76:お風呂なオモチと誘い言葉。
一日のおわりに入るお風呂はやっぱり一日の疲れを取ってくれるものだと思うんだ。
正直、シャワーないのは不便だけど!
「ふはぁ……極楽ごくらく」
洗うとこも洗って、のんびりお風呂入ってるわけだが。
正直、現在外の方から視線を感じるけど……実際は見えてないはず……
と、いうのも。話し合いをした後に帰ってきたカルーアさんに不可視の効果を張った方がいいって言われたから。
あのわんわんがいうことなら多分間違いないもんね。
「ふぃ……さっぱりしたけどあつあつ」
今日は寝る用のジャージに着替えて、あのローブをはおって、リビングぽいとこでアイスを食べる。
やっぱ美味しい、バニラアイス!
「モチヅキ、視線の方はどうだ?」
「んー、変化はないねぇ。ま、でもカルーアさんが言ってくれなかったら得にもならないものを見られるとこだったよ。」
「……娘が得とか言うものじゃないと思うが……モチヅキは気にしなさすぎだ。」
「気にしたってしょうがないこともあるでしょ。」
一応私だって本来はごく一般人なんだから。
にしても……なんで当たり付きなのこれ。
適当に作ったバニラの棒アイス、その棒部分には当たりという文字と、当たりが出たらもう1本!という文字が印刷されていた。
そういえばこのアイス、よく買ってたもんなぁ……
ちなみにで言えば、佐藤も塩もすでに寝てる。
やつらも忙しい身だもんね。しかたない。
「んー……とりあえず寝ようかなぁ……」
「その方がいい。やつらは夜の方が動きやすいからな。」
「ホント、覗き禁止もかけようかなとか思うよね。」
なんかカルーアさんが知ってる感じで言った気がするけど敢えて気にしないでおくよ。
悪い人ではないし。
ちなみに、覗き禁止は余計な反発を受けるかもしれないからあくまで不可視だけにしといた方がいいらしい。
たまにずれるからいいのかな?
お布団に入って、目を閉じたらすぐに私は眠りの世界に誘われた。
ホント、寝心地のいいベッドだよなぁ……
すっかり寝入った私の部屋を窺う存在が1つ。
まぁ、窓に触れても侵入できないし、私がそこにいることがわかってても突撃することもできない。
ソレにしてみればとてももどかしい現状に立たされてることだろうとは思うけど同情も自重もしない。
もちろん我が身かわいさだよ?
当たり前のことだけど。
窓の向こうから歌のような呪文が漏れ入ってくるけどそれはすでに意味を持たない言葉の羅列に変化してることを……ソレは気付いていない……
『我が声を聞きし者よ、我が声が届きし者よ。我が声に従え、我が音に忠誠を。意識を我にゆだねよ。思考は不要なモノ。唯、我の声に従順に……』
うん、言葉の感じからして操る系なのかもしれないな。
起きたらビネガーさんに聞いてみようかな。
……それにしても、外から聞こえてくる声はホントに幼い少年のような、それとも少女のようなそんな曖昧な音域をしている気がした……
多分、あの子なんだろうなぁ……
オモチの入浴シーンでした。
ていうかそういえばシャワーないかと思い出したのがこれ書いてる時なんて言わない。
実はオモチの呪術(笑)は結構強いので、侵入禁止だけで呪文の侵入も拒絶してます。
正確に言えば言葉に宿る力を弾いて言葉だけを通してる感じ。




