に乗り移った。

 乗り移り後、風が静かにやんでいった。


 「目を開けろ」


 と言ったので僕は目を開けた。


 「これで私の能力は君に移った。君はこれで異世界と現実世界を経由することができるだろう。」


 乗り移った瞬間不思議な感覚がしたが、今はなんともない。

 僕は一つ疑問に思った。


 「でもどうやって異世界と経由することが出来るんですか?」


 そう、その方法が分からない。なので男に聞くしかなかったので僕は質問した。


 男性は答えてくれた。


 「君は今心臓の中に ”レード” というものがある。レードには様々な能力があるものがある。その中でも私の持っていた経由能力というものを君に与えた。レードの発動条件はレードの持ち主の‐‐‐‐‐‐‐‐が‐‐‐する時に発動する。これが条件だ。」


 (ん?なんだ、肝心なとこだけ上手く聞こえなかったような)


 僕は言った。


 「あのもう一度…」


 言い切る前に男性が口を挟む。


 「少し、長く喋り過ぎた。もうこんな時間だ。家族が家で待っているのに。いいか、よく聞け。君は今から人生を変えるんだ。退屈じゃなくなるような生活がきっと待っている。 ”道を間違えるな。絶対に。退屈という概念に囚われるな。考察しろ。自分の未来を。そして助けろ。関係を持った人たちを。」


 僕はその言葉の意味がよく分からなかった。

 そう言い終わると男は一瞬後ろを振り返り僕に向かって指を刺して言った。


 「”カーディーアック・アレスト”」


 その瞬間、男の指先から光の弾丸が飛び出し、僕の心臓を貫いた。

 痛みは感じられなかったが、僕は意識がもうろうとして、自力で立っているのもままならず、バタンッと倒れてしまった。

 倒れた後、男は振り返り顔も分からないまま歩いて去っていくのが見えた。


 「うぁぁぁ!……クッ…!」


 (呼吸が…できない…!)

 僕はその場で暴れ狂う。

 体中の細胞が壊死してゆく。


 (死にたい!死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい!早く死なせて…く……れ…、)


 僕は…死んだ。


 







 

 

 



 



 

三ヶ月も待たせてしまってごめんなさい。

もっと早く投稿したい

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