136:半獣女性は大変らしい
――あのアル王の秘密基地のことは佐藤にも秘密だ。――
「あら、あなたは」
「ん?あ、フォルさん」
お城から出て、のんびりビネガーさんのおうちに向けて歩いてたときだった。
後ろから話しかけられるような声が聞こえて振り返ればそこには塩の奥さんになったフォルさんがいた。
「あなたお城勤めなの?」
「違うよ?」
フォルさんは一度お城を見上げてそう聞いてきたから私は正直に答えたけど……
違う、よね?アル王には雇われてるけど
でもなんでそんなこと聞かれたんだろ?
「そういえばフォルさん塩との新婚生活どうですか?」
「えぇ、とても楽しいわ」
うん、それはいいことだ。
にしても、私に城勤めなのかって聞いてきたときのフォルさんの表情……なんとなく嫌な感じがしたなぁ……
気のせいならいいんだけど。
「あなたは居候してる今の家から出ないのかしら?」
「うん、先立つものもないし」
必要性も感じないし。
ていうかホントなんでそんなことを聞いてくるんだろ……
あんまり長く話さない方がいいかもしれないっていう気になってくるんだよなぁ……
「フォルさんなんか用事があったんじゃないの?」
「そうだったわ……じゃあまたね」
「はーい」
そう言ってフォルさんは元来た道を戻って行ったけど……
んー?なんで急にフォルさんが胡散臭く感じるんだろ?
……魔道士団のとこにいるはずの塩、ちょっと覗いた方がいいかな
思い立ったら吉日ということで私は佐藤のとこに行く前に魔道士団のとこを覗くことにした。
まぁ、覗くのはいつものとこからだけどね
で、覗いてみるじゃん?
まぁ、塩いたけどさ……
「塩は変わらないぽい……かな?うん、ならいいか」
遠目から見た感じは塩に変化はみえなかった。
まぁ、それも絶対じゃないけどさ
そのまま佐藤のとこもとい騎士団のとこに行けば佐藤は私を見て僅かに顔を顰めていた
「望月、なんか変なのに会ったか?」
「変なの?会ったのはアル王とゼロとフォルさんくらいだけど」
私の答えに佐藤は何かわかったのか、すぐに納得したように一度頷いた。
それから私の様子を見るようにていうか私を見回して
「塩の嫁さんに何かされんかったか?」
「え、話しただけだよ??」
「おまえも気付いてんだろ」
佐藤が言う言葉になんとなく理解が至った。
やっぱりあのときのフォルさんはちょっと変だったのかぁ……
だから私は話したときに感じたことを佐藤に言えばやっぱり納得していた。
「班長が言ってたんだけどよ、血に混ざりがあるのっていろいろと妊娠とかに影響があるんだと」
「それがあの変な感じってことなの?」
「自分自身の力を正常に使えないんだとよ」
私達にしたら関係のないことだけど……ようには妊娠中毒とかそんな感じになってるって考えであってるのかな。
まぁ、ホント私達にはどうしようもないし、塩もさすがにわかってると思うし
「つーか、風呂入るとき身体は洗えよ?においが沁み込んでるから」
「まじで!?わかったー」
ていうかにおいが沁み込んでるってどういうことなの……
その意味をホントに理解したのはお風呂に入ったときだった。
例えて言うならあれだ。超濃厚香水の匂いを密閉できるのに閉じ込めて、その蓋をあけた感じ。
においが取れるまで私はほぼ無心で身体を洗ったのは言うまでもなかった
そのにおいはなんだろ・・・・・メス臭?ウソデスゴメンナサイ
外にいたときはそこまでにおいを気にしなかったけどお風呂で気になったのはホントにあの例えの感じに一気に広がったから
密室に香水をこぼした感じでもいいよ!
とりあえずそういうにおいは半獣女性特有で、妊娠中だけだよって話




