80:かってしったるお城のなんとやら
「アールーおー、聞きたいことあるんだけど」
「おう望月か。じゃが、しばし待っててもらえるかの?もう少しで書類が終わるからのぅ」
「それはいいけど……アル王が働いてるの初めて見た気がする」
アル王のとこに遊びに来てみたらアル王は書類の山に囲まれていた。
ていうかよくよく考えたらアル王っていつ働いてるのかと思った……
ふと、視線をずれせばそこには青白い髪をしたメガネ青年が立っていた。
視線が合うとその人は小さく一礼をしてくれたけど……なんだろ?
なんか普通の人と違う感じがする……?
例えて言うならあの子みたい。
「よし、これで終わりじゃ。リデル、後は任せるぞい」
「心得ました。これから彼のところですか?」
「あぁ、そうじゃ。望月もそのつもりでもあったんじゃろう?」
「うんまぁね。あと呪術……ていうか職業の名称を誰が決めたんだろうって思って。」
私がそう言った瞬間、あのメガネ青年がくしゃみをした気がしたけど気のせいかなぁ?
そしてアル王がニヤニヤしてるのはなんなんだろ。
まぁ、それはともかくアル王に連れられてきた場所はなんか水晶みたいなのがいっぱいある一角だった。
その中にあの子がいた。
「アル・キングス……っ」
「おーおー、ずいぶんと暴れたものじゃのぅ。」
よくよくみれば私達の前には鏡みたいなっていて、その子はまだ私に気付いていないみたいだった。
アル王曰く、この鏡は少し特殊で、例えて言うなら力に反応するスイッチ式のマジックミラーな感じらしい。
どういうことかはよくわかんないけど。
「のぅ、望月。おぬしはあやつをどう思う?」
「え、睡眠妨害?」
私が思わず言った言葉にアル王はなんというか……今まで見たこともないくらいに冷めたような表情をしていた。
こんな表情もできるんだー……
「うん、わしの聞き方も悪かったようじゃの……」
「そういえば去りし忘却の子ってどういう意味だったの?」
「それは……」
“彼”は、この世界が出来た時に生まれた存在らしい。
誰もが彼を彼として知り、認識していたが、いつしか彼は誰にも気づかれず、誰にも知られない存在へと成り果てていた。
それでも彼は人を求めていた。
彼を気付くことができたのは……
「それゆえにあやつは地脈の奥深くで眠っておると思っておったんだがなぁ……」
「この水晶ぽいのは?なんなの?」
「力を限りなく小さくする効果のある石、とでも言ったところかのぅ。」
「ふぅん」
そんな会話を続けながらもあの子がいる方を見ているけど
鏡の向こうであの子はアル王の名前を呼びながら壁にあたってる感じもした。
……ていうか、結局職業とか決めたの誰だったんだろ……
なお、オモチはこれが初めてのリデルとの遭遇です。
職業の話は次回!




