66:先が気になると止まらなくなるよねって話。
――ビネガーさんに借りた【彼のハジマリと終わりなき夢】を気付けば徹夜で最後まで読んでしまった……
「くっ……まさかバッドエンドだったなんて……っ」
歴史ネタの小説の割りに思いのほか面白過ぎて続きが気になるしでその結果まさかあーなるとは……
おかげで眠い……
いつものリビングみたいなとこに言えばやっぱりカルーアさんがカヒーを嫌そうに飲んでいた。
あ、ミルクと砂糖を提供するの忘れてた。
「おはよー」
「おはようございます、モチヅキさん。その様子ですと……読んだんですか?」
「うっかり全部読んじゃった。すっごい面白かったんだけどさぁ……」
やっぱりバッドエンドだったのがなんとも言えない……
そんなことを思いながら朝ごはんの用意をした結果。
朝ごはんは食パンと目玉焼き(半熟)にコーンポタージュになりました。
「望月……」
「いや、悪かったって。お昼はのり弁にするからさ」
「どういう駆け引きだよ……」
正直、同じ作者の違う本ないか探したくなってること、絶対佐藤のやつ気付いてるな……
とりあえずごはんを食べる前に佐藤のと塩の分ののり弁を作成ー
味付けのりが乗ったごはんにちくわのてんぷら、メンチカツ、白身魚のフライ……あとは沢庵を入れて完成……で、いいか。
とりあえず2人のお昼もできたし。
今日はちょっと朝ごはん食べたら寝ようかな……
さすがに眠い……
ごはんを食べてるうちに佐藤達はもうでかけて行ったけど……
やっぱり仕事しないとあれかな……
そうも思ったけど一応ごはんを作るっていう仕事をして……私は家事手伝いか!!
「ごちそうさまーそしておやすみなさい……」
「あ、モチヅキさん。その作者の本が気になるのでしたら後で出しておきますよ」
「ホント?じゃあお願いします!」
うん、とりあえず起きたときの楽しみができたかな!
いそいそとお布団にもぐって、私はあっさりと眠ってしまった。
やっぱり慣れない徹夜なんてするものじゃないよね……
ふと、目が覚めた時
窓の外の太陽はだいぶ上の方に昇っていた。
「……よく寝過ぎた……?」
うん、ダメだ……頭がまだよく回ってないや……
シャワー……は、なかったからお風呂に入るのもありかなぁ……
いや、顔洗うだけでいいや……
とりあえず私はタオルを持ってお風呂場で顔を洗った。
にしても顔洗ったらなんでちょっと目が覚めるんだろ……助かるけど。
それからリビングみたいなところに戻ればテーブルの上に何冊か本が乗っていた。
その中には昨日1回手に取っていたミステリーの小説もあった。
「あ、起きましたか。モチヅキさん。」
「うん、ていうか本、いっぱいあるんだね。」
「えぇ、その方は作り手という職業の方でして、その一環で物語を書いていたようで、出版されなくなるまで出された物語はそれこそあらゆるジャンルになっていたので。」
多分、出るたびにジャンル問わずに買いあさってたんだろうなぁ……
わかる。気に入った人が物を出せば買いたくなるよね。
萩兄がそのタイプだったんだよねぇ……
「ミステリーに歴史にこれはアクションものかな?」
「どれも読み応えがありますよ」
とりあえず私は出された本を全部借りることにして、少し遅れたお昼ごはんを食べることにした。
佐藤達にはのり弁にしたし……私は何にしようかなぁ……
特に思いつかなかったから結局佐藤達と同じのり弁にしたけどね。
嫌いじゃないし。
ビネガーさん達も同じのを食べてるけど……
2人の反応ってなかなか見ごたえあるよなぁ……
――この時、私は気付いていなかった。
本の中に年齢制限が付きそうな恋愛小説……俗に言う官能小説と呼ばれるものも含まれていたことに……
それに気付いた時、私はひとり悶えていたのだった。
「ムリムリ!!エッチなの無理だー!!」
オモチはそういうネタが苦手という話(違います)
もちろんサトウはそのことを知ってたから市場でも大人の玩具を回避してました。
ある意味教育の賜物とでも言っておこう……




