表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヤマトコノカタ  作者: キクチ シンユウ
第二章 ー 空間遊戯 ー
PR
49/49

2-16 不相応な安定感



 武たち学生隊、岩本と西澤たちが率いる各隊が集結地へ帰投した。


 三上は砂盤の横で水分と食事を与えられながら、西澤から異世界転移してからの経緯を()かれていた。


「同級生の伊藤と待ち合わせをして、シャトルバスに乗った時にこの動画を開いてしまい、気づいたらここにいたんです」


「その動画のURLは武君に送りましたか?」


「はい。相談しようと思って……。

 本当は開く気はなかったんですけど、つい触ってしまって……」


「押し間違いか……」


 西澤が聞き覚えのある言葉を小さく呟いた。


──……。


 確信犯である武たち三人はバツが悪かった。


「どうしてあの建物に?」


「伊藤と一緒にこの街を歩いていたら、鬼が現れて追いかけられて……。

 俺は階段のあるところで伊藤を行かせて、俺だけ捕まったんです。

 そしたら、あの建物に閉じ込められて……」


 西澤は砂盤を見た。


 それに反応するように岩本が話しかける。


「こちらより高い地形ということなら、三上さんを発見した建物の先になるな」


「直ちに行きましょう。

 戦闘機動隊の半分──二個小隊も一緒に出られますか?」


「了解した」


「それと、学生隊は現在地で待機」


「了解です!」


 武は三上の方を見た。

 三上を安心させたかった武は、口角を上げてみせた。


 指示を出した西澤はすぐに部屋を出て行ったが、声を漏らさないように潜行班の隊員と何か話している。


「第3・第4小隊は残置!

 第1・第2小隊は直ちに出るぞ!」


 岩本の意を汲んだ藤井が、戦闘機動隊に指示を出した。


 戦闘機動隊も瞬く間に飛び出して行くが、岩本が武たちに近づいてくる。

 武たちは正対した。


「他の戦闘員もいるが、何かあればすぐに無線するように」


 それだけを言って去っていく岩本に、三人は敬礼した。


 その武の姿を三上は呆然と見ていた。


「こんなところ急に見たら驚くよな……」


「あ、いや! 頑張っているなって!

 やっぱり超人タケルだったんだな」


 三上の笑顔に、武は安心した。


「武、俺たちは待機中に何をすればいいか聞いてくる」


「お友達とごゆっくりだよ!」


 錠と赤松を見送り、武は三上の隣の椅子に腰掛けた。


「伊藤は多分大丈夫。あの人たちはヤマト機関の精鋭部隊だから、きっとすぐに見つかるはず」


「良かった。

 だけど、本当にびっくりしたよ。

 まさか、あんなニュースで見るような超人になっちゃうなんてさ」


「心配させてごめん。

 なかなか連絡することも許されなくて」


「しょうがないよ。

 そういう大変なことをしているんだろうし」


「だけど、こんなことに巻き込んでしまって」


「大丈夫だって!

 こうやって助けてくれたんだし。

 それに俺は、武が元気そうで嬉しいよ」


━━本当に変わらないんだな、三上は。


 武はいつもと変わらない三上に懐かしさを覚え、安心した。

 だが、その安定感が気になった。


「三上。怖くなかったか……?」


「え?」


 三上は武をしっかり見た。


「いやー! 怖かったよ!

 だって鬼だぜ! 殺されるかと思ったし!」


「そうだよな……」


 武は考える間が欲しくなった。


 三上の怖いという言葉に気持ちが無かったような気がした。



 矢のように飛んできた轟音。


 建物の外から大きな音がした。


「敵?!」


 錠と赤松が急いで戻ってきた。


「ヤバいよ! 敵襲だ!」


「くそっ! 三上はここにいて!」


「わ、わかった」


 武たちは外に飛び出した。


 集結地にいた人員と残置していた戦闘機動隊が、防御空間(シャマリカゴー)を展開しながら応戦している。


 爆煙の中から装甲肉弾兵の猪幡が姿を現す。


「あ! またあいつか!」


 猪幡だけではなく、数鬼(すうにん)の装甲肉弾兵も共に現れた。


 戦闘機動隊の隊員が岩本に無線を飛ばし、状況を報告する。


「少佐! ここの集結地が見つかったようです!」


━━すぐに戻る! 持ち堪えろ!


「猪幡。あの物部のガキを引きずり出せ」


 猪幡は命令に「うす」とだけ短く答えた。


 猪幡に命令を出した鬼は、人狩八十八鬼衆の幹部、砕晶だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