25:これがホントの竜の背に乗って?
――気付けば私達は黒い竜についていくことになっていた。
「あ、ちょっと待って。その前にここに目印つけとく。」
「おう。」
話の結果、黒竜は私達を乗せてくれるって言ってたから遠慮なく乗ることにしたから社畜号を戻して。
転移する為に目印をつけて。
「準備できたよ。」
『では我の背に乗るがよい……』
「……ジャージでよかったみたいだな。望月」
「うん、そうだね。」
先に佐藤が竜の背に乗って、珍しく手を貸してくれて私も無事に黒竜の背に乗ることができた。
ていうか……竜の背中って高い!!
『しかと捕まっておれ、人の子よ!』
バサリと黒竜は羽を広げ、地から離れていく
少しずつ、少しずつ私達は空に近くなっていく
「うわぁ……!」
「おーすげぇ……」
鳥人間号の時とは違って直接感じる風に私は少しだけテンションがあがっていく
……私はテンションがあがってるけど……
「佐藤?」
「……言うな。何も言うな……」
もう何年もの付き合いだったけど……知らなかった
「まさか佐藤が高所恐怖症だったなんて!!!」
「ていうか笑いながらいうことじゃねぇだろ!?」
いや、笑うことでしょ。
いつもこれだから女はっていうタイプのはずだったのに!
「まぁ、思い出せば佐藤って家族で遊園地に行っても観覧車に乗らなかったもんね」
「うるせ……おい黒竜、まだつかねぇのかよ」
『慌てるな人の子よ。間もなく我の地だ』
でも高所恐怖症ならやっぱり鳥人間号に乗せなくてよかったってことだよな。
……まぁ、あれは社畜号と違って完全1人用だったから頼まれても乗せれなかったけど。
『人の子らよ、見えてきたぞ。あれが我の地だ……』
そう言った目線の先にはいつの間にか森が見えていた。
……あれ、いつの間に?
ただ佐藤を見て笑ってただけじゃない
私は一応地理の確認も兼ねて周辺も見てたつもりだったのに……
どうみても私達の視界には森が広がっていた。
それもかなり広いのが。
「えーあれー?」
「んあ……?……どうせ隠してたとかそんなんじゃねぇの?それより俺は早く地面に降りたい」
「……切実なのか佐藤……」
黒竜はゆっくりとその身を降下させていく
そして、黒竜が降り立った場所は多分森の中心部くらいの位置で
その傍らには洞窟みたいな穴があった。
ここが、黒竜の家なのかな……?
『着いたぞ。』
「うーっす……」
佐藤はさっさと降りたから私もしょうがなくついて行く形で降りたけど……もうちょっと乗ってたかったなぁ……
まぁ、それはいいとして。
黒竜はこっちだ、と言うように一度降りた私達の方を見て
どすんどすんと洞窟の中に入って行った。
……これは、ついて来いってことかぁ……
さて、黒竜の子供っていうのはどんな子なのやら……
私達は何のためらいもなくその背について洞窟に入って行ったけど……
気付くことができなかった。
私達のそんな姿を木々の影から見ていた存在がいたことなんて……
フラグは立てるもの。
それにしてもなんだかんだで連続続けれててびっくりだよね。




