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乾いたパン

「ここは……どこだ?」


そのかすかな問いは、果てしない虚無の中に飲み込まれたかのように消え、まるで巨大な怪物の腹の奥から響くような同じ問いがこだました


美しい青灰色の瞳は、哀れな盲人の目とすり替わってしまったかのようだった。両手はただ虚無しか感じ取れず、足は歩き続けてもどこにも辿り着かず、まるで円を描いているかのようだった


幾重にも重なる冷気がその空間に満ち、毛穴の一つ一つから入り込み、アルダの肌を侵していく


血の流れは空気と溶け合い、鮮やかな赤が濃淡の青と混ざり合い、最も混濁した色を生み出していた


彼の体は、まるでモデルのように裸だった。ガラスのように脆く白い肌は、この檻の中に満ちる恐ろしい空気をはっきりと感じ取っている


突然、その体は小さくなり、六、七歳ほどの子どもの姿へと変わる


だが奇妙なことに、その体は想像を絶するほど疲弊していた。重く、力を失い、歩いている最中に突然倒れ込む


腹の奥からこみ上げるものがあり、喉元までせり上がる。そして吐き出されたのは白い吐瀉物で、ぬめり気があり、不快な臭いを放っていた


その吐瀉物とともに、魂の奥底から引き裂くような激痛が走る。それは小さな魂を二つに裂こうとするかのようで、体を痺れさせ、焼けつくような苦しみを与えた


上方には、若き日の長兄ガジの冷たい視線が少年を見下ろしている。その目にどんな感情があるのかは分からない。ただ、その視線はアルダに深い恐怖として刻み込まれていた


「いや……」


「いや……いや……」


「いやだ!!!」


びしょ濡れのシーツの上から跳ね起きる。汗は全身から流れ落ち、体は熱く、荒い呼吸を繰り返す。髪は力なく垂れ下がり、彼をいっそう疲れたように見せていた


瞳はぼんやりと収縮しているが、その奥にはなお濃い闇がまとわりついている


コンコンコン


ノックの音に、アルダははっと我に返る。声を上げる


「誰だ?」


扉の向こうから返ってきたのは女性の声だった。母やポーラのものではなく、おそらく侍女の声だ


「お坊ちゃま、叫び声が聞こえましたので失礼とは思いましたが……何かお手伝いできることはございますか?」


「ああ、悪夢を見ただけだ。心配はいらない……」


「かしこまりました。どうか早く落ち着かれますように」


その言葉の後、足音が遠ざかる。侍女は去り、アルダは一人部屋に残された


視界が次第に霞み、まるで目に薄いガラスがかかったようだった


「いや……僕は騎士なんだ、泣くわけにはいかない」


そう言いながら、彼は手で目をこする


青い瞳が窓の外を見やる。おそらくもう午後二時は過ぎている頃だ


アルダはすぐに立ち上がり、いくつかの持ち物と金を用意する。すべてを整え終えると、いつものように手を合わせ、鏡の前に立ち、呟いた


