第60話 ユーフィ
「おいおい、王様が簡単に頭を下げていいのかよ」
ラインガルド国王の土下座を前に、そんなことを言ってのけるノノさん。
メンタル無敵かよ……。
ていうか頭下げるどころの話じゃないんですけど!
「この度は誠に申し訳ございませんでした!」
「と、とりあえず顔を上げ……いや、土下座をやめて貰っていいですか……?」
「いえ! このまま先に弁明させて頂きたい! 」
いやいや! いい年したおっさんの土下座とか……精神的にきついんですけど……。
さっきまで癒し系小動物系の女の子と話してた分、落差がひどい。ゲロ吐きそう。
「まず最初に……我が娘、ユーフォニアの件ですが、完全に私の独断です。グランヘイムには全く関係がなく……」
「そこは正直どうでもいいです」
既に彼の国に人的信頼はない。
◇
「私があなたに望むことはただ1つ、ユーフォニアの幸せでございます」
どうにか土下座をやめさせ、ようやくまともな会話をする気になったラインガルド国王から出たのはユーフィのこと。
マリアさんもそんなことを言っていた気がする。
「実はあなた方のことは召喚されたときより、密に情報を集めておりまして――」
異世界から見ず知らずの強大な力を呼び出すのだから、大国がそれをしない訳がないものね。
「この世界に2人といない魔物を従える特別な力。先日この目で拝見しましたが……なんと素晴らしい能力かと感動いたしました」
「それほどでもあるよ」
ノノさんが得意げに応える。
聖女の能力の方が凄いと思うよ!
「ええ。しかし同時に、『魔物使い』……魔物を使役する者……とてもそうは見えませんでした」
え? 使役はしてるけども……?
もしや使ってる側だと思いきや、うまく使わされているだけだとでも!?
「まるで……対等な友人に接するかのような姿。あのペガサスの信頼を寄せる様子、いたく感服いたしました。それに加え、中には身体的不利を抱える魔物ですら大切に扱っているとお聞きしています」
「それは……コン、ウィンドフォックスのことでしょうか」
あれは別に、コンがなんとなく可愛いからそうしてるだけですけど……。
「……レイジ様であれば、きっとユーフィを大切にしてくださると……父としてあの子を託したいと、そう思わされたのです」
「……買いかぶり過ぎですよ。俺はそんな評価を受けるような人間じゃない」
結局は自分がしたいことしかしない。
何ならこの世界の生物全てを犠牲にしてでも目的を達成する所存ですから!
「ですが、大切なもののためには、あなたは全てを賭けて行動する。違いますか?」
ドクンと心臓が跳ねるのを感じた。
まさか心を読まれた訳ではないと思うが……。
「娘を託す父としては寧ろそうあって欲しい。誰が敵となっても、娘だけは守ってくれる、そんな男と結ばれて欲しいのです。王としてはどうかと思いますがね……」
◇
最後に苦笑いを浮かべたラインガルド国王……ディル王に見送られ、部屋を後にする俺たち。
「……」
「……」
ドアの前で待機していたマリアさんに連れられ、ユーフィの元へと向かう。
「妹は、王族の例に漏れず、幼少期から婚約者を決めるための話が何度かありました」
「……」
「しかし、目の見えない彼女を欲しがる貴族は誰もいませんでした」
「……」
わかるだろう、と視線を投げてくるマリアさん。
いずれ産むであろう跡継ぎも目が見えなかったら……そんな何の根拠もない話。
それでも忌避されてしまうのだろう。
王族の娘との子ども、当然邪険にも扱えまい。
「顔合わせのたびに妹は傷つき、それでも健気に努力をし、そして報われず……父もいつしか妹の結婚を諦めていました」
「……」
あの笑顔も、一生懸命に話そうとする姿も……そういう事なのだろうか。
心無い言葉も言われたかもしれない。傷つくこともあっただろう。
それでも、健気に頑張ってきたんだ……。
「私や父のことは許さないで頂いて構いません。妹も特別扱いしなくて結構です」
「……」
「ただ……あの子をおそばに置くことを許してやってください。きっと……きっといい子だから、あなたも好きになってくれるはずですから……!」
……随分と勝手なことを言ってくれるじゃあないか。
そっちの都合なんか知らんがな!
「ああ、お前らのことは絶対に許さないね! 俺とノノの間に無理やりねじ込みやがって!」
「……」
「だから! 生涯をかけて尽くしやがれ! 俺とノノと……ユーフィが幸せに暮らせるようにな!」
王族の特権だとか何とか……とにかく国を挙げていい生活させろよ!
「……あはは。それは……涙が出るほど大変だぁ……」
そしてユーフィの部屋にたどり着き、扉を開ける。
「あ……レイジ様、ですか?」
「おう、戻ったよ!」
にこやかに出迎えてくれるユーフィ。
こうしてみると、どこか不安な様子が見て取れるのは……気のせいだろうか。
「次は何のお話をしてくださいますか? よろしければ――」
「その前にさ……俺とユーフィの婚約の話だけど」
「……ぁ……」
はっと息を飲むユーフィ。きっと……今までもこうして断られてきたのだろう。
時にうまく取り繕って、時に……嫌な思いをするような言葉を……。
「は……は、い……」
でなければ、そんな苦しそうな顔はしない。
一瞬でも早くその不安から解放してやらねば……!
「その……あの……」
あれれ、おかしいぞぉ?
うまく言葉が出ないぞぉ……?
い、いざ言うとなると緊張しちゃって――いやっ!
「ユ、ユユ! ユーフィが良ければだけど! このまま話を進めて貰う、と言うことでいいかな……?」
悲しげな顔から、ポカーンと。
そして理解が追いついたのだろう、急に顔を真っ赤にして俯くユーフィ。
「……はい……こ、こんな私でよろしければ、お願いします」
目尻に涙を溜めながらも、今日1番の笑顔を頂きました!
ありがとうございます!
「ん~、甘く見て60点」
辛い!
読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/
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また、こんな魔物が見たい! こんなアトラクションあるよ!
なんてアドバイスを頂けると非常に嬉しいです(切実)
よろしくお願いします(/・ω・)/




