第61話 帰りの道中にて、ペガサスのお尻を眺めながら
「ぽっと出の女の子に、プロポーズの順番を抜かされた訳だが?」
「もちろん最高のシチュエーションを考えているぞ! 長い長い道の果て、ようやく元の世界に戻れることになったその時! 『お前がいたからここまで来れた。この先もずっと俺の横にいてくれ』と抱きしめるのだ!」
今まで夜寝る時に何度もした妄想。
その結果、これが俺の中で1番だったぞ!
「20点」
「ふぇぇ……」
しょんなぁ~……。
「まず長い長い道の果てっていつ? いつまで待たせるの?」
「ぐぅ……」
それは……できるだけ早くしたいよね。いろんな意味で。
「それと、私自身は元の世界に戻ることに複雑な思いを抱いているので、タイミングとしては不適」
「ぐぬぅ……」
そうなんだよ、そうなんだよなあ~。
ユートを戻す、ノノとこっちで暮らす。
両方が叶えられればいいんだが……。
「あと、私はお姉さんだから、横じゃなくて前を歩いているんですけど」
「……」
それは違うと思う。
どこの世界にこんなちんちくりんなお姉さんがいるというのだろうか。
「……抱きしめるのは……今してもいいよ」
「……」
恐る恐る、ノノの腰に腕を回し――。
「ゲフンゲフン! あー、もしかして私たちお邪魔ですぅ~?」
馬車に積んでるたくさんの荷物と同じく、自身がお荷物であることを遂に自覚したクラリス姫。
控えめに言って邪魔ではある。
「あっはっは! 私たちの前で堂々といちゃつくなんて、さすがは勇者様だねぇっ!」
「……人の発情の様子には興味ない……見飽きた」
豪快な様子で笑い飛ばす女性は鍛冶屋兼建築家のハーリッツさん。多分30代。
そしてボソボソと呟いたのはシュネイプさん。彼女は魔物研究者、特に植物系に詳しいらしい。多分20代後半。
ていうか俺は勇者じゃないぞ?
「わっはっは! そうとも! 人の恋愛模様よりも……ペガサスが飛ぶ姿を見ることの方が遥かに興ふ――有意義だ!」
彼の名はダンブルダルフさん。同じく魔物の研究者であり、種にこだわらず様々な魔物の研究をしているらしい。
確実に変態であろう。多分40代前半。
ということで、現在我々はラインガルドを離れ、ミーティアとステラに馬車ごと運んでもらっている最中なのだ!
この3人が今回メインで派遣される、支援のための人材となる。
他にも何人か乗っているが、基本的には彼女らのサポート要員だ。
残念ながら今回ユーフィは乗っておらず、いろいろ準備してから来るそうだ。
こちらとしても彼女が住みやすい環境とは言えないから、今のうちにバリアフリー化を進めねば!
「ふぉぉっ! 揺れる尻尾が招くチラリズム! 見るものを魅了してやまない神秘的な臀部! ぬああぁぁぁっ!」
「こいつ降ろしていい?」
突然興奮して……発情してるのはこいつの方じゃないか!
「何をおっしゃる! 美しいものは万物の宝! 魔物と言えどその真理は変わらない! 魔物使いと言われるあなたがそれを受け入れないでどうするのですか!」
「いや、ミーティアの臀部が美しいのは知っている。触り心地も最高だ」
ただし、触るとお返しに何倍も顔を舐められるがな!
「う、羨ましい! じゃなくて……では何がいけないのですか!?」
「レージは独占欲が強い。そういうこと」
フンスとドヤ顔でノノさん。
独占欲かはともかく、自分の大切なものを下卑た目で見られて嬉しい奴いないだろ!
「むぅ……」
とは言え、せっかくパークに来てくれてるんだ。
邪険に扱いすぎるのもかわいそうか。
そう思い、ダンブルダルフにこっそり耳打ちする。
「パークには娼館もあります。今はハーピィやスノーサキュバスしかいませんが――」
「……ほぅ?」
「これからはもっと増えるでしょう……それに、ご希望の種族がいれば善処しますよ」
「……」
緩んだ表情をきりっと引き締め、仕事をする男の顔になるダンブルダルフ。
「……貴君に最上の忠誠を誓いましょう」
固く結ばれたその手が、彼の意志の強さを物語っていた。
「突然どうしたのでしょうか?」
「レージのあの顔は、どうせスケベなこと考えてる顔」
「……所詮、人間の男はけだものってことですね……くひっ!」
「あっはっは! あたしゃ嫌いじゃないよっ!」
読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/
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