「聖マルディーニ、どうかあらゆる困難を乗り越える勇気をお与えください」


その儀式を終えると、彼は部屋を出ていった


重苦しい邸宅を出た瞬間、ようやく心にやわらかな風が吹き抜ける。肩の力も抜け、足取りもいくらか軽くなった


街路を歩き、ラリオの人混みに溶け込む。どれほど時間が経ったのか分からないまま、アルダは目的の場所へと辿り着いた


娼館兼宿屋。その名はバタフライ


「本当にここであの人に会えるのか……」


看板を見上げ、心の中でそう呟く。それでも迷いながら、彼は中へと足を踏み入れた


「いらっしゃいませ、お坊ちゃま。ご用件は?宿ですか、それとも“夜の蝶”?」


中に入るとすぐ、目に入ったのは艶やかな体つきの女だった。その姿に、少年ははっきりと頬を赤らめる


金の髪に茶色の瞳、日焼けした肌。薄いドレスの下で、豊かな曲線が妖しく揺れている


「ぼ、僕は……人を探している」


「へえ、誰を?その“夜の蝶”のお名前を教えてくれる?」


「えっと……その人は……」


アルダは少し言葉を詰まらせ、考えてから口を開いた


「えっと……カインズ・コスタ」


「へえ、うちの上客じゃないの」


「でも会うのはちょっと難しいかもね」そう言いながら彼女は彼の胸元に手を置き、妖しく挑発するような目で見つめる。声は甘く、どこか魔性を帯びていた


多くは語らず、顔は赤くなりながらも、彼の行動ははっきりしていた。こういう接触には慣れていないのだ


彼は一歩下がり、彼女を軽く押しのけると、金貨を一枚テーブルに置いた


「これで足りるか」顔を逸らしたまま言う


「四階の十五号室よ。楽しんでね」


「鍵は要らないわよ、あの人、鍵なんてかけたことないから」


アルダは何も言わず頷き、そのまま階段を上がっていった


廊下を進むにつれ、欲望に満ちた声や肉のぶつかる音、不浄な気配が耳に入ってくる


数分もせず、アルダは十五号室の前に立っていた。木の扉は閉じられておらず、わずかに隙間が空いて中が見える


彼は咳払いをし、少し恥ずかしそうに声をかけた


「あの、カインズ・コスタさんはいらっしゃいますか?」


中から返ってきたのは男の声だった。しかしそれは彼の想像とはまるで違い、老人ではなく二十代の青年のような声だった


「自分で開けろ、鍵はかけてない」


許可を得て、アルダはようやく扉を押し開けた。中の光景はあまりにも乱れており、彼は顔を真っ赤にしながらも目を逸らさずに見ようとする


部屋には情事の匂いが充満している。服は床に散らばり、白いシーツは大きく濡れていた


ベッドの上には二人の人間が毛布に包まれている。女は男にもたれ、胸に手を置き、指で退屈そうに円を描きながら、満足げな視線を向けていた


もう一人が、おそらく探していた人物――カインズ・コスタ


その外見は五十を過ぎた者には見えず、せいぜい二十五ほどにしか見えない。上半身裸で、黒髪が疲れたように垂れ、鋭い目で少年を見つめ、口には吸いかけの煙草をくわえていた


