68:オモチとおしゃべりするのは
「おぉ!お主がアルの言ってた娘か!」
翌日、(和室限定で)来ることに慣れた部屋の戸を開けてみればそこには変な眼帯をつけたアル王並のサイズをした耳のとがった少年のようなものがいた。
そして思わずとを閉めた私は絶対に悪くない。
「……うん、ぼくもアルの真似をしただけなんだ。お願いだからそんな引かないで……」
で、戸をもう一度開ければさっきの言動とはまったく違うけどさっきと同じ少年のようなものがいた。
一応戸を閉めたことは謝ったけど……
彼曰く、本来はこっちらしい。
「じゃあなんであの出だしの話し方になったの?」
「うむ……アルがその方がいいって言ってたし……」
なんでも、この人はもともとあがり症やらいろいろあって自分をつくりすぎた結果
アル王の真似やら……と、いうことらしい。
「改めて、ぼくはカーデン・クラーク。ホントの名前はもっと長いけどね」
「えっと望月杏子です。……クラークさんはいったいいくつ……」
「あー……うん、年齢で言えば……今何歳だったっけ……アルよりはまだ若いよ?」
そして、クラークさんは種族で言えば、かつてはエルフと呼ばれていた種族になるらしい。
今は特に種族名称がないらしい。
「ぼくの職業は作り手、力は変装と作り手……かな?」
クラークさんの変装という力、本来は服を替えると認識がずれるだけの力らしいけど
作り手の力を駆使して変わり身マントというものを作った結果
その変装の力はとても使い勝手がよくなったらしい。
「じゃあ次にその眼帯は?」
「あぁ、これはぼくの目を守るためにね。」
なんでもクラークさんの右目は陽に当たると焼けてしまうらしい。
で、その眼帯……サングラスみたいな感じになってるらしいけどそれで目を保護してるとのことだった。
ていうかクラークさんの髪って銀に近いからいろんな意味で目立つよなぁ、黒い眼帯みたいなのって。
「そういえば市場で買ってくれたローブ着てくれてるんだね。着心地とかどう?」
「きつくないから全然問題な……え、なんで買ったって知って?」
「まぁ、そのローブ作ったのぼくだからっていうのもあるけどぼくから買ったでしょ」
クラークさんはそう言うとマントを使って姿を変え……あ、市場のおじさんになった。
すぐに見た目を戻したクラークさんは若干どや顔をしていた。
「それが変装の力かぁ」
「うんうん!」
なにか聞きたいことがあったような……
あ、そうだ。本のことだ
「【彼のハジマリと終わりなき夢】ってどの程度実際にあったことなの?」
「おぉ、あれ読んでくれたのか!!でもそれは内緒。教えたら詰まらないでしょ?」
ていうことは実際にあったとこもあるってことかぁ……
だからバッドエンドなのも頷けるかも。
「にしてもえっちぃなお話はいけないと思う。」
「何故だ……ぼくはとうの昔に成人してるし!!」
「せめて……せめて混ぜるな危険の方で……っ」
「あ、うん、なんかごめん……?」
にしても……クラークさんと話すのはなかなか楽しいな。
いろんな意味で濃いけど。
「カーデン……ずいぶんと楽しそうじゃの……」
「うわぁふぃ!?」
「!?」
クラークさんの驚き方に驚いたんだけど!?
ていうかアル王どっからでてきた……
「あ、アル!驚かすなよ!!」
「ホント、カーデンは怯え症じゃのぅ……」
そしてアル王は居座るのか。
いや、一応部屋の主はアル王だからいいんだろうけど
「しかしずいぶんと話が弾んでおったのぅ?」
「まぁ、ある意味近い職業だから?」
「うんうん。作り手の職業ももともと少ないけどクリエーターって何年ぶりだっけ。」
え、そもそもそんなものだったの?
なんでも、一部の職業というのはホントに稀にしか出てこないとのことだった。
それにしてもさすがにお腹すいてきた……
てことでカーデンです。エルフ系ショタ。
でもこの世界ではエルフという名称はすでにありません。(過去にはあったけど)
なのでカーデン含み旧エルフは魔族という括りになってます。




