95:ケガ人サトウ
「実際、佐藤のケガってどんな感じなの?」
「そうですね……ほとんど裂傷と打撲痕でしょうか」
「骨とか折れてないならいいか……」
にしても、佐藤をこんなぼろぼろにしたのはいったい誰なんだろ……
佐藤に聞いても答えないだろうし、名前聞いてもわからないしなぁ……
「5班の人じゃないだろうし……」
「望月、それは自分でやり返すから余計なこと考えんなよ?」
「えー」
佐藤ってホント変なとこで真面目っていうのか、やられたらやり返すタイプっていうのか。
まぁでも、佐藤なら大丈夫か。
「しょうがないから佐藤の食べたいの作ってあげるよ。何がいい?」
「抹茶プリン」
……うん、知ってた。
まぁ、ごはんは食べやすさ重視かなぁ……
「佐藤、おじやとおかゆとうどんどれがいい?」
「おじや」
「はいよ」
まぁ、結局クリエーターの力で作るけど!
思い浮かべるのはいつも食べてた鍋の後のあれで……
「……これなら鍋のがよかったかな……」
「まぁいいんじゃねぇの?」
クツクツと小さな音を立てながらお鍋もといおじやはなんとも言えない美味しいそうなにおいを漂わせていた。
とりあえず佐藤はケガ人だから器によそって。
「はい、熱いからね」
「おう、サンキュ」
あつあつおじやをみんなでつついてる図ってこの世界ではどうなんだろ……
ビネガーさんとかもなんか慣れてきてるけど
……まぁいいか。
「あ、お魚入ってた。」
「おまえ……何をイメージしたんだよ」
「そんなの、うちのお鍋に決まってるじゃん」
私の家のお鍋は基本的にお魚とお肉の両方が入ってるタイプだから
たまにカニとか。あれは美味しいんだよね
「そういえば佐藤、それでお風呂入れるの?」
「いいや?しばらくは拭くだけだ。」
まぁ、お風呂場ならお湯勝手に出るからそこまで問題もないのかな?
ちなみに包帯は自分で巻きなおせるらしい。
どこで慣れたんだこいつは……
お鍋の中もすっかり綺麗になくなり、デザートの抹茶プリンを食べて佐藤はさっさとお風呂場に向かっていた。
まぁ、よく食べてよく寝るのが大事っていうもんね。
……それが怪我に効くのか知らないけど。
ちなみに、佐藤をぼろぼろにした人は実は4班の副班長だった人らしい。
ていうか勝手に因縁をつけてきて影を縛ってフルボッコだったとか。
ていうか4班の人は魔法が使えないはずなのに影を縛るってどういうこととか思うよね。
思ったけど。
なんでも、影を縛ってしまう力を持つ魔道具なるものを使ったらしいけど……そういう魔道具系は騎士団内で使用禁止になってたものだっていうのがまた……ね。
まぁ、事実が明るみに出たからその人は副班長の座を追われ、騎士団からも追い出され、今現在はアル王がどこぞに閉じ込めてるとかなんとか。
……行方うんぬんは聞かない方がいいっていう自分の本能に従って聞いていない。
うん、聞いたら絶対後悔しそうな気がしたからね。
とりあえずアル王が本気で怒るととてもめんどくさい上に厄介っていうのがよくわかった事柄だった。
あ、佐藤のケガは3日くらいで綺麗に治ってたよ。この世界すごいな!!
おじやっておいしいよね。
あと補正付き故にケガの治りははやいよって話
誰の補正かは……ね。