「あなたが……カインズ・コスタさんですか……」


「何の用だ、ガキ」彼は少し顎を上げて尋ねる


「はい……ディエゴ先生に紹介されて……先生はあなたが友人で、騎士七級の資格を持っていると……だから僕を試験に受かるよう鍛えてくれると思って……」


「あのガキが俺の居場所を教えたのか」


「暇な奴だな」


「やらん。他を当たれ、ガキ」


そう言って、手を振って追い払おうとする


「僕を本物の騎士にしてください!」


アルダは声を上げ、深く頭を下げた


「ふん、で、俺に何の得がある?」


「お金です!」


「一日金貨三枚払います!」


「騎士になれるなら!」


「お願いします!どうか引き受けてください!」


それを聞いて、彼の表情にわずかな変化が現れる。顎に手を当て、少し考えてから声を上げた


「いいだろう、ガキ!そこまで言うなら、師匠と呼んでみろ!」


「カインズ師匠!僕を騎士にしてください!」


彼は周囲も気にせず大声で言った。その突飛な行動に、若いようでいて老獪なカインズですら一瞬反応できなかった


顔が固まり、周囲の音も一瞬止まる。やがて彼は露骨に照れた顔をし、慌てて手を振ってアルダを外へ追い出した


しばらくして娼館の前で、カインズは木の扉から出てきた。そこにはずっと待っていたアルダが立っている


「ガキ、ついてこい」


そう言うと背を向ける。その後ろをアルダがついていく


やがて二人は、この都市で最も荒廃した区域へと辿り着いた


そこは「七人の兄弟の遺産」と呼ばれる場所。かつてラリオの誇りだったが、今ではその名を口にするだけで痛みを伴う


彼はかつての栄光の残骸を通り抜けていく。黄ばんだ家々、緑の苔に覆われた壁


ひび割れた道、崩れた壁。その陰には人々がいた


老いも若きも


大人も子どもも


男も女も


すべてが揃っている


彼らはぼろぼろの服を着て、肌は荒れ、埃にまみれている。だらしなく、みすぼらしく、不快な酸っぱい臭いを放っていた


その臭いは通り全体に広がり、アルダの喉を刺激し、吐き気を催させるほどだった


彼はその中を進み、最も広く、そして最も荒れ果てた場所へとアルダを連れていく。そこがカインズの住処だった。そこには土と瓦礫しかない


「ここで何を教えるんですか、カインズ師匠」


答える代わりに、彼は腰の袋から何かを取り出した。それは五等級のパン、下層民ですら食べないような代物だった


「簡単だ。あらゆる手段を使ってこれを取れ」


そう言いながら、縄でパンを近くの枝に吊るす


「取れたら、お前は俺の弟子だ」


「分かりました」


そう言うと、さらに袋から木剣を二本取り出し、一つをアルダに投げ渡し、自分も一本を持つ


「魔法のことは聞かないんですか?」


「いいかガキ、これは無料の授業だ。自分の強みを敵に教えるな」


「さあ、始めろ」


その一言と同時に、アルダはためらわず突進した


風のような速さで駆け、数秒でパンに近づく


だが手を伸ばした瞬間、腹に激痛が走る。内臓がねじれるような感覚


その見えない力に弾き飛ばされ、十メートルほど吹き飛び、背中を壁に叩きつける


そこに、カインズの姿が現れる


「もっと速く」


「はい!」


アルダは立ち上がり、今度は理想的な姿勢から跳び出す。その速度はまるで矢のようだった


だがそれでも足りない。再び手を伸ばした瞬間、また弾き飛ばされる


理解する。あの男を越えなければパンは取れない


「難しい……このままじゃ無理だ……」


そう考えた瞬間、カインズの姿が消える。ゆっくりと、静かに近づいてくる


そして


斜めの一撃が放たれ、彼の目のすぐそばをかすめる。アルダは一瞬で意識を取り戻した


「剣をしっかり握れ」


その言葉と同時に、正確無比な連撃が放たれる。考える暇もなく、アルダは後退を強いられる


木剣が打ち合う音が絶え間なく響く。一秒ごとに何十回もの打撃が繰り出されているかのようだった


「手綱を握れなければ落馬するぞ」


その通りだった。連続攻撃により、アルダの腕は痺れ、次の一撃で剣を落としそうになる


だがそれでも、彼はさらに強く握る。観察していた。二十秒ごとに、カインズは一度瞬きをし、その瞬間だけ攻撃がわずかに鈍る


今がその瞬間


剣がぶつかる瞬間、手首をわずかにひねる。カインズの剣がわずかに跳ねる。それで十分だった


アルダは剣を押し上げ、腕ごと弾く


だがカインズはすぐに握り直し、鋭い一撃をアルダの脇腹に叩き込む


激痛が走る。手が震え、意識が飛びそうになる。それでも意志が体を動かす


剣を逆に持ち替え、両手で刃を掴む。その一連の動作は信じられない速さで行われた


そして痛みが消えぬまま、思い切り振り下ろし、油断したカインズの頭に柄を叩きつける


バン!


腕は震え、体力も尽きかけているが、その一撃は確かな成果をもたらした


カインズは数歩よろめく。彼もこの少年がここまでやるとは思っていなかった


頭を押さえているその隙に、アルダは動く。足取りは重くなっていたが、それでもパンに届く


だがまたしても、手が届く直前でカインズが現れ、顔面に強烈な拳を叩き込む


再び吹き飛ばされる。しかし今回は違う。アルダは力尽きて意識を失った


それでもその手には、しっかりとパンが握られていた


「このガキ……本当にしぶといな」

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