67:オモチは精神ダメージを受けているようだ。
翌朝、私は昨日とは違う意味で寝不足だった。
うぅ……寝る前に読んだあの本のせいだ……
「どうした?望月」
「なんだ佐藤か……ちょっとビネガーさんに借りた本でダメなのあっただけだよ……」
「あー……ホント、萩兄達の教育力ってやべぇよなぁ……」
「ん?なんか言った?」
「いーやー?」
なんか今絶対小さい声でなんか言ってた気がするのになぁ……
でもこの本どうしよ……自分で戻してもいいけどどこにあったのか知らないしなぁ……
そんな風に考えてた時、佐藤がいつの間にか私が持っていたあの本を奪っていた。
え、あれ。いつの間に?
「なるほどなぁ……俺から渡しておいてやるよ。」
「あーうん。助かるけど……」
なんで佐藤は平気なんだ……
表紙の時点でだいぶあれなのに……
タイトルだってちょっとあれなのに……っ
私もなんで気付かなかったんだろうなぁ……
「望月ー?腹減ったんだけど。」
「はいはい。お茶漬けね」
「またかよ」
だってしょうがないじゃないか。眠いんだよ。
まぁ、正確に言えばお茶漬けではないけど。
今日の朝ごはんは焼きおにぎりのダシ漬けです!
……あれ、ダシ漬けでいいんだっけあれって……まぁいいか。
そんなことを思いながらリビングみたいなとこのドアを開ければまたアル王がいた。
そして思わずドアを閉じちゃったわけだけど……私悪くない。
「望月よ、その態度は酷いと思うんじゃが?」
「だってアル王ってめんどくさいことしか持ってこないじゃん」
私がアル王と話してるうちに佐藤はあの本をビネガーさんに渡していた。
ホントあいつって近寄ってくる女子に優しくないのになぁ……
最近、デレがひどい気がするんだけど。
「ん?佐藤殿がビネガーに渡しておるのは……あぁ、やはりカーデンのか。」
「ん?アル王知ってるの?あれの作者」
アル王は私の言葉にニヤリと笑みを浮かべ
ドヤ顔のままあっさりとその言葉を口にしていた。
「カーデンはわしの友人じゃぞ?」
……つまりとても厄介な人って認識でいいんだろうなぁ……
「ビネガーさんに作り手って聞いたけど。」
「そうじゃぞ。言っておくがお主のクリエーターとはまた違うものじゃからな?」
え、そうなの?
そう思ったのが顔に出ていたのか、アル王はあっさりと説明してくれた。
なんでも、私のクリエーターという力は想像が絶対の発動条件で、力によって物を作成した場合、素材というものを一切消費しないのがクリエーターというものらしい。
つまりは想像の具現化、とも言える力らしい。
そしてカーデンという人の力……と、いうか職業かな?
作り手というのはレシピというものが存在せず、必要な素材を消費することで意識なき物を作成することが可能の力ということらしい。
小説とかを書いていたのもその作り手としての仕事の一環だったらしい。
「へぇー……じゃあいろんなの作ってるの?」
「そうじゃな。あとは服飾や木工などもやっておる。」
なんでも、私が買ったローブと立体パズルもその人が作ったものだったらしい。
そ、そうだったのか……
「すごい人なんだね。このカーデンさんは」
「あやつは変わっておるからな。」
……え、それをアル王が言うの?
そういう目線を送ればアル王はわざとらしく咳払いをしてそして。
「のぅ、望月。カーデンに会いたいと思わぬか?」
「まぁ、どんな人なのかは気になるけど……」
「ならば明日。城の和室で、じゃ。」
なんか、アル王に誘導された気がする……解せぬ……
あ、でもあの本の作者ってことはあの歴史小説の作者でもあるのか……
なんかその話聞けるといいな。
珍しくアル王がめんどうなことを持ってこなかったことに安堵してしまった私はわかっていなかった。
そのカーデンという人の方がアル王よりも何倍もめんどうだということを。
さて、次回には件の作成者登場。
今この時点で言えるとすればカーデンとアル王は類友です。




