24:立ちふさがるわけでもない真っ黒な竜
――目の前には真っ黒くて赤い目の竜が1頭。
ちなみに社畜号には攻撃要素はない。だって車だから。
「で、どうしよっか。佐藤」
「攻撃してきたら倒すの方向か?」
それしかないけどね。
突然現れた黒い竜がどうして現れたのかわからないし。
なによりもその赤い目は……
「話せばわかる気がするんだよねぇ……」
「あー……竜って頭がいいっていうよな。」
「佐藤、それ微妙に違う気がする」
黒い竜はじっと私達のほうを見てるだけだから知性がないわけじゃないとは思うんだけどね。
そしてそれは佐藤も同意見みたいだけど……
その場から動くこともできずに時間だけがあっさりと過ぎて行って。
ホントどうしたものか。
「はい、佐藤お茶」
「おーサンキュー」
とりあえずどうしようもないからお昼ごはんを食べることにした。……けど
「なぁ、望月。なんか見られてないか?」
「だよねぇ……」
さっきから社畜号の外から猛烈に視線を感じるのはどうやら私だけの気のせいではなかったらしい。
まぁ、誰の視線かと言えばまず間違いなく黒い竜からの視線なんだけどね
ついでに言えばお昼ごはんは石焼きじゃない方のビビンバだ。
私が食べたかったからだけど。
デザートは仕方ないから佐藤の好物の抹茶プリンだけどね。仕方ないから
「でもどう話しかけたらいいかわかんないんだよねぇ」
「だよなぁ……」
あー……ビビンバうまい。この辛さが堪らないよね。
そう思いながらごはんを佐藤と2人で食べていたらどこからともなく地響きみたいな音が聞こえた気がした
「……何の音?」
「さぁ……?」
とりあえず1回目だったら気のせいってことにしたけど……
その地響きみたいな音は次第に断続的に聞こえてくるようになって……
どう聞いてもこの音……社畜号の前にいる黒い竜から聞こえてるよね……
そう思いながら佐藤の方をチラリと見れば佐藤も同じように私の方を見てひとつ頷いていた。
口の横に米粒をつけながら。
『人の子よ、それはなんなんだ……』
そして、気付けば黒い竜がしゃべってた。
っていうかしゃべった!?
「え、しゃべれるの!?」
「おい望月、あの竜涙目になってねぇか?」
そんなわけ……ホントに竜の赤い目には大粒の涙が溜まってました。
い……いじめてないのに!?
「え、あ……そこの竜さん、空腹なの?食べたいの?」
まさかそんな……と、思って聞いてみたら黒い竜は間違いなく肯定するように頷いていた。
ていうか言葉通じちゃったよ!?
『娘、それはうまいものなのか?』
「え、あー……辛いものが平気なら?」
私とかは好きだけど……
私の言葉に黒い竜はしばらく考えた後、間違いなくこう言った。
『その……我にも分けて……貰えぬだろうか……』
あれ、なんだろこのかっこいいはずの黒い竜が可愛いって……
なんでも、黒い竜の話を聞けば子供の為に食糧を探しに出てきたのはいいけどなかなか獲物を見つけられずに途方に暮れていたら私達の社畜号を見つけて何か分けてもらおうと思ったけど
なかなか話しかける勇気がでなくてガン見してたら何か食べだしてさらに話しかける勇気もないし早く子供のとこに戻りたいしで耐えられなくなっていたらしい。
……ていうか国はなくても竜がいるとか聞いてないんだけど!?
あのショタ爺めぇ……
涙目でぷるぷるする黒竜・・・・・想像したらシュールだよなぁ・・・・
ちなみに、アル王は竜がいることも知ってましたよ。もちろん。




