第49話 変わらないもの⑤~とある悪徳貴族の守護騎士~
「はぁ……はぁ……くそっ、いてぇや……」
全身が重く……両腕もボロボロだ。
思わず体を仰向けに、倒れこむ。
フィンドールも力を貸してくれたのは良かったのだが……。
おかげで攻撃を避けることは許さないとばかりに正面から受けることとなってしまった……。
「お疲れ様」
「あぁ……ありがと」
見届けてくれたノノが回復魔法を施してくれる。
余計な意地を張らずにノノに助けて貰えばもっと楽できたはずだけども。
「かっこよかったよ」
「……」
それで得られるものもあったはず、と手の中の『封魔石』を掲げ、見つめる。
「……ともあれ、騎士……『シネン』、今日からよろしく」
「『……』」
相変わらず寡黙な奴だ、と思いつつ重い瞼をそっと――。
「さ、奥に行こ」
「……」
――無理やり開き、館を探索することとなった。
◇
「ここは……領主の部屋か?」
建物は相応にボロボロだった上に、ほとんど物がなかった。
恐らく私物と言う私物を民のために売りつくしたんだろう。
「多分」
他の部屋とは少しだけ作りが違う扉を開く。
「ゴホゴホッ! ここも埃が凄いな……」
例にもれず、ここも数百年分の重みのある埃が積もっている。
しばらくほこりとかはお腹いっぱいです……。
「あっ」
「これは……」
大きな机の上にポツンとあった物。
それはシネンが見せた幻覚の中にあった、領主夫人の指輪。
長い月日のせいか、台座はくすんで見る影もない。
しかしダイヤモンドだろうか。台座に守られるようにある慎ましいそれは、今も美しく光を反射している。
「綺麗だね」
ノノがゆっくりと手を伸ばそうとするが――。
「触れるなっ!」
「ぴぇっ……」
あ、あれ……? 今俺が言ったのか……?
いや言ったのは俺だけど俺じゃないぞ。ややこしい。
「シネンか? 安心しろ、触らないよ」
きっと思い入れも相当深いのだろう。
遺言で売れと言われたにも拘わらず、未だここにあるのだから。
きっと……このままにしておくのがいい。
まだしばらくはここに入って来る人間もいないだろうから……。
「すまない、シネンがどうしてもって感じで……」
「ううん、私もうっかり」
うっかり……。
「……死んだ後も、一緒なのかな……」
「……うん」
領主とその夫人。
実質的な今際の際に交わした言葉。
そうであってほしいね。
「……私も……! 私も……」
ほんのり顔を染めて俯くノノ。
ノノも領主たちと一緒にいたいのか……? という言葉をぐっと堪える。
「俺たちも……ずっと一緒にいような!」
「――うん!」
キラリと、指輪が微笑むように光ったのだった。
◇
「ってことがあってね」
パークに戻り、メリッサさんに報告する。
先ほどまで支店開業のために慌ただしく働いていたようで、話を聞くついでに休憩するのだとか。
「概ね過去の報告にあった通りね。亡霊騎士の先には目ぼしい物が何もない、ってだけ付け加えておくわ」
「……やっぱり、ほとんどの人があの幻覚を見て引き返したのか?」
何ていい人たちなんだ! あの先に領主が貯め込んだ財宝があったかもしれないのに……!
「ん~……まぁ報告してくれた人たちはみんなアレで引き返したのでしょうけど」
俺としては金銀財宝よりも、頼もしい仲間ができたことがプライスレス!
「亡霊騎士、シネンって言うんだけど……彼がいなくなったら……」
「えぇ、しばらくは機密扱いにしといてあげるわ」
よかった。シネンにとって色々あるだろうが、やはり思い出の場所には違いないだろう。
しばらくは荒らされないでそのまま在って欲しいと思う。
「ところで……気分転換はできたかしら?」
「……まぁ」
ノノとのこと、婚約者のこと、パークのこと。
いろんな悩みでもやもやしていたが、幾分すっきりした。
「なら、紹介した甲斐があったわ! 私はちゃんと身内のつもりだからね!」
……それは……どうだろう?
読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/
今日の更新はここまでとなります。
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