番外編14:騎士団だって演習くらいするよの話2
サトウ視点だよ!
――騎士団が演習を行うと決め、それを告げられたのは今から2日前。
そして俺は弁当を用意するようにと言われていたことを忘れていて、弁当のことを頼まなければならないと気づいたのが数分前。
「そういうのは前もって言うもんじゃないのかな!?」
「悪かったって……」
飯がなきゃそれこそその辺の草を食えって言われるらしい演習……
もし望月が作ってくれないようなら……うん、やべぇよな……
「……と、いうことで釜めしとイカ飯だよ」
「……単品って言えば単品か……まぁ、助かるわ。望月」
望月は文句を言いながらも弁当を作ってくれたが……次もギリギリに言ったら食パン1枚らしい……
とは言え、この世界だとその食パン1枚でさえ貴重だけどな
まぁ、貰った弁当はアイテム袋に入れておけば崩れることもないし、なにより勝手に奪われることもない。
……マジで注意しねぇとなぁ……
時間になり、集合場所である騎士団の鍛練場に向かえばすでに何人かいるみたいだったが……
なんでもういるんだよ……
「ようサトウ!!今日は絶好の演習日和だな!!」
一応騎士団含んだ集団では一番偉い奴のはずなのにこの人は……
そもそもこの演習を行うことになったのもこの人が暴れたいから言いだしたことだしな。
今回の演習は4班と5班に騎士団副団長とフロスさんというメンツで行うことになっていて、山まで走ることから始まる……
ちなみにじゃねぇけど、4班は重しを背負いながら、5班は風の魔法を身に纏わせながら走ることになるけど……フロスさんは自身に重力魔法を纏わせるらしい……
鍛練場から走り出して2時間くらい、国境間際にある山に俺達は辿り着いた……
ただし、すでにフロスさん除く全員が息切れ寸前だけどな
「よーし、じゃあ全員重力かけるぞー」
呼吸を整える暇さえなかった。
フロスさんは意気揚々と俺達全員に重力をかけ……登山を示した。
やべぇ……俺、生きて帰れるだろうか……
山頂に到着したのはそれからさらに3時間
さらに俺達はほぼ息切れしてたが……だからなんでフロスさんは息切れさえしてないんだよ
「よーし、では飯の時間とする!」
正直言えば、その一言だけが唯一の救いな気がしたのは気のせいだろうか……
俺は釜めしをアイテム袋から出して、他のやつらに気付かれる前にかき込んだ。
……そういや、望月のやつ……一時は望月んとこのおじさんと駅弁フェス巡りにハマってたことあったもんな……
1個目の弁当を食い終えるとすぐに重力をかけられたまま組手を行うらしい。
そういや4班といや……前の俺がボロボロになった件で副班長が代わったんだっけな
まぁ、気にしてる感じのやつは誰ひとりいないけど。
組手は順番に相手を変えて行き、最終的には4時間くらいになった。
その頃にもう1個の弁当も食ったけど……すでにだいぶやばい……
なのに、やつは……
「じゃあ鍛練場まで重力を倍かけて戻るぞー」
ただの鬼じゃねぇか!
自分の体重分がきっかりと自分自身にかかり……
よく、行きと同じ2時間でつけたよな……
「じゃあおまえら復習の時間だ!!」
……やっぱり鬼だ……
俺達はすでにボロボロなのに命令通りにまた組手をして……
日が暮れはじめた頃にようやく演習は終わった……
つうか……まじでねみぃ……
ビネガーんちに戻って、気付けば俺は寝落ちしていて……
少し目が覚めたときそこには望月もビネガーもいなくてテーブルの上に小さい冷蔵庫とポットがあり
ついでに手書きのメモがあって……
“起きたら軽くでも食べておきな!ポットにお茶入ってるし、冷蔵庫にごはんと抹茶プリンが入ってるよ”
うん、望月の字だな。
さっそく飯に茶をかけて流しこんで、抹茶プリンも遠慮なく食って……
俺はまたその場で寝た。
つーか、部屋に戻る気力がねぇ……とりあえず朝に風呂入るか……
そして、また朝になる……
ていうことで105話と連動してるぽい感じの演習話でした。
サトウは疲れ過ぎて眠くなってた感じ
さーて、進展させるぞー




