番外編9:幼馴染話。
――初めて出会ったのはまだ物心がつかない頃。いや、むしろ生まれて間もない頃と言っても過言ではないくらいの時だった。
その日から私達は幼馴染として出会い、そして幼馴染として育った。
「カズちゃん、遊びにいこー」
「キョウちゃん。うん、いこ。」
もともと、佐藤の家と私の家は仲が良く、互いの家を行き来するのも当たり前のようによくしていた。
それはお泊りも含まれてたし。
この頃の佐藤は大人しくて、よく困ったような笑い方をしていたけどよく考えたらあれは苦笑いか。
ずっと、一緒にいれるものだと思ってたよ。あの頃は。
明確に境界線を張られたのはいつかはわからないけど……
「キョウちゃ……望月、もう俺のことをカズって呼ぶな」
「なんで?カズちゃ……」
「もし呼んだら絶交だからな!」
ホントに唐突だった。
あだ名もダメ、名前もダメって言われ、その結果、私達は幼馴染なのに互いを名字で呼ぶようになった。
学年があがるたびに佐藤とは疎遠になり
やつの悪名とか噂とかをよく耳にするようになった。
でも、そういえば佐藤に浮いた話だけはなかったんだよなぁ……変なの。
まぁ、疎遠になったとは言っても佐藤の家とは変わらず家族ぐるみで交流してたし、おばさんのとこに遊びに行くのもしょっちゅうだったけどね。
さすがにお泊りはしなくなったけど。
「ホント、あの子って不器用だから……ごめんなさいね、杏子ちゃん」
「いーえ。あ、おばさんこのお茶おいしい!」
「あらよかった。」
おばさんと話しててふと、思い出したことがひとつだけある。
それは確か……何歳の頃かは思い出せないけど佐藤のとこにお泊りをした日だということだけは間違いない。
佐藤の部屋にお布団を並べて眠くなるまでおしゃべりをいつものように続けてた時。
「あーあ、カズちゃんとずっと一緒にいれたらいいのに。そしたらきっと毎日楽しいんだろうなぁ」
「じゃあキョウちゃんがおれと結婚したらいいと思うよ。そしたら毎日一緒にいれると思うんだ」
「……わぁ、ホントだ!カズちゃんすごいね!」
まだ幼かった私達は小指を絡めて指きりをした。
大きくなったら結婚するという約束を交わす為に。
「でも結婚ってどうしたらできるんだろ?」
「わかんないー」
この、幼心に交わした約束のことをおばさんに話すとおばさんは大人にならないとできないよ、と話してくれたけどその顔はすごく興奮してる様子だったような気がする……
あ、でもその頃からだ。
少しずつ佐藤がよそよそしくなっていったのは……
***
「望月?んなとこで寝てると風邪ひくぞ?」
「んー?寝てないし。ていうか佐藤。佐藤って好きな人とかっているの?」
「んな……!?な、なんだよ急に」
「いや、小さいときのことをふと思い出してさ」
あの頃とは違う世界に今、私達はいるけど……
どうして佐藤も塩も私を交換条件として召喚しようとしたんだろ……
そのことだけがよくわからなかった。
好きな人がいるならその人を呼ぶだろうに……
「そういう望月はどうなんだよ」
「いるわけないじゃん。」
そもそもなんでそんな人を作らなきゃいけないのさ?
佐藤がいるのに。
今日もそんな会話をしてこの世界での時間が過ぎていく……
やっぱり佐藤が隣にいることが私にとって当たり前だったんだなぁ……
だって、佐藤が行方不明になったと知った日。
なんとなく私は落ち着かなかったから。
……そういえば、あの時した指きりってまだ有効なのかなぁ?
佐藤があだ名とかを拒否った理由(少し違う)
オモチは超にぶにぶですよ!
佐藤は地味に自覚はしてますけど。




