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第48話 変わらないもの④~とある悪徳貴族の守護騎士~


 再び視界が暗転し……どうやら元の場所に戻ってきたようだ。


「今のは……鎧に残された無念……思念か?」

「……とても……悲しい」


 鎧に残った恨み、悔しさ。そういったものを見せられたのだろうか。


 この思いが……彼を500年もここに縛り付けたのだろう。

 最早知性と呼べるものもなく、ただただ生前の強い意志を貫く……。


 主君が殺され、その主君に守るよう言われた民を傷つけ……本当に正しくその意思が守られたかはわからない。

 それでも、ただただ……500年……。


 身に纏った鎧と共に、決して朽ち果てぬ……残留思念。




「……」


 カタカタと音を鳴らし、弾けた鎧が地を這いながら一か所に集まって来る。

 このままでは再び亡霊騎士と戦う羽目になるだろう。


「……引き返すか」


 恐らく、これまでも亡霊騎士を討とうとしてきた者たちが選択してきたであろう、撤退。

 俺としても、そうする方がいいと思う。


 だって……俺としては強い魔物を捕まえたかっただけなのに!

 絶対フィンドールと同じで言うこと聞かないじゃん!


「ううん」


 しかしノノが首を振る。


「解放してあげよう」

「……そうなっちゃいます?」


 そうは言うが……俺はこいつを納得させられる言葉を知らない。


 こうしている間にも、鎧の破片が徐々に集まり、段々と鎧を形成しだしている。

 もう間もなく……敵を排除するために動き出すだろう。


「むむむ」

「……」


 500年、500年だぞ?

 それほどまでの強い意志、思念、怨念……どうしたもんか……。


「オ……オオォォォ……」

「むむむむむ……」


 亡霊騎士……騎士……。


「……騎士」

「オオ……オオオォォーンッッ!」


 遂に鎧が立ち上がり、大剣を掴み、雄叫びを上げる。

 そしてその剣を水平に構え――。


「騎士よ! 誇り高き騎士よ! お前に決闘を申し込む!」


 騎士の動きがピタッと止まる。

 騎士と言えば決闘! うまくいくかわからんけども!


「騎士よ! 敬愛する主君の想いを守るために戦い続けた誇り高い騎士よ! 聞けっ!」

「……」

「お前の戦いは終わっている!」

「……!」


 僅かに鎧が揺らぐ。

 俺の言葉が届いているのだろうか。


「全ての元凶である魔王は俺たちが封印した! 民も豊かに暮らしている! お前らの戦いは終わっているんだ!」

「……」

「だから! 俺が勝てばお前を連れて行く! これからはその強き意思を俺に貸してくれ!」

「……」

「俺の友の道を切り開くために! そして望む未来を、掴むために……」


 あれ? どうして俺は……泣いているのだろう……?


「頼む……! 友と元の世界に戻り……大切な人とこの世界で一緒になれる未来を……」


 わからない……何でこんなことを言っているのか。そんな方法があるのか……。

 大事な友と元の世界に戻る、大切な人とこの世界に住む。


 そんな致命的な矛盾を抱えた願望が……いつの間にか……。


 いや、今はそんな場合ではない。




 しばしの静寂が場を包む。

 やがて――。

 

「……」


 亡霊騎士は剣を構え直す。


「……同意したと見なすぞ……!」


 心なしか頷いたように見えた。


「『人魔一身』――」


 力を貸せっ!


「来いっフィンドール! 誇り高き騎士を! その鎖から断ち切るためにっ!」


 叫ぶと同時、体が作り変わる!

 鋭い爪。強靭な筋肉。自由に空を駆ける翼。

 そして何よりも気高いその意思!


「『クケェーーーンッ!!!』」


 フィンドールの闘争心が目の前の騎士に向いているのを感じる。

 問題なく力を貸してくれるようだ。


「……!」

「……来いっ!」


 騎士が大剣を上段に構え、突進してくる!

 緩慢な動き、回避することは――!


「『ケェーンッッ!!!』」

「うぉぉぉぉぉーっ!!!」


 ――ありえないっ!


「怨ッ!!!」

「ぐぅぅ……ぅぉぉおおおおっ!!!」


 重い大剣を、強靭な鷲の手で受け止める!

 衝撃で体は沈み、指の何本かは千切れ飛びっ! それでも掴んで……離すもんか!


「怨! 怨! 怨!」


 悔しいんだろう!? やるせないんだろう!?

 主の言いつけを守れなかったことが! 主を守れなかったことが!


 だから……だから泣いているんだろう!?


「うぐぅっ……ぁぁぁ……」

「オォォ……怨ッ!!!」


 何て重い斬撃……重い、意思……!

 だけど……だからこそ……っ!


「はぁぁぁあああっ!」

「オォォ……!?」


 背負ってやる! 一緒に来い!


「はぁぁぁあああーーーっ!!!」


 この世界の理不尽を……共に打ち砕こう!


「――っ!?」


 騎士の大剣を粉々に握り潰す!

 そして――!


「『封魔石』!」


 封魔石を創り出し、血だらけの拳と共に鎧の胸元に叩きつける!


「オォォォ……!?」

「俺のものになれ!」

「オォォォ……オォォォーン!!!」


 そして……。


 眩い光と共に、騎士は『封魔石』に収まった。

読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/


ブックマーク、誤字報告や温かい感想を頂けると跳んで喜びます!!!


また、こんな魔物が見たい! こんなアトラクションあるよ!

なんてアドバイスを頂けると非常に嬉しいです(切実)


よろしくお願いします(/・ω・)/

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