プロローグ
すいません、というわけで新作です。
ずっと書きたかったVR作品です。
どうか、お読み頂き、ご意見、ご感想など頂ければ嬉しいです!
【アルティメット・クロニクル】
それは、全世界で五千万人がプレイしていると言われる、アストラル・インタラクティブ社が生み出した究極のハイエンドMMORPG。
フルダイブ型神経接続システムにより再現された五感。
風の匂い、刃が触れたときの震動、魔法が炸裂する瞬間の空気の焦げる感覚。
その臨場感は、もはやリアルを超えているのではないか?とさえ囁かれていた。
プレイヤーは人間、獣人、亜人といった多彩な種族から自由に選択できる。
戦士、騎士、魔導士、暗殺者といった戦闘職はもちろん、
鍛冶師、錬金術師、料理人、商人といった生産職までもが極限まで作り込まれている。
戦うも良し。創るも良し。築くも、壊すも、すべてはプレイヤー次第。
この世界には、無数の物語が同時に存在していた。
そして、正式サービス開始と同時にログインした一人のプレイヤーがいた。
そのプレイヤー名はラグナ。
ベータテスト時代から数えきれぬ時間を費やし、数多のアップデートと環境変化を乗り越え、幾度も最前線に立ち続けてきた古参プレイヤー。
だが、この時点で彼はまだ、ただのプレイヤーに過ぎない。
やがて世界は知ることになる。
彼の選択が世界中に激震を轟かすことになることを……
これは、後に【魔王】と呼ばれる男の始まりの物語。
ラグナという名が、この世界に刻まれるまでの、最初の一ページである。
◆
「えーと、まずはキャラクリエイトか……」
俺は現在、真っ白な空間の中でキャラクリエイトに勤しんでいる。
アルクロをプレイする上での、最初の工程だ。
人種は無難に人間を選択した。
だって、獣人とか亜人とかだったら、コミュ力が高くないとフレンドとか作りにくそうだしね。
続いて、アバターの外見を細かく作り込める段階へと進む。
「とりあえず……完璧な男前にするか」
――うん、完全に願望山盛りだけどな。
リアルでは、どこをどう切り取っても普通としか言われない俺の、せめてもの夢……
容姿端麗――なんて甘美な言葉だろうか。
整いすぎたくらいに整った顔立ちに、すらりとした体型、髪は長めで、色は……そうだな、銀髪にしよう。
リアルでそんな奴見たことないけど、ここはゲーム。
ロマン盛りまくりの見た目にして何が悪い?
こうして、現実の俺とは正反対とも言える、理想を詰め込んだ完全無欠のアバターが完成していく。
「えーと、次はジョブ選択か……」
アルクロには、【剣士】や【魔導士】といった戦闘職だけでなく、支援職も含めた多彩なジョブが存在する。
だが――ここは迷う必要はない。
「選ぶなら……【剣士】一択だろう」
華麗な剣さばきで敵を切り伏せる美剣士――うん、最高じゃないか。
俺の剣技でフレンドたちの力になるんだ!
これで、キャラクリエイトは終了。
俺は一つ大きく息を吐き、目の前に表示された「ゲームスタート」のボタンへと手を伸ばす。
――こうして俺は、アルクロの世界へとデビューすることになった。
たくさんの仲間を作り、様々な冒険をする。
そんな当たり前で、けれど何よりも楽しそうな未来を思い描きながら――
俺は、新たな世界へと足を踏み出した。
――これが後に【孤高の魔剣士】と呼ばれることになる、俺ことラグナの物語の始まりだった。
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